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紫陽花と殺し屋

※ジョンウィック4のネタバレがあります。

ジョン・ウィック:コンセクエンスを観た。そもそも映画に詳しくはない。前作も観たことがなかったが映画を観た旦那が楽しそうだったので2回目について行くことにした。自分の興味がないものに触れる機会ができた。結婚の良いところだな、と思う。
以下本編の感想はない。私はエンドクレジット後の映像(BONUS MATERIALと言うらしい。特典映像。)の話がしたい。




まず特典映像の内容を簡潔に言うと
ケインが娘の元に花束を持って向かっている。そこに復讐に燃えるアキラが近づいていく…
というものだった(めちゃ簡潔に述べた)。

さて本題。
ケインの花束はメインに青い紫陽花が選ばれていた。本編の内容に比べたら花なんて気にするべき点ではない。たかが少しだけ映る花束なのだから。
しかしこの花はジョンウィックが墓石に彫って欲しいと頼んだ言葉の伏線になっている(と思う)。

1823〜1829年の7年間、日本に滞在したシーボルトという医師がいる。鎖国下の日本に来日し、日本人に西洋医学を伝授した人物である。医者でありながら本来の目的は日本を調査することだった。彼は日本で楠本滝という女性と一緒になる。しかし帰国直前の1828年、日本地図といった日本から持ち出しを禁止されている物を国外に持ち出したそうとしたことが発覚、国外追放処分となってしまう。
帰国後、彼は日本の植物の研究書としてツッカリーニ(植物学者)と『日本植物誌』(1835年)を出版する。この『日本植物誌』にはケインが持っていたような青い紫陽花の図版が載るページがある。
和名はotaksa、学名はHydrangea otaksa と記載されている。シーボルトは華やかで美しい紫陽花に愛する妻「楠本滝」、お滝さん(otaksa)の名前を学名として与えたのだ。
(しかし紫陽花の学名は既に「Hydrangea macrophylla」というものがあった為、学名にはならず現在は品種名otaksaとして残っている。)

フランスの土壌はアルカリ性で紫陽花は赤く発色するらしい。その土地でわざわざ青い紫陽花を用いたのは「妻を愛した夫」というさりげないメッセージではないだろうか。
ケインもシマヅも娘を大事にしていたし、彼らもまた奥さんを愛してるのだろうな、と思った。
殺し屋の花束には妻への愛が込められていた。


参考文献
『シーボルト日本植物誌』(ちくま文芸文庫)大場秀吉章監修・解説
https://www.city.nagasaki.lg.jp/nagazine/hakken1108/index2.html 長崎ウェブマガジン 長崎市

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