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経済紙『日本経済新聞』は「企業」というが,一般紙『毎日新聞』は「大企業」というそれぞれが想定する対象の「質・概念に大きな差」

 『日本経済新聞』と『毎日新聞』とが,直近における経済情勢を「記事にして朝刊1面で報道する」さい,それぞれが見出しに出した「企業」と「大企業」という表現の相違点に感得できる「経済感覚」の常識的な次元でのズレ。 

 ※-1 昨日の報道であったが,『毎日新聞』2023年7月4日朝刊1面(795文字)が,「景況感,7期ぶり改善 大企業・製造業 自動車回復 日銀6月短観」だと見出しをかかげて報道していた

 それに対して,『日本経済新聞』2023年7月4日朝刊1面(1420文字)は,「値上げ・円安,前向く企業 製造業景況7四半期ぶり改善 日銀短観消費に弱さも,賃上げカギ」『日本経済新聞』との見出しにして報道していた。

 それらの紙面はいずれも朝刊の冒頭(トップ)記事であった。この『毎日新聞』と『日本経済新聞』の記事においては,そもそも費やしている文字数が,後者が前者のだいたいで倍近くもあった。

 一般紙と経済紙の違いだからその程度の文字数の差があって当然だと感じるが,そもそも見出し文句のつけ方に,これは観方にもよるが,どだい「大きな違い」がみられた。
 

 ※-2 それぞれの紙面から『毎日新聞』はその全文を,『日本経済新聞』はその「冒頭」段落をいくらか紹介(引用)する

 『毎日新聞』 日銀が〔7月〕3日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は,企業の景況感を示す業況判断指数(DI……これはエイゴの頭文字にあらずして,日本語の「(ぎょうきょう はんだん しすう;ディーアイ)」のこと)が,大企業・製造業で前回3月調査から4ポイント改善のプラス5だった。2021年9月調査以来,7四半期ぶりに改善に転じた。自動車生産の回復や,エネルギーや原材料価格の高騰が一服したことが寄与した。

『毎日新聞』2023年7月5日朝刊1面冒頭記事

 大企業・非製造業は3ポイント改善のプラス23だった。5四半期連続で改善し,2019年6月調査(プラス23)以来の高水準になった。新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行したことで,人々の外出機会が増えたことや,訪日外国人(インバウンド)需要が復活したことが追い風になった。

 業況判断DIは,景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた指数。

 大企業・製造業は,16業種のうち10業種で改善した。業種別では,「自動車」がプラス5と14ポイント改善。生産低迷の原因になっていた半導体不足が緩和したことが景況感回復につながった。「石油・石炭製品」はマイナス6だったが,40ポイントの大幅改善となった。

 大企業・非製造業は,12業種のうち7業種で改善した。業種別では「宿泊・飲食サービス」が36ポイント改善し,この業種の調査を開始した2004年3月以来,最大の改善幅となった。旅行業などの「対個人サービス」も4ポイント改善した。

 補注)ここでは,期間比較としてだが,「なぜ,最大の改善幅となった」という点には,これじたいに疑問を抱いておく必要があった。新型コロナウイルス感染症の影響が多大であったことが,なんといっても,その基本にあった第1の要因。

〔記事に戻る→〕 3カ月後の景況感を示す先行きDIは,大企業・製造業でプラス9と4ポイント改善した。一方,大企業・非製造業では,3ポイント悪化のプラス20で,コスト増や人手不足などから景気回復の鈍化が意識されているようだ。

 2023年度の想定為替レートは,1ドル=132円43銭と,前回の131円72銭からさらに円安が進行するとみこんんだ。1年後の消費者物価指数(CPI)の見通しは,全規模・全産業で前年比2・6%上昇と,前回調査(2・8%上昇)を下回った。(以上『毎日新聞』からの引用終わり)

 要は,大企業の製造業の業況が回復基調となり,それもかなり好調となっていたという報道であるが,『毎日新聞』はあくまで,主に「大企業界に関係する契機の変化」を伝えているに過ぎない。

