米国株投信一本か、それとも全世界投信か?!

ツイッターでよく話題になるので、自分なりの結論を出してみました。

その前に、ツイッターで見た感じだと、やはり「米国株インデックスファンド一本でいい」という意見が多いと思いました。

ちなみに米国株投信は、S&P500か、全米株式に連動するものを想定してます。レバレッジ商品などは、また別の話になるので、ここでは取り扱っておりません)

その理由としては、

・今までのリターンは、他の国や地域に比べて米国株が安定して高い。

・売り上げの過半を、米国外で稼いでおり、結局は米国に投資すれば、全世界に投資したのと同じになる。

・株主ファーストの文化や制度が整備されている。

・イノベーションが盛んで、新しい技術などもアメリカ発が多い。

・先進国で唯一の人口増加国。

うん、もう米国株一本でいいんじゃないかな(汗

そう思えるような圧倒的理由の数々……!!

まずは今までのリターンから。

これについては、

「ここ10年あまりは米国株が安定して強かったけど、ここから先は分からないよね」

ということですね。

米国株の自己資本比率は、すごい勢いで低下しています。

自社株買いでの株主還元で、自己資本を削り続けているからです。

さらに借金してまで株主還元をしています。

米国の株主還元比率は102%。日本の50%と比べると圧倒的ですね。

ただし、これが持続可能か、というと、かなり怪しいと思います。

最近では金融引き締めで利上げが始まっています。借金を躊躇なくする米国企業は、ROEが非常に高いですが、一方で金利上昇で利払いの費用が増えるのでは、と懸念しております。

そして米国株のリターンと、米国以外のリターンは、交互に来ている、というアノマリーがあります。

株式のリターンは、前年同期比で考えるので、好調な年のあとは、リターンが下がり気味になります。これは単年のリターンを並べてみると、ある程度そういう傾向になっているのが見受けられます。

米国株が強かったこの10年間でも、米国株は毎年リターンが高いわけではなく、年によってリターンの高い資産はほぼ毎回変わっています。

例えば、21年は米国株が絶好調でしたが、一番リターンの高い資産は先進国リートでした。

もう半分答えが出ましたが、この時点で米国株一択よりは、色んな資産を組み合わせた方がいい、ということが言えると思います。

これが米国株以外の株式も、株式以外の資産クラスも、組み入れておくべき理由です。

さらに、現代PF理論によると、資産を全て株式に入れるより、2,3割程度を債券にしてリバランスする方が、株式に全力投入よりリスクが減って、リターンが増えたそうです。

まあ、リターン増加と言っても、非常にわずかなものなので、切り取る期間によって変わりそうですが、それでも安全資産を少し混ぜるだけで、リスクが下がり、リターンが微妙にですが上がることが、長期的に見て言われています。

これはリーマンショックなどの暴落時には特に顕著だと思います。

全部株だと、どうしようもないけど、現金や債券があれば、リバランスで値下がりした株を買い戻せますよね。

基本的ですが、かなり有効な方法というわけですね。

話が逸れましたが、米国以外の株式の話に戻します。

新興国のGDPはすごい勢いで増えており、新興国を無視することはできないと思います。世界の経済は急速に発展しており、このあたりは『ファクト・フルネス』という本でも書かれています。

そして新興国の成長を取り込むのは、米国企業だけではないでしょう。

日本企業も、すごい勢いでアジアに進出して、シェアを取っています。

もちろん、現地企業は、地の利を生かして一番強いと思います。

たとええば、不動産企業は国際企業があまりいません。日本でも国際不動産企業は、あまり目にしないと思います。このように、「その国の実情に対応できる業界は、国内企業が多い」ということを考えると、米国国際企業だけに投資して、「これで国際的に分散されている」というのは、不完全な国際分散しか達成できないと思います。

やはり全世界に投資するなら、「全世界の企業に投資する」というのが必要になってくるのではないでしょうか。

例えば、いくらマクドナルドが日本に多いと言っても、毎食マクドに行きますか?

当然、日本食も食べるし、街のパン屋さんにも行くわけですよね。

日本人の生活を見るだけでも、米国企業だけで生活が全て成立しているわけではないですよね。

また、日本企業もオワコン説が流れて久しいですが、だからと言って未来永劫日本企業がオワコンのままなのか、というのは誰にも分かりません。今でもオワコンという評価はあまりに過小評価だと感じています。日本企業にもいい企業はあるし、それを見つけてくる、評価するという市場機能を放棄すれば、ますますいい企業が埋もれて、日本株オワコン化が現実のものになっていくでしょう。

