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口がいやしい

 我が家に現在、酒がある。720mℓではあるが、まだたくさん残っている。何せぐい吞み3杯程度しかまだ飲んでいない。昼間である。外は激しく雨が降っている。外出する用事などない。どうしようか呑んじゃおうか。葛藤が始まる。
 僕は自分で言うのもなんだが、いやしい。いやらしいではない。口がいやしい。お菓子や饅頭が家にあったとしたら、迷わず残さず食べてしまわないと気が済まない。
 どうせ何もない隠居の身である。車もないから運転することもない。かといって家族全員が仕事に行ってる最中に独り、酒を吞むのも気が引ける。でもこれまで家族のために働いてきたのだ。その挙句うつにまでなって。
 そうだ、うつだから基本的には酒は呑んだらいかんのだ。だが、前日、呑んでも障りが無いことは証明できた。ただし少量ではあるが。ぐい吞み一杯くらいはいいのではないか。
 耳元で悪魔のジェリーが囁く。反対側の耳元では天使のジェリーが、呑んではいけない、とSTOPを掛けている。ああどうすればいいのだ。何でここでトムとジェリーなのか。
 酒はダイエットにもよろしくない。現在、とうとう60㎏を越えてしまった。体脂肪率も20%前後をうろちょろしている。かつての僕のデータからするとウソみたいだ。これでまた酒を呑んだら、体脂肪率はきっと上がるだろう。
 いやいやほんの一口程度である。気にするほどの事もない。5年も我慢してきたのだ。それくらいは問題ないだろう。
 まだまだ肥満といわれるような数字ではない。ましてや肥満になって成人病になって、早死にしても酒が呑めれば本望ではないか。
 いやいやそこまで酒に執着はしない。健康第一である。やっぱり呑むのはやめようか。少量とはいってもいい歳である。健康第一を掲げるのなら吞むべきではない。
 葛藤は酒がなくなるまできっと続くのだろう。とりあえず今日のところは健康第一で、酒は呑まずに、林檎でも齧るか。
 
 

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