 その間,企業物価指数や消費者物価指数の上昇率を考慮してみるに,以上のごとき「なんとかが上昇した」という文句(報道内容)も,庶民感覚から率直な感想でいうと,「フン,それがどうした」という印象をもつ。

 先月であったが,「企業物価,5%以上上昇24カ月連続 過去最長」『日本経済新聞』2023年6月12日 20:57,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1214T0S3A610C2000000/

という報道があって,今月になると,

 「2022年度の税収71兆円,3年連続最高 消費税けん引」『日本経済新聞』2023年7月3日 20:02,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA030WU0T00C23A7000000/

という報道もあった。
 

 ※-3 世界経済のなかで国際経営行動をともなう大企業ならばともかく,国内の中小・零細企業にとって,以上の景気動向はけっして「そのとおりの実感」をともなってはない

 だから,『日本経済新聞』7月4日朝刊1面の記事は,こう書き出していた。 

 企業の景況感が変わりつつある。日銀が〔7月〕3日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)は大企業の製造業,非製造業の景況感がそろって改善した。自動車は半導体などの供給が正常化に向かい,幅広い会社で原料費の価格転嫁が進む。円安で訪日外国人向けビジネスにも追い風が吹く。日経平均株価はバブル後の高値を約2週間ぶりに更新した。

『日本経済新聞』2023年7月5日朝刊1面

 要は,あくまで大企業体制を中心の舞台とした景気動向が,どうだこうだ,ああなった・こうなったという次元の話題であって,『毎日新聞』と『日本経済新聞』がこの同じ日銀短観に関してい報道した点をみると,見出しの表現において,前者が始めから「大企業」とかかげたのに対して,後者はさりげなく「企業」とかかげていた。

 一般紙『毎日新聞』と経済紙『日本経済新聞』なのだから,そのように日本の産業経済全体・企業経営総体を観る目が基本的に異なって具体的に表記されるのだといえそうだが,大の字が着くのとそうでないとでは,それこそ「大きな違い」があると理解することも可能であった。

 『毎日新聞』はいちおうリベラルで進歩派と目される新聞社の立場にあるのに対して,『日本経済新聞』は体制派べったりで保守的,財界情報新聞なりとみなされる報道機関でもあった。とくに原発の問題になると,『日本経済新聞』が推進派なのに対して,『毎日新聞』はその逆であった。
 

 ※-4 そもそも,原発の経済計算,財務会計,管理会計の問題を10年単位でみきわめもせずに,原発はまだ必要だと提言してやまない『日本経済新聞』の立場は,21世紀におけるエネルギー資源観に大きな欠落があった

 原発の推進,その再稼働や新増設にこだわっていたら,この原価会計にまつわる負の因果が,めぐりにめぐっては結局,大赤字を垂れ流す不都合・不如意に追いこまれるといった「技術経済的な短命的な宿命」は,おそらくその原発を推進する立場を,積極的に表明してきた原子力工学者などの専門家のあいだにあっても,実は,先刻よく承知の点(事実)であった。

 ただ,原子力ムラ的なしがらみ,換言すれば,その蜘蛛の巣に絡みとられている「彼らの立場・利害・イデオロギー」の現実的な状況に照らしていえば,ひとまず,なんとも動かしのないその事実関係が控えていた。

 廃炉の問題はどうする? 原発そのものの利用を止めないかぎり,21世紀中に終わるわけもない「塗炭の苦しみ」が待ちかまえている。ましてや,原発を新増設したぶんには,22世紀にまでその困難をもちこむ覚悟しなければならない。

 核燃料サイクルだとか高速増殖炉かは,発育不全という以前に実質的に計画倒れ状態をいまも続けているJ。ネコババをマネした核廃棄物の処理方法しか,ありえないのか? そうだとしたら,いますぐにでも原発は廃絶したほうが得策である。しかし,それでもその後始末には1世紀単位の時間が要求される。それでもきれいに後始末ができるかどうかおぼつかない。

