憲法改正

 夏になると、TVから新聞から、戦争モードに入る。太平洋戦争の話である。8月6日、8月9日、8月15日とイベントが待ち構え、戦争について体験した人はほとんどいなくなり、今や戦争を知らない世代で、平和ボケの国民ばかりになって、行事が行われる。
 ただし今年はロシアがウクライナを攻めたことから、目から鱗状態になって、日本の防備は大丈夫か、と不安に思っている人が増えてきた。
 おかげで自民党には追い風で、憲法改正、防衛費拡大を進めやすくなった。かつては野党の憲法9条を守れという人が結構多かったように思うが、言葉だけでは、どうにもならないことに気づいたようである。野党のほうも改憲勢力が増えつつある。
 それだけに、流れに乗って、自民党案のまま憲法改正をするのも考えものである。そこはしっかりと議論していただいて、国民にもわかりやすく説明が必要だろう。
 自民党案をザッと見たが、なかなか面白い。甲論乙駁、意見がまとまらなさそうなところがたくさんある。前のままでいいじゃないか。何が変わったの?どういう解釈に代るの?とよくわからない文面も多い。
 憲法第百条については、憲法改正が過半数でできて、国民投票にもっていけるというのは、賛成である。これまで70余年、現実とかけ離れた憲法なのに、変えることができなかったのは2/3の賛成が必要だったからである。
 第一条の天皇について、元首という言葉が飛び出してきた。これまでの象徴という文言もあるので、天皇の立場は変わらないが、諸外国へ天皇の地位について説明するのにわかりやすくていいのではないか、と思うと同時に、別に元首なんてつけずに今まで通りでいいじゃないか、という意見も出そうだ。
 第十二条、自 由 及 び 権 利 に は 責 任 及 び 義 務 が 伴 う こ と を 自 覚 し 、 常 に 公 益 及 び 公 の 秩 序 に 反 し て は な ら な い 。という文言にはマスコミを始め野党から攻撃をくらいそうだ。
 問題の9条は第九条の三まで新設されて長々と説明されている。ショッキングなのは自衛隊が国防軍になり、自衛隊員は軍人になるということだ。軍人という響きにアレルギーを持つ日本人は多いと思うので、すんなり通るかどうかはわからないが、軍と呼ぶようにするには今以上に予算をつけて軍事大国の道へ進む恐れがあるのは否めない。
 それが世界の中の日本の役割として正しいのか、専守防衛にそこまで予算をつける必要があるのか。議論の余地があろう。
 まだまだ草案なので、この通りにはならないと思うが、これからの国会での質疑については、全国民が注目していかなければならない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?