見出し画像

「空港にて」を読んで

この本は村上龍さんの短篇集で、「コンビニにて」、「居酒屋にて」、「公園にて」、「カラオケルームにて」、「披露宴会場にて」、「クリスマス」、「駅前にて」、「空港にて」の八篇が収められています。

この本を読むと、海外に希望を持って、日本を出ていく人の描写が多いですが、あとがきを読んで納得しました。
「この短篇集に収められた作品は、幻冬舎編集の留学情報誌のために書き始めた。雑誌の性格上、留学のために海外に出て行く人物を主人公にした。わたしは、居酒屋や公園やコンビニなど、日本のどこにでもある場所を舞台にして、時間を凝縮した手法を使って、海外に留学することが唯一の希望であるような人間を書こうと思った。考えてみれば閉塞感の強まる日本の社会において、海外に出るというのは残された数少ない希望であるのかも知れない」と、村上龍さん自身があとがきを書いてます。

私も一年間だけど海外に住んだ経験から言うと、色々な国や、他国民と触れ合うことで、日本の常識という枠を超え、新しい価値感を学ぶとともに、日本人という自己アイデンティティを再確認する機会を得ることができると思う。
稲作文化をしてきた日本人と、狩猟民族であるヨーロッパ、アメリカ人の考え方、民族としての特性の違いはとても興味深かく、それゆえに外部環境(他社、他国など)をあまり考えず、内輪で椅子取りゲームをする価値観を築いてきたのではないかと感じます。
とても面白く、共感した作品ばかりでした。後でゆっくり再読したい本です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?