インデックス投資を最強といいつつも、決してアクティブ投資を諦めてはいけないと、個人的に思っている理由です。

そして、個別株投資で火傷しているので、インデックス投資が最強って言ってる理由でもあるんですけどね……

さて、長くなりましたが、次は「株主ファースト文化が徹底している」ですが、これについてはその通りだと思います。

また、過去の金融危機の教訓から、法整備も進んでおり、投資環境としてはまず間違いなくトップでしょう。

しかし、先ほども述べた通り、米国企業の株主還元は行き過ぎており、このまま継続できるかどうかは疑問符がつくという懸念があります。

まあ、日本の岸田首相の「新しい資本主義」なんかに比べると、米国の方が遥かにいい環境なのは間違いないですが……

多少の懸念はあるものの、それを言い出したらキリがないので、これについてはその通りだと思います。

さらに数々のファンドを通じて、世界中からお金が集まるので、値動きも素直に右肩上がりです。

次は「イノベーションが多い」ですが、これも米国は圧倒的ですね。

そもそもの研究開発費が違う。日本の著名研究者は、ほとんど渡米して研究しております。この時点で、日本の研究開発は遅れているし、中国の方がマシでしょう。

ただ、イノベーションが株価に反映されるか、という点については疑問もあります。

ジェレミー・シーゲル教授や、マイケル・ポーター氏も、「全ての企業に新技術が導入されれば、その時点でそれが業界標準になるだけだ」と言っています。

確かにそうですが、新技術を導入できない日本企業が多いのを見ていると、米国企業同士では競争優位にならなくても、米国と米国以外で見ると、競争優位を有しているように思います。

ただ、最近は情報の広がりも瞬時になっているので、新技術導入の障壁は低くなっていると思います。

また、初代iPhoneについては、特に技術的にすごいところはなく、結局は発想やアイデアの勝負だったりするわけで、決して技術だけで全てが決まるわけではない、というのも投資家としては覚えておくべきポイントだと思います。
まあ、その発想やアイデアの部分で一番進んでいるのがやっぱり米国なんですけどね・・・

21年に上昇したハイテク株が、22年になって早くも暴落しているのを見ると、ハイテクに過剰な期待をするのは禁物だと実感します(ハイテク以外でもそうですが)。

その時はイノベーションだと言われて、そのまま時代に埋もれて忘れさられたイノベーションが数多くあることを、忘れてはいけないでしょう。

次は「先進国で唯一の人口増加国」という点。

アメリカの人口増加の原因は、結局は移民です。

移民なので、国民の分断が進んでいます。

最近はLGBTなど、差別反対運動みたいなのが盛んですが、裏返せば、差別が多くなってきていることの証左でしょう。

また、米国も緩やかながら高齢化が着実に進んでいます。

日本では少子高齢化、人口減少が枕詞になっていますが、新興国でも中国は早くも少子高齢化・人口減少が起こっています。他の新興国でも、経済が発展すれば、同じような現象が発生するでしょう。

要するに、少子高齢化は時間の問題であり、決して日本だけの特殊要因ではない、ということです。

これも『ファクト・フルネス』でデータによってはっきりとそういう傾向が出ています。

なんか、米国の揚げ足取りみたいになってしまったね……

ただ、米国株は最強だけど、無敵ではないというのは忘れないようにしたいです。

2001年のテロ事件もありますし、国内の分断が進めば、テロ以外の大規模な暴動や事件が起こってもおかしくありません。

米国の富裕層の間で流行っているのが、刑務所の経営、というのを聞いて、ビックリしたことがあります。

アメリカだと、3振制度というのがあり、軽犯罪でも3回有罪になると、問答無用で刑務所に放り込まれます。

そして刑務所を出ても、元受刑者を雇ってくれる会社がなく、結局は何らかの犯罪行為を犯して捕まってしまう。ちなみに州によっては浮浪行為が犯罪になるので、仕事につけなくてホームレスになると、またしても刑務所に逆戻り、という悲惨なこともあります。

なんだこのカイジの地下帝国編みたいな現実は……

あまりに開きすぎた経済格差は、確実にアメリカ社会にとってマイナスの影響を及ぼすと思います。

ちょっと色々話が飛んでしまいましたね。

色々語ったけども、米国株が最強であることを認めつつも、無敵でないことも受け入れて、全世界に分散しておくのが一番ベターだという結論です。

実際にアメリカの大学基金でも、「株式部分は半分アメリカ、半分はアメリカ以外で運用」されています。当の米国人が全世界に投資しているのだから、日本人が過剰に米国株信者になってしまうのは、冷静さに欠いているように見えます。

全世界に投資する方法としては、「オールカントリー」を買うか、「日本株インデックス、先進国株インデックス、新興国株インデックス」の3本にわけて投資してもいいと思います。個人的には、3本のインデックスファンドを、自分の好きな割合で持ってリバランスしていくのが、もっともセオリー通りの投資だと考えています。

管理が面倒だったり、別に時価総額加重平均でいいや、という方は、全世界インデックス一本で十分でしょう。

もちろん、後で振り返ったら「結局は米国株一択で良かったじゃん!」となる可能性もあります。

しかし、これから先、米国がずっと勝ち続ける保証は何もないですよね。

米国株が決して無敵ではない理由は、上記で話してきました。

今までの世界の歴史でも、無敵艦隊が沈んだり、大英帝国が没落したり、色んなことがありました。

やはり、世界中に分散しておく、というのは大切だと思います。

何より、僕らの大切な資産なのですから、リターンも大切ですが、リスクも見て投資しないといけないと、最近の不安定な相場を見て感じております。


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