見出し画像

浜辺のシーグラス 3段落エッセイ

子どもの頃、海の近くに住んでいた。父はその頃は銀行員で、社宅とは言わないな、行員寮とでも言ったのだろうか。寮の2階に住んでいた。

父は釣り好きで、たまに一緒にアジを釣りに行った。さびき釣りで子どもでも何匹でも釣れた。小さいアジも全部持ち帰って母が必死にさばいてお刺身にしたり骨を唐揚げにしたり。流しにアジの頭が大量に積み上がって死んだ目でこちらをじっと見ていた。さっきまで生きてたから澄んだ目だった。たくさんの日はご近所にも配ってたと思う。海の恵みを美味しくいただいた。刺身にネギや紫蘇をたっぷり乗せてポン酢につけて食べるのが好きだった。アジは300匹あったりして、もし、あれを私がするかと思うとゾッとするぐらいの作業量だったけど。母はすごい。

たまに浜辺に行ってシーグラスを拾うのが好きだった。ビールやラムネやソーダの瓶のガラスとおぼしき茶色、薄い水色や白が多く、たまに当たりのように濃い緑とか青や赤のシーグラスを見つけるとテンションが上がった。妹と自慢し合ったっけ。すべすべな手触りのまん丸球体の白い石もそこで拾ったんだった。長いこと勉強机に飾っていたものだけど、いつの日かどこかに行ってしまった。

この記事が参加している募集

スキしてみて

海であそぶ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?