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進撃の巨人 The Final Season 完結編を観て ~最高の作品をありがとう~

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season完結編を観終わり、圧倒的満足度と少し息の上がった興奮冷めやらぬ気分を味わっています。充実感と大きな作品を観終わった喪失感が同居している不思議な感覚です。


進撃の巨人との出会い


私のファーストインプレッションはアニメ版「進撃の巨人」第一期であります。世間を進撃の巨人色に染めた、一代ムーブメントを巻き起こした時に私も例にもれず楽しませてもらいました。圧倒的映像美と立体起動装置のアクションシーンは今でも見劣りせず、聴く者を魅了し、熱くたぎらせる曲など多くの魅力を秘めた作品です。

進撃の巨人 第一期

心掴まされたシリーズ後半

しかし、私を心の底まで離さず捉えることとなるのは、第4期となるThe Final Seasonからです。人間対巨人という人類の存亡をかけて戦う前提が崩れ、人間対人間という人類同士の血で血を洗う戦争模様が浮かび上がってくる内容でありますが、それにどうしようもなく惹かれてしまいました。
第1期から第3期までのテイストと様変わりしこれまでの話が序章のような展開に驚いたことを思い出せます。これまでの話を大きく広げているにもかかわらず、国家間の話や人々の待遇に焦点があっていくと私たちが生きている世界と地続きであると理解でき、それは逆に世界の動きがこれまで以上にわかりやすくなるという現象が私の中で起こりました。

反出生主義、差別、パワーバランス、恐怖、自由など私たちが生きている世界の合わせ鏡のような世界が進撃の巨人にあったのです。

進撃の巨人 The Final Season 完結編 感想

エレンというキャラクターの深さ


完結編では、エレンによって人類の8割が殺されることになります。
ミカサやアルミンなどパラディー島のみんなを助けるためにすべての罪を背負うことになります。一方、外の世界を平らにしたいという私情によるものでもあると語ります。

エレンの仲間を守りたいという気持ちと世界を平らにしようとする身勝手な考えの両方を描いている点にぐっときました。聖者の悪徳、罪人の親切という人間は二面性を持っています。相反する感情もありますし、理屈と感情という建前と本音を隠し持っているものです。そんな複雑ですっきりしない人間模様を描くことでキャラクターに深みが出ており、釘付けになりました。ミカサに対するエレンの本心もそれに拍車をかけています。

TVアニメ『進撃の巨人 The Final Season』

生命の呪縛と生きる意味


また、劇中、生命の生きる目的が増えることであるため、私たちはそれから逃れられず、私たちはそれの奴隷であるという言葉に身をつまされる思いに陥りました。
そのアンサーが何気ない日常で感じた思い、例えばキャッチボールをしたり、友達と野を駆けるなどの行動から湧き出る気持ちは子孫を増やすことに関与しないが自分にとって大切なことであり、それこそ生きる意味になるのではないかという提言にハッとさせられます。
子供のころ、夕暮れ時の公園で友達とサッカーしたとき感じた感情は生きる糧になりえるのではないかと……

ミカサとエレンのシーン


もちろん、ミカサがエレンを止め「いってらっしゃい」という発言の後、エレンの頭部をもって口づけをするシーンに神々しさを感じ、最後の丘でのシーンで流れる「二千年... 若しくは... 二万年後の君へ・・・」と「エレン、マフラーを巻いてくれてありがとう」という台詞に涙ぐんでしまいます。最後のセリフを言うまでのつなぎが言葉の純度を最大限高めるような演出であり、聴いてすべてを包み込むような包容力を感じました。最後のセリフのためにこの作品は書かれたのではないかと思わせます。

進撃の巨人 アニメ完結編(後編)

多くの示唆を観ている視聴者に与えてくれる作品であります。

巨人がいなくなっても争いはなくならない
きっとこの結果はエレンだけの選択ではありません、私たちがもたらした結果がこの世界なのです
私たちは戦わなければなりません、これ以上戦わないために

 TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season 完結編 後編 劇中でのヒストリア・レイス独白 

おわりに


「進撃の巨人」という一つの作品を観終わって、なんだか明日に向けての活力のような何かが心に残りました。終わりは寂しくはありますが、見返すことでまたその世界に浸ることができる、それも物語を美しく締めた作品を。原作者、諫山創さんや編集者、アニメ監督林祐一郎さん、アニメに携わった関係者いや「進撃の巨人」に関わったすべての人たちに感謝申し上げます。

面白い作品をありがとう

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