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ブルーリボンバッジは「葵の紋章」か,「北朝鮮による日本人拉致問題」の解決になにか効用があったのか?

 この国のなかにはまず,あの『ブルーリボンバッジ』を着けている国会議員たちが大勢いる。だが,彼らが本気でこの「歴史問題の解決」に資する努力をしてきたのかと問われたら,この答えはきわめて怪しかった。

 その種の疑問は以前からのものであった。ただそれを着けるために着けている。本当に彼(女)ら自身がこの拉致問題をまともに認識し〔ようとし〕たうえで,上着にそのバッチを着けていたのかといったら,全然そうは思えない。

 付記)冒頭の画像は,北朝鮮による日本人拉致被害者になった1人,蓮池薫の実兄,透である。本文中に登場する人物となる。
 

 ※-1「法廷でブルーリボンバッジの着用禁止命令は『妥当』 大阪地裁判決」『朝日新聞』2023年5月31日 19時31分,https://www.asahi.com/articles/ASR50677ZR50PTIL004.html

 この記事は6ヵ月ほど前に報道されていたが,いまだにこのようなブルーリボンバッジ問題が「個別特殊的に展開した」話題になっているとは,まことに不思議にも奇怪な日本の政治社会的な様相であると感じた。ともかくこの記事を引用する。

 --拉致被害者救出を求める運動のシンボルとされる「ブルーリボン」のバッジを,法廷で外すよう裁判長が命じたのは不当だとして,大阪府の大手不動産会社「フジ住宅」の会長らが国に損害賠償を求めた訴訟の判決が〔2023年5月〕31日,大阪地裁であった。達野ゆき裁判長は「着用を許せば,いさかいが起き,訴訟の進行に支障を来す可能性があった」と述べ,会長側の請求を棄却した。

 ★ 法廷でブルーリボンの着用はNG? 裁判長が懸念したある可能性。

 判決によると,会長は自社内で韓国や北朝鮮の人々を侮辱する記事のコピーを大量に配布したとして女性社員から提訴され,2018~20年,地裁堺支部での弁論や判決のさい,裁判長からバッジを外すよう命じられた。

 判決は,裁判長には「法廷警察権」があり,法廷の秩序を維持するための対応が認められていると指摘。ブルーリボンのバッジが女性社員側から「(会長の)民族的主張の意思表明と理解された」と認定し,命令は妥当と結論づけた。(引用終わり)

 この記事を引用したところで,その「大手不動産会社『フジ住宅』の会長ら」という文言の箇所がいささか引っかかっていたたので,さらに調べたところ,同じ『朝日新聞』の記事としてさらに,つぎの報道としてなされていた。この※-1の記事より9ヶ月ほど前の報道であった。

 

 ※-2「職場で民族差別文書を配布,フジ住宅への賠償命令が確定 最高裁決定『朝日新聞』2022年9月9日 12時36分,https://www.asahi.com/articles/ASQ99438WQ99UTIL00S.html

 職場で民族差別的な文書を繰り返し配られて精神的苦痛を受けたとして,在日韓国人の女性が,東証プライム上場の大手不動産会社「フジ住宅」(大阪府岸和田市)側に賠償などを求めた訴訟の上告審で,最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は〔2022年9月〕8日付の決定で,会社側の上告を退けた。同社と今井光郎会長に132万円の賠償と文書の配布差し止めを命じた二審・大阪高裁判決が確定した。

 フジ住宅は2013年以降,韓国人や中国人を侮辱・中傷するネットや雑誌などの記事のコピーを,職場で繰り返し配布した。従業員の女性が提訴すると,提訴を非難する社員の意見を載せた資料も配った。

 昨(2021)年11月の二審・大阪高裁判決は,文書にはヘイトスピーチにあたる差別的な言動が含まれると指摘。「職場での配布を正当化する理由は見当たらない」としたうえで,「『朝鮮民族はすべてうそつき』といった意識を醸成させ,現実の差別的言動を生じさせかねない温床をつくりだした」と会社の対応を批判した。

 原告の女性は最高裁の決定を受け,「(会社には)謝罪と,職場での人との関係を回復できる環境をつくってほしい。(裁判が)一人一人が尊重されて働くことができ,多様性が当たりまえに大切にされる社会の実現の後押しにつながればうれしい」とする談話を出した。(引用終わり)

