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苦い思い出、ヤンチャ系ジムの洗礼(格闘技を始めるかもしれない息子に伝えたいこと23)

 大学3回生の夏、ある総合格闘技のジムに通い始めたが、挫けて2ヶ月で辞めてしまった。

 高校の部活で3年間、伝統派空手を練習したが「強くなりたい思い」は全く叶わず、部活に絶望した。そのため、大学進学後は格闘技系の部活に入らず、もう一つの趣味の格ゲーに没頭した。
 とはいえ、「強くなりたい思い」は抱き続けていたので、格闘技や武術の技術書を読み漁って1人練習したり、大学のジムで筋トレをしていた。
 しかし、1人練習と筋トレでは、「強くなっているか」実感はないし、「強くなるための練習」として正解かどうかも判らない。
 だから、「強くなっているか」確かめるため、「強くなるための練習」を学ぶため、家の近くにあった総合格闘技のジムへ通うことにした。

 初めてジムへ行ったとき、受付のお兄さんがとても優しく対応してくれたので、体験もそこそこにすぐに入会を決めた。
 しかし、その後、僕はヤンチャ系ジムの洗礼を受け、あっさり挫けてそのジムを退会した。

 入会して初めての打撃練習の日、トレーナーに「高校で伝統派空手してました」と伝えるとコンビネーション打撃の練習後、「じゃあ、大丈夫」と、いきなりスパーリング(以下、スパー)への参加を促された。伝統派空手の経験しかなかったので、ヘッドギア、ボクシンググローブを付けてのスパーは初めてだった。記憶に残っているのは、3人の人とのスパーのみ。
 1人目、自分よりだいぶ背の低いお兄さん、ボクシング経験者だった。開始早々突っ込んでこられて、密着から大振りのフックをブンブン振ってきた。僕は、必死でアッパーを打ちまくった。
 お互い、ボコボコに殴られて終わったけど、お兄さんは楽しそうに笑っていた。僕は、ゼーハーゼーハー肩で息をしていた。
 2人目、高校生位の若い男の子。普通にスパーしてたら、レッグガードを踏んで転かしてしまった。すると、トレーナーさんがその男の子に駆け寄り「ハイキックが入るぞ、ハイキックを狙え」とアドバイスした。僕は、前のスパーで疲れて何も考えられず、ボーッとその白んだ光景を眺めていた。その後、バンッ!!とあっさりハイキックを決められ、トレーナーの人に「総合格闘技では、空手なんか通用せえへんぞ!!」と言われた。「空手してたから自信あります」と言った訳でもないのに理不尽だ、と少しフラフラしながらも強く思った。
 3人目、身長も体重も僕より数段上の坊主のおじさん。開始早々、バチンッ!!と重いローキック(以下、ロー)を前足の左足にもらって、TKO。普通に歩けないほど左足を傷めた。僕は、「ローってこんなに威力あって痛いんだ!!」と軽く感動した。
 しかし、傷めた左足はなかなか治らず、半月ほど練習を休んだ。今考えると、スパー前にローのカット方法や避け方を教えてほしかった。

 半月ほど休んだ後、柔術の練習に初めて参加した。モチベーションが高くて、この時のため、大学生にとっては高い柔術着も奮発して買って臨んだ。
 また、技術をほとんど教えられないまま、スパーになった。相手は、打撃のスパーで思い切りローを蹴ってきたおじさん。
 おじさんが横になって受けに回ってくれたので、技術書で読んだニーオンザベリー(片膝で寝た相手を押さえ付ける技)を試してみた。すると、おじさんは、背負い投げで僕を後ろへポイッと投げた。
 受身の練習を5年以上前に、中学の授業で数コマしただけだった僕は、当然のごとく受身を取り損ね右肘を傷めた。
 傷めた右肘は、治るのに1ヶ月かかった。僕は、挫けてジムを辞めた。辞める理由は、「就活がうまくいっていないから」と嘘を伝えた。

 苦い思い出だ。

 格闘技はバイオレンス!!

 怪我しても諦めず挫けない根性があれば、入会前にしっかり事前体験していれば、スパー前に自分から防御方法をちゃんと教えてもらっていたら、たまたま運が悪かっただけ等、今でも色々と思う。
 ちなみに今、そのジムはもうない。

 相性が合う人もいるだろうが、ヤンチャ系ジムには要注意だ。

 ジム側は生徒が何を求めて来ているかちゃんと聞くべきだし、生徒も積極的にジム側に伝えるべきだ。格闘技は、バイオレンス!!だからミスマッチは、避けたい。

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