2023年読んでよかった本、社会科学編
2023年の振り返りまだまだ続くよ。
去年はあまり社会科学の本を読まなかった。明らかに情熱や関心が人文学のほうへ移りつつある。
例えば以前なら邦訳がでたらすぐに読んでいたであろう、オリヴィエ・ブランシャールの新著とかまだ買ってもいない。
というわけで主に積んでいたものを中心に読んでいた。まあ思っていたよりもたくさん読んでいたのではあるけど。
いちばん印象に残っているのがこちらですね。
日本に西洋的な法学を移植した穂積陳重・八束の兄弟の物語だ。単純に輸入したのではなく、いかに日本的なものと調和させるかに苦心していた模様。明治の偉人の物語は熱い、そして著者の法学についての深い想いも伝わってきた。
経済学の本はあまり読まなかったが、これは面白かった。
経済学が物理学のアナロジーとして発展してきたことをヒントに経済学の数学をわかりやすく説明したもの。長いことおやすみしていた数学の勉強を再開できたのはこの本がきっかけだ。
経済学ではもうひとつ、前から気になっていたこれが面白かった。
日本人の無責任体質にまで踏み込んで議論しているのが良い。
ずっと積んでいたスキデルスキの本も良かった。
ケインズの解説書としては最良の部類と思われる。
ずっと積んでいたバーナンキ回顧録もようやっと読めた。
経済学というよりは政治の本だったかな。リーマンショックのことを思い出すことができてよかった。
経済学への関心が薄まったぶん、相対的に政治学の本を読むことが増えたかもしれない。
これも長いこと放置していたが、やはり良書だった。たしか春山昇華さんのおすすめだった。
これも一回読んでほったらかしにしていた本。ちゃんと読書ノートを作るためにもう一度読んだのだが、面白かった。アメリカ例外主義はそれほど間違っていない。
政治学ではないけど、これも読まずにいられなかったのがこちら。
わりと忌憚なく書かれていてよかった。おすすめ。
ウクライナとかロシアに関する本はほとんど読まなかった。ソローキンとかブルガーコフとかは読んだけど。
これはソローキンのインタビューが収録されていたので読んだ。それ以外は特筆すべきことなし。今年はちゃんと東欧のことを勉強しようと思う。
社会学的なものは世の中では嫌われているが、ちゃんとしたものもたくさんある。社会学が社会科学かどうかは議論のあるところだが。
こちらは人類はいかにしてマルサスの罠を抜けたかについて。
面白かったのは男女平等による出生率低下を好ましいものと捉えていること。たしかに環境問題って人間が多いことに起因しているもんね。
そして最後になるがめちゃんこ面白かったのがこちら。
これこそ社会学と言いたくなる素晴らしい仕事である。自殺と生命保険の関係について統計的にかつ歴史的に迫っているところが本書のハイライト。そして生命保険がらみの自殺のポジティブな側面も捉えているところが斬新である。
自殺に関する本はかなり読んだのでどこかでまとめたいところである。
印象に残っているのは以上であるが、noteを振り返ってみると、他にもいろいろと読んでいた。
記事にしていないのもあるが、なるべくなんらかの形で記録に残すようにしている。
記録に残しておくと、こうやって振り返ったときに楽しいのである。
今年も社会科学の本は、ウクライナ関連をのぞいてあまり読まないだろう。
経済学の本は飯田泰之先生の新著、ニック・スルネックの新著を購入済み。あとはマーク・フィッシャーの本がいくらか積んである。
それから『法の概念』とかいう法学なのか言語哲学なのかよくわからない難しい本も少しずつ読み進めている。
時間の有限性を鑑みると、社会科学に関してはこれらをこなすだけで精一杯になってしまうだろう。
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