タイトルを「ナンパで初体験」改め、「ツイキャス」にした。今回の話はかなり長い。

次はバイト先で知り合ったチーの話である。

年齢は俺の一個下。
ある日、チーは俺が隣りの席になり、朝イチで積極的に話しかけて来た。

たまたまごく一部に話した俺の副業について話が漏れてしまい、彼女の耳にも入っていたようだ。

チーは精神疾患があり、両親はどちらも教師。三姉妹の真ん中だそうだ。男性に対して狩りをしているような、そんな印象を持った。

彼女の自慢はツイキャスでフォロワーが何人いるとか、そんな話だった。ツイキャスという名前は聞いた事はあるが、どんな物かは全くわからない。が、
「私って人気あるんだ！」と、彼女にとってそれは自信になっている様だ。あとはゲームが好きだと言っていた。俺はゲームという物が全く無意味だと思っているので、まるで興味が無かった。

昼食を一緒に食べようと誘われて、その流れでLINEを聞かれた。素直に教えたが、コレは後で後悔する事になる。

帰りも駅まで一緒に歩いた。

翌日。チーは休みだった。
仲良くしている職場の先輩はおじさんだが、古参なので色々な話をしてくれる。

オジ「〇〇君(俺の名前)、昨日チーさんに迫られたけど大丈夫だった？」

俺「今はコレと言って何も無いですが、帰宅時も駅までついて来ましたし、LINE交換したら朝からおはよう。頑張ってね。って連絡来ました。」

オジ「あー。ターゲットにされちゃったか。あの子は年下の好みの男性がいると食いついてしまうみたいなんだよ。」

俺「あー。ジャニーズ好きって自分で言ってましたね。俺の事も年下だと思っていたみたいです。」

オジ「そうか・・。まぁ、頑張ってくれ！」

これである程度は察した。

その翌日。
また朝からおはよう(絵文字)とLINEが来た。
駅から職場までは一本道なんだが、その日は朝からチーは俺を待ち伏せしていた様で、俺を見つけると腕を組んで来た。一体朝から何を考えているんだろうか。

休みの日は休憩時間を狙ってオフィスビルの前で待ち伏せし、ランチに誘ってくる。

そんなある日、チーからメッセージが来た。
「私のツイキャス、聞いてみない？」

まぁ、いいか。聞いてみる事にした。

テレビを見ながらその内容を実況中継していた。
終わった後に良かったよと伝えたが、本音は

こんなくだらない事やって何人か聞いてるファンが居る事が信じられなかった。マツコデラックスの月曜から夜更かしという番組らしいが、俺はテレビすら見ない。ジャニーズのナントカ君がー、とか何とか喋っているが見りゃ分かるであろう内容を話してるだけだった。

だんだんと俺はチーにウンザリしてきた。
ある日、カラオケに一緒に行った帰りにドーナツでも食おうという流れになり、その時に某所のホテル街を通った。

すると、ドーナツ屋さんに行く道中でチーはすごい事を話し始めた。

「私は大学時代、好きな人が居たんだけどフラれてしまって、20歳を超えるまで処女だったの。」

「それ以来、早く処女である自分が嫌で逆ナンして初体験したんだ。」

「その後に何人か付き合ったんだけど、出会い系アプリで知り合った人と付き合って7年前に結婚したんだ。でも今は離婚しようと思ってて、3年間セックスレスなの。」

「で、旦那に隠れて出会い系アプリで知り合った人と3年で50人の人としたんだ。私モテるんだなって気付いちゃった。」

「ちなみに私が狙うのは年下クンだけなんだ。若い子ってすぐに私に興奮しちゃうし、たくさん求めて来て大変だけど、特に年下クンにモテるみたい。」

「〇〇君(俺の名前)も私とやってみようよ。私より年上だけど特別に許してあげる。」

「私は彼氏とか作らないタイプだけど、彼氏になりたいって人はなっていいよ」

「私は何人の人とセックスしてもいいけど、彼氏になる人は私としかしちゃいけないルールがあるんだ。」

俺はそれに対して
「ネットで人気ですごいじゃん」
と、だけ言った。仕事があると言って帰宅した。

そこからチーから届くメッセージは増した。
ツイキャスも聞いてくれとか。

俺は適当にあしらった。

このヤリマンはもう人として見ていなかった俺は、たまに入るスイッチがオンになり、そうなると対象者をオモチャにしてしまう。

適当に褒める→相手が調子に乗って自信過剰な発言をし始める→動物園みたい

ある時、チーは機嫌が悪くなっていた。
俺が一度たりともセックスに応じない事でプライドが傷付いたらしい。

話は逸れていき、チーの持つ精神疾患の理解が無いだの、いい年して俺が結婚していないだの。全てを否定する内容のメッセージを送って来た。

チーの怒りが落ち着くまで、俺はただ既読を付けるだけにした。

すると、
「あのさ、ちゃんと聞いてるの！？」
と怒り最高潮のメッセージが来た。

俺が送ったのはスタンプ一つ。
可愛い動物のキャラクターが無表情で
「既読」
と吹き出しがついたもの。

チーはそこでブチキレたんだろう。

ブロックされた。

そういや、チーが最後に言ってた。
子宮頸癌になりステージ4で手術をしないといけない。もう妊娠できなくなるかも知れない。なんで私がこんな目に遭わないといけないんだと。

この人が手術が終わって回復後、妊娠出来ないとなっていたとしたら。それはそれで怖いと思う。

この天罰で何かを学ぶといいんだが。

俺は沈黙という言葉でそれを伝えたつもりだ。

何故言わなかったか？
言っても伝わらないと思ったから。