 また,新型の原子炉があれこれ計画・開発され,実用化・商用化されると喧伝されているが,そのようなもくろみがもしも実現されていったとしても,この地球環境は,原発の廃棄物を始末するために「われわれ人類のもちうる精力・エネルギー」を,大幅に吸いとられる危険性すらある。

 いまや原発じたいがエネルギー問題のなかでは獅子身中の虫となっている。これを具体的に物語るのが原発の廃炉工程の問題であり,「トイレのないマンション状態」とも表現されている。

 その表現は,発電の結果必然的に生ずる高レベル放射性廃棄物,いわゆる「核のゴミ」の処分方法を定めないまま発電を開始し,そして今日に至るも最終処分方法が定まっていない原子力発電所を,まっこうから揶揄していわれるコトバであった。

 今後,その種の困難がきわまっていくことは必定である。「火を見るより明らか」というたぐいのそれであった。なかでも,再生可能エネルギー分野のさらなる導入・利用を,基礎から妨害する要因に原発がなっている現状は,日本のエネルギー問題に向かい,決定的な打撃を与える。

 核燃料サイクルだとか高速増殖炉だとかの実用化・商用化は,日本ではとくに完敗つづきであった。原発の利用体制を継続的に維持させるために不可欠である基礎要件を欠いたまま,いまだにこの原発にこだわっているようでは,原発亡国ということばを用意しておく必要まで生まれそうである。

 隣国の韓国も,原発を,国土面積や国民あたりの基数で計算したら日本に負けないほど密度で地理的な配置になっている。また,中国本土のとくに海岸線にはこれからも内陸部も含めて原発が新増設されそうである。これほど原発を増やすだけの太平洋の西側地域になっているが,その現実の稼働状況は,想像してみただけで恐ろしいと感じる。

2022年1月現在だと中国の原発は51基に増えている

 まかり間違えて,そのうちの1基でも大事故を起こしたぶんには,一国範囲内での問題の規模ではなく,世界全体・地球環境に対して重大かつ深刻な打撃を,それも三度まで,つまり,チェルノブイリ原発事故(1986年4月)と東電福島第1原発事故(2011年3月)につづいて発生させることになる。

 原発が事故を起こさないという保証など,人間の使う技術として絶対にありえない。現状,「プーチンのロシア」によるウクライナ侵略戦争が2022年2月24日に開始されて以来,今日の段階でしりえている事実は,ロシアが戦況不利になりつつある状況のなかで,占拠しているザポリージュ原発に爆発物をしかけて撤退した。

 原発=原爆である。『日本経済新聞』はこの原発の「積極推進」を社是とする新聞社である。大企業体制のために,いいかえれば「財界」のために報道する仕事が主であるこの新聞紙ゆえ,日銀短観の発表には一喜一憂するかのごとき報道をするのも大事な業務であるといえ,いったい世間の世界のなにを観て報道しているのか? 
 

 ※-5 この7月の日銀短観が発表される直前にこういう指摘がなされていた,今日からいうと先週における指摘であった

 木内登英「〈コラム 木内登英の Global Economy & Policy Insight〉 日本経済は『偽りの夜明け』か(日銀短観予測)」『NRI』2023/06/28,https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2023/fis/kiuchi/0628 を紹介する。

 この木内登英は,現況の日本経済に対して,ごく当たりまえに分析・評価をくわえていた。全文は紹介せず,なかの見出しと,とくに関連する段落のみ引用する。

 最初に出していた見出しがまず

  「大企業製造業の景況感は7四半期ぶりに改善の予測」

 つぎの見出しが「インバウンド需要が経済に好影響」

 3番目の見出しが「円安などの影響から国内経済に回復期待」

 4番目の見出しが「海外経済に悪化の兆候が広がる」

 5番目の見出しが「足もとの『景気回復観測』は『偽りの夜明け』」に終わるか」

 この最後の見出しの段落が肝心な現況に関する説明していた。その全文をつぎに引用しておく。こう解説されていたが,現在の日本経済を根底からまともに捕捉すべき観方は,これしかありえない。

