川柳30句

音楽がチャンバラをしてやがる昼

これは「俺」と「詩」によるひっくり返し

詩作して思索に耽る施策出す

蟻地獄抜け出せぬ遺書書き出しぬ

呻く声にただただ忍び寄る鴉

狂人の散歩ぐにゃりと歪む夜

廃れた町ロックスターとなった町

眠い眠いまどろみの泥からの歌

浅学の鳥肌が立つ論破劇

なんちゃって表象文化論の冬

あゝと叫ぶ屋根淋しくて揺れている

本を埋めれば論生えてきますように

漱石の読後にて漱石は死ぬ

鷹を見よ飛ぶことのみの鷹を見よ

夢が腐ると魂が匂う

監視下の寒き鉄柵飛び越えて

爽やかに論ず蚯蚓の断面図

或る日少年耐えられず空を刺す

宙吊りにされた自称進学校

さっぱりとはりつけられたあのみみず

蚯蚓がはりつけられ厳か

まだ乾ききっていない悲嘆を着る

バーベキューソースを塗った原敬

(つげ義春連作7句)
少年の吊り目からほとばしる自我

全て失い漫画を書いた無能人

貧しさで呑む粋な計らい

親父の抱っこで首元狙う

貧しさにより性行為しか出来ぬ

神経症生み出す超現実主義

病んだ分だけの功績讃えよつげ

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