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芸能人御用達病院Part2

閉店に向けて準備を進めていくなか、私にはタイムリミットが迫っていた。

娘は一歳を過ぎる頃、職場の育休が3年に伸びたばかりで、まだ遠慮しているのか通常なら皆1年で職場復帰していた中、おそらく職場ではじめて位の育休の延長を申し出た。

何故なら延長の間に、もう一回顕微授精を試みようと思ったからだ。
娘にはどうしても兄弟を作ってあげたかった。親はいつか娘より早く死んでしまう。その時に1人ってあまりにも可哀想すぎる。  

ママ友の北村さんが、第二子を妊娠した事も影響したのかもしれない。ただでさえ辛い不妊治療を職場復帰して育児しながら出来るのか、それなら今のうちにという気持ちもあった。

そう思い、また芸能人御用達病院の門をくぐった。

相変わらず、待合室はたくさんの患者さんで賑わっていた。前回と違ったのは子連れで受診ということ。
待ち時間が2.3時間超えて、急に検査が入ったりする事もある為1人ではいけないと思い、大吾の妹に付き添いをお願いした。

大吾の妹には、1人目の不妊治療のことを言っていなかったので、何か聞かれるかなと思ったけれど、元々寡黙な妹だったので何も聞いてこなかった。
待っている間娘の相手をしてくれてとても助かった。

検査を終えていよいよラスボスとの対面、前回と違ってラスボスからは、32歳過ぎたら妊娠しにくくなるよと言われた。たったの2年で妊娠率がグッと下がるらしい。この病院にきたら妊娠するよ位の自信満々だったラスボスの口からそう言われると不安になった。

次の問題は、大吾の精子だった。前回手術した後の管理方法が悪かったらしく、次に顕微授精する時は取り直さないと言われていた。また手術する事を大吾は納得してくれるだろうかと不安になったが、大吾にいうとあっさり了承してくれた。とりあえず大吾の手術の予約をしてその日は帰宅した。

次から次へ、日々色々な事が起きていく。段々変化に対応する能力を身につけていったのか、元々鈍感力があるのか、やらなくていい事をやって苦労してるのかよくわからないけれど、更なる試練の道の扉が開いた。

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