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読書note-10

「白痴」
坂口安吾
新潮文庫
243頁

「堕落論」で有名な坂口安吾の7編からなる短編集。舞台は主に昭和20年前後の東京。戦争による爆撃による騒乱をお妾さんや娼婦の目を通して見つめる視点はなかなかに興味深い。

B29の空襲により焼け野原になるが、統制経済下にあり世の中にはなんの面白味も感じない白黒状態。だから火の海に美しさを感じたり、何も無くなったから新しい世界の幕開けに感じたりというような描写を読むと、流石戦後文学の第一人者だと思いました。

男性でありながら女性視点で書いてある短編が多かったんですが、当時の女性が読んで違和感なく感じられるなら素晴らしい表現力なんだろう。違和感があったとしても、力強いメッセージが伝わってきたので、それはそれで凄い力量を持った作家なんだろうと思いました。

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