 欧米ともに,足元で製造業の景況感が急速に悪化している。これは,原材料や人件費の高騰,大幅な金融引き締めの影響,今春以降の銀行の貸出抑制姿勢の強まりを受けた,企業の資金調達環境の悪化,などを反映したものと考えられる。さらに,中国経済は低迷が長く続いており,世界のなかでは異例であるが,金融緩和が実施されている。

 日本,米国,ユーロ圏,中国の4か国・地域の製造業PMI〔Purchasing Manager's Index の略で,製造業やサービス業の購買担当者を調査対象にした,企業の景況感を示す景気指標のひとつ〕は,6月速報段階で,まだ公表されていない中國を除けば,いずれも判断の分かれ目である50を下回っている(図表)。さらに単純平均値は46.6と,コロナショック直後の2020年5月以来の低水準となっている。これは,経済が後退期に向かう兆候といえるのではないか。

PMI,Purchasing Manager's Index とは
製造業やサービス業の購買担当者を調査対象にした
企業の景況感を示す景気指標のひとつ

 今回の短観をきっかけに,国内では経済の回復期待が高まる可能性がある。しかし,主な輸出先である中国及び欧米経済に下振れリスクが高まるなか,日本の輸出環境には下振れリスクが高まっている。輸出が悪化するなかでも個人消費を中心とした内需が主導するかたちで,日本経済が改善を続けることはむずかしいだろう。

 短観によってさらに強まる可能性がある国内経済の改善期待は,「偽りの夜明け(False Dawn)」に終わることを覚悟する必要があるだろう。(引用終わり)

 結局,大企業・製造業に関してはなんとか景気動向に明るい見通しがもてるかのように報道していても,世界経済・国際企業の次元における景気の見通しは,野村総合研究所の研究員が以上のように指摘したように,けっして明るくはなく,そして有望でもない。

 そのところを日銀短観の月次発表にもとづき,フラフラとした,わけの分からぬ経済記事を,それでもいかにも希望がもてるみたいに,短観ではなく近視眼的に書くのは,ほどほどにしたいところである。

 日本国内,庶民の側における経済生活の日常的な実相は,「二進も三進もいかない現実に置かれている階層」から,大企業に勤務しているがゆえに「まだほどほどに余裕のある生活ができている階層」のあいだには,「格差社会」の存在を指示する一定の断層が,すでに四半世紀前ころか定着しだしていた。

 そのなかで『日本経済新聞』がまさしく《日本財界新聞》の立場・イデオロギー代弁者よろしく,すなわち,大企業体制の舞台だけにもっぱら焦点を合わせて,それも明るく報道したがる立場が同紙の基本姿勢だとしたら,この21世紀における日本経済の前途は,いよいよ「凋落への進路」しかありえない。

【参考記事】-大企業優遇の税制を消費税関連で説明する記述ー
  ⇒ http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/shouhi/061106/061106.html


 ※-6 森嶋道夫『なぜ日本は没落するか 』という本が岩波書店から1999年に公刊されていたのは,伊達でも酔狂でもなく,真剣に日本の21世紀を予測したからである

 森嶋道夫のこの本『なぜ日本は没落するのか』1999年は1998年の日本を基準に書かれていた。そして,21世紀の迎える前年に発行されていたが,すでにその兆候がよく透視できていたこの経済学者の視線には,それから四半世紀が経った2023年の現在を,予想ではなく確信をもってそのように,「なぜ日本は〔さらに〕没落するか」と問うていたわけである。

 この森嶋の本に対して,アマゾン通販のブックレビューを寄稿したある人の感想は,それも一番さきにかかげられていたそれであるが,こういっていた。このレビューは長文ゆえ,ここではほとんど紹介できない。

 じかにその書評に接してみてほしいが,要はこう語っていた。ほんのさわりの部分だけ紹介することになる。ごく一部分の紹介だけとなるが,「2050年になる以前の現在,2023年7月のところ」で,すでにこの森嶋道夫を予測(予言)が的中した事実には唖然とまでさせられる。