 こういった差別発言を確信犯的にみずからが繰り出す,それも大手不動産会社の会長である人物は,よほど隣国・人に対してなんらか特定の偏倚した感情・精神の持主であるとみうける。

 ここまで裁判所が明確にその差別の言動を裁いていても,また別個にであったが,裁判の進行中にブルーリボンバッジを着用するという「別技」も披露していたというのだから,この会長はよほど自分が立派に過ぎる者だと「大いなる勘違い」をしていたに違いあるまい。

 「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」のことわざがあるが,「坊主が嫌いだ」というのは特定の感情であり,僧侶全体(この全員の1人1人)の存在を毛嫌いして排斥する気持ちを表わし,個々の坊主:僧侶がどうだこうだ(それでもいい人もいるし悪い人もいるのではないか)といった次元はとっくに超越してしまい,ともかく,なにがなんでも坊主である人間はこれ皆が大嫌いという発想・精神であった。

 だから,そうした心理機構に囚われて発言をする人間は,まさに差別をしていると断定されて当然であった。前段の記事に登場した「大阪府の大手不動産会社『フジ住宅』の会長らの言動は,まさしく差別の言動そのものを,典型的に体現していた。

 しかも,いったいなんの関係がありうるのか不可解は行為・行動であったが,ブルーリボンバッジまで着用して,その種の差別のための言動を「彼らがおこなっていた」となれば,これはもう「単なる差別のための差別であった」という理解しか余地がない。

 本日のこの記述の題名のなかにもちだしてみたが,どうやら「このブルーリボンバッジ」は,差別主義者たちの立場・思念からすると「葵の紋章」としての効能も発揮しうるものとして解釈され,そのように活用されてきたと推察できる。

 たとえば,つぎのように問いかける素材に利用されてもいた。なにかを計るための『物差しがわり』(⇒つまり絶対的な尺度・基準)にすらなっていたとみなせる。

こうなると,ブルーリボンバッジというものが,本来「北朝鮮による日本人拉致問題」にたずさわる,あるいはこの運動に理解を示す人たちがこのバッジを自分も身に着けて,その共感の気持ちを表示するという点(事実)からは,はるかにかけ離れた「悪用された現象」が発生していたことを意味する。

 ところで,北朝鮮による拉致被害者の1人,蓮池 薫はその後,日本に帰還できたが,彼の実兄である蓮池 透は,安倍晋三が首相であったとき,このブルーリボンバッジに関する疑念を問いかけたという話題もあった。

 そこで,つぎの※-3においては,長文の記事紹介となるが,このブルーリボンバッジの問題を本質面から検討しており,たいそう参考になる蓮池 透の意見が開陳されている。

 

 ※-3「元家族会・蓮池 透氏インタビュー(前編)-蓮池 透氏が安倍首相の “逆ギレ” 国会答弁に堂々反論!『安倍さんは議員バッジより先にブルーリボンを外すべきだ』」『リテラ』2016年1月13日 10:00,https://lite-ra.com/2016/01/post-1888.html

 「私が申し上げていることが真実であることはバッジをかけて申し上げます。私のいっていることが違っていたら,私は辞めますよ。国会議員を辞めますよ」

 〔2016年〕1月12日の衆院予算委員会で,「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)元副代表の蓮池 透氏の著書について問われた安倍晋三首相は,こう声を荒らげた。

 蓮池氏の著書とは先月発売されたばかりの『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社〔2015年12月〕)。同書では,安倍首相のついたいくつもの嘘が明らかにされ,「首相は拉致問題を政治利用した」と主張されていることから,民主党の緒方林太郎議員が安倍首相に「拉致問題を利用したのか」とこの問題をぶつけたのだ。

 すると,安倍首相は「議論する気すら起きない。そういう質問をすることじたい,この問題を政治利用している」と逆ギレしつつ,「利用したこともウソをついたこともない」と反論,さらに緒方議員が「では蓮池さんがウソをいっているのか」と畳みかけると,冒頭のように,議員辞職まで口にしたのである。

 補注)「議員辞職」? 確か以前にも「世間を大騒ぎさせたある事件」をめぐっては,安倍晋三は,女房とも連動するかたちで惹起させたその事件が問題になったときも,同じような文句を吐いたことがあった。

 この種の事件が関連していき特定の因果を生んだのが,近畿財務局職員であった赤木俊雄が自死せざるをえない立場に追いこまれたさい,その「根源の原因」を提供したのが,ほかならぬこの安倍晋三であった。ここからいきなり飛