銃社会アメリカの悪魔的悪循環


最近アメリカでは銃の乱射事件が頻発している
日本経済新聞によると2023年1月1日から22日までの22日間に銃乱射事件が39件発生し計69人が死亡した。

アメリカではこうした銃乱射事件が年々増加傾向にある。
多くの日本人には信じられない頻発ぶりだが事実なのだ。
なぜならアメリカでは人が一人や2人殺されたぐらいではニュースバリューがなく報道されないため日本人は知らないのだが驚くべき頻発ぶりだ。

2020年にはこうした事件が600件を越え、21年にはアメリカ史上最多の690件になった。

筆者の予測では今年は更に増えそうである。
これほど記録的に増加している銃乱射事件に対して日本人なら当然、銃規制を強化しようとする筈なのだがアメリカではそうはならない。

ここにアメリカの病巣がある。

第一にアメリカの建国にまつわる銃の問題がある。
要するにアメリカの輝かしい建国史とは西部開拓史なのだ。
そして西部開拓史とは銃を使って原住民やメキシコ人から土地を暴力的に強奪してきた帝国主義的植民史に他ならない。
つまりアメリカの建国史では力=銃こそ正義なのだ。
これは岸田首相がプーチンを非難する「力=銃による一方的な現状変更」をやって来た歴史こそがアメリカの建国史に他ならない。
したがってアメリカ憲法には一般アメリカ市民が銃を保持すること、普通に銃を訓練することは神聖にして犯すべからざる権利であると堂々と書かれている。

したがっていかにリベラルな民主党員が銃規制を強化しようとしても、保守的な共和党員は、銃を保持するという神聖な権利を絶対に手放そうとはしない。
そしてアメリカ下院では共和党員が多数派なのだ。
これでは銃規制が一向に進まないのも当然かもしれない。

第二に銃コマーシャリズムという構造的汚職?(悪循環)がある。

何のことかといえば、銃乱射事件が頻発すればするほど銃砲店が儲かるというふしぎな構造がアメリカにはあるのである。

つまり銃乱射事件が起こるたびに、アメリカ人は銃を買いに銃砲店に行ってしまうのだ。

したがって銃砲店や銃メーカーは、銃乱射事件が起こるたびに儲かって儲かって仕方がないのである。

そのせいでアメリカは四億丁もの銃を一般市民が所持する、世界でも稀な恐ろしく野蛮な国家になってしまったのである。

そして銃砲店はこんなに儲かる商売を邪魔されてたまるかと、その圧力団体(全米ライフル協会など)を通じて共和党へ巨大な政治献金を流すのだ。

こうして銃は益々売れ、銃砲店は益々
儲かり、共和党は益々政治献金で潤い、銃規制は一向に進まず、銃乱射事件は益々頻発し、アメリカは益々、銃が充満する野蛮な国家になってゆくのだ。恐ろしいことだが、銃乱射事件はアメリカで銃を売るためのコマーシャルになっているのだ。

こうして2021年、アメリカは史上最悪の銃乱射事件を記録した。

こうして銃ほど儲かる商売はない不思議な国家、世界一銃の野放しな野蛮な国家が、世界一経済的に繁盛しているのだから救いようがない。

いわば経済を活性化するためにも銃乱射事件が必要な国になってしまっているのだ。

このことはアメリカが、世界一の軍事大国であることと無縁ではない。
なぜなら銃による正義を実現する社会こそ、アメリカの輝かしい建国史であるように、核抑止のような軍事力による正義を実現する社会こそパックスアメリカーナ(アメリカによる平和)なのだから。

だが賢明なるアメリカ市民諸君!

よ—く考えていただきたい!

度重なる銃乱射事件に恐れ慄き、あなたがたが自衛のために銃を買いに行く気持ちはよくわかる。

だがそのことが犠牲者を減らすことにつながるだろうか?

残念ながらそうはならない。

なぜなら銃乱射事件の犠牲者は、あなたがた自身ではなく、あなた方のお子さんたち、小中学生、高校生たちだからだ。

そしてあの忌わしく悪魔的な<悪循環>が始まる。

つまり銃が売れれば売れるほど銃砲店が儲かり、全米ライフル協会が儲かり、共和党は政治献金で潤い、銃規制は一向に進まなくなり、銃乱射事件は益々増えるのだ。

アメリカの銃乱射事件が突出して多いのは、アメリカ人が飛び抜けて凶暴だからか?
そんな筈はない。

アメリカ人が飛び抜けて精神を病んだ人が多いからか?
そんな筈はない。

ただ単にアメリカ社会に銃が多すぎるからなのだ。

アメリカの銃乱射事件の多さと、アメリカ社会の銃の多さは正比例している。

つまりアメリカ社会の銃の数を減らすことが、銃乱射事件の数を減らすかとになるのだ。

賢明なるアメリカ市民諸君!

どうか銃を買わないで欲しい!
これ以上、全米ライフル協会を儲けさせないで欲しい!

銃で自衛したいという願望を捨て、アメリカ社会から銃を無くすキャンペーンに協力して欲しい!

なぜなら統計がハッキリと示しているように、アメリカ社会から銃を減らすことが、銃乱射事件を減らすことになるからだ。(今田裕相)






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?