見出し画像

思い描いた出産との違い

予定帝王切開は、13時からだった。
早朝に入院して安静に過ごす。

時間までは、病室で過ごした。
流石に10万円の部屋は無理だったので、5万円の個室に入院した。3万円の部屋もあったけれど、5万円からは、産後2回アロママッサージを受けられる特典があった。

セレブ病院のアロママッサージは、結構本格的で臨月でもお腹に負担が掛からない枕を使用して、普通にうつ伏せ寝で背面のマッサージまでしてくれた。
妊婦にとってうつ伏せは、なかなか至難の業なのに、その上マッサージ付き、至福の時を過ごせた。

そのマッサージが産後2回付きの部屋は魅力的だった。しかも、通常の妊娠であれば国からの助成金が出ても出産費用は自費で、尚且つ個室代で全てなくなってしまう。
帝王切開だと出産代は全て保険なので、個室代を入れてもお釣りがくる。しかも、医療保険まで適応されるので、その点では帝王切開だとお得感はあった。

予定日が決まっていたのもあり、私が早めに入院した事を聞きつけ、大吾の妹2人と、私の母親が面会に来た。でも、手術は予定時間通りという事で、大吾と4人で、近所の有名なハンバーグ屋さんに行ってしまった。

その間、手術の準備が進められた。まず浣腸をされた。でも、おそらく新人だったんだろう。
「浣腸をしまーす」と言って管を入れるが、「えっ、今の入りました?」と言うのに、終わりましたと言って聞いてもくれない。結果何も出ず。

それを、看護師に言うのに「出なくても大丈夫ですよー」と聞いてくれない。クレーマーにはなりなたくないので不安はあったけれど諦めた。次に術衣に着替えて点滴を取ってその時を待った。

予定時間になり手術室へ行くとなっても、ハンバーグ組は帰ってこない。電話をかけて急いで戻るように言うとやっと戻ってきた。と同時に手術室へ運ばれた。その間10秒位。一生の別れになったら、ハンバーグを堪能してたこと後悔するんだろうなと思いながら手術室に入った。

手術室に入ると直ぐに、背中を突き出すように丸くなってくださいと言われ、腰に麻酔を打たれた。その後仰向けにされ、医師から「お腹に感覚ありますか?」と言われた。感覚がないと言ったら嘘になるので、」今触ってるのはわかります」と言ったら、「えっ、効いてないのかな。じゃあ寝せよう」と言われた。

「えっ寝せるって??」看護師だから、帝王切開の時は、腰椎麻酔して、胎児を取り出してから寝せる。じゃないと寝せると臍の緒経由で胎児まで寝て危険じゃないのーと思った矢先にもう眠る薬を使われた。

排卵の時とは違う薬が入った事は、直ぐにわかった。眠る過程が違った。薬名は、あれだなと直ぐに思った。

本当に最悪な麻酔。ここは、スーパーマリオの世界??ゲームの世界??異次元の夢をひたすら見る。
あっ、現実的に戻った。えっ。激痛。でも、医師に聞く、「赤ちゃん、普通ですか」職業病なのか自然に言葉に出た。医師の「大丈夫ですよ」の、言葉でまた異次元に、今度はキラキラモザイクの世界でさらに気持ち悪い世界にうなされる。

なんとなく、遠くで産声も聞こえる。この異次元さえなければ、現実に戻りたいと思えば思え程悪夢のような気持ち悪い世界が続いた。

気付いたらベッドの上だった。
普通はもうご対面してるはずなのに赤ちゃんも居ない。
理想の出産と程遠いが、どうやら手術は終わったと気付いた。側に4人がいた。

「無事に産まれた」と聞くと「大丈夫だよ。連れてきてもらおうね」「めちゃくちゃ可愛かったよ」と言われ、「普通一番に見るのはは私やん。」と、思い描いた出産とは違ったけれど、やっと我が子に会える喜びで胸が高まった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?