 その間,この国の最高指導者の地位を占めていた首相たちは,ろくでもない政治屋,それも「世襲3代目の政治屋」(この事実は与野党を問わない)たち就いていた。彼らはまるで,この国を破壊するかのように首相の座を演じてきた。いうまでもないと思うが,そのもっとも最悪であった典型が安倍晋三であったが……。

 本書は1998年の時点で2050年の日本の状態を予測したものですが,2023年の現状を見ただけでも25年前の予測がまさに正確で,没落の理由についても的確に分析されていることに感嘆します。

 しかし,ただ感心している場合ではないのです。実は本書は恐るべき絶望の書であり読む者を暗澹とした気持ちにさせます。著者の予測によれば,日本は今後2050年に向けて没落につぐ没落を続け,もはやそれを救うことはできないからです(東北アジア共同体案については後述)。

 日本がこのまま没落を続けた場合,わが国は将来どうなっているのでしょうか。弱小国ではあっても独立国という形を保持でき来ているのか,あるいはアジアの大国に併合あるいは属国化されている可能性の方が大きいのかと心配します。

森嶋道夫が予測した21世紀の日本没落

 というわけで,森嶋道夫が前世紀最後の年に公刊した本は,「日本の運命」を,いわば宿命的な経路にあったかのように指摘していた。しかも見事に的中させてもいた。そのさい,的中させていたとはいっても,これは社会科学の見地から下した学問的な判断であった。「当たるも八卦はずれるも八卦」の占い的な世界観とはまったく無縁の「理論の分析・展望」にもとづくその判断であった。

 つぎの図表は昨日(2023年7月3日)にも引照したものであるが,この図解として意味する実質は,あえて説明するまでもない日本の現実を教えていた。

もうすぐほかの国にも追い抜かれる日本だが

 だから『NRI』の研究員も,現状における日本経済の見通しを,「足もとの『景気回復観測』は『偽りの夜明け』」に終わるか」という項目を立てて,論稿を締めていた。

 本日のこの記述の最初では

 『日本経済新聞』2023年7月4日朝刊1面(1420文字)は,「値上げ・円安,前向く企業 製造業景況7四半期ぶり改善 日銀短観 消費に弱さも,賃上げカギ」との見出しをかかげて報道していた,というふうに紹介してみた。

 だが,この直近に公表された日銀短観に観てとるべきは「足もとの『景気回復観測』は『偽りの夜明け』に終わる」という見通しであった。その「消費に弱さも,賃上げカギ」だと説明された中身についていえば,とくに「賃上げが期待できる大企業製造表」に勤務する労働者であっても,インフレ基調となった現状において,生活経済のなかで「貧乏に追いつく賃上げが十分に充足されている」わけではなかった。

【参考記事】-つぎに関連する記事は,2023年7月7日の『日本経済新聞』夕刊「冒頭記事」である。以上までの記述内容を補足する意味で,2日あとになっていたが,挿入したものである-

貧乏を振り切るための稼ぎがえられない時代か

 ということで,最初に画像資料をもって紹介した『日本経済新聞』2023年7月4日朝刊1面の記事「紙面の見出し」は,大企業ということばを表面に入れていない報道の仕方,およびそうした見出しの立て方:書き方になっていた。

 だから本当のところでは,全体経済における特定現象の進行状態を端的に意味する「日本経済の凋落ぶり」は,正直にという点ではかつまた反面的にであっても,すべからく等しく全体的な様相として表現されていたことになる。
 
 しかし,同日の『毎日新聞』朝刊1面の当該記事の見出しにしたがえば,大企業の次元に限定されていた日本経済の現況理解であっても,『日本経済新聞』のほうになると,国民たちの生活全面にわたって注目されてよいその事態であるかのように,

 あえておおげさに,現実離れした報道姿勢を構えながら報道していた。そのやや芝居がかった報道のあり方に関しては,困惑を超えて感じるごとき「なにか」が,ぐっとこみ上げてもくる「感じ」まで受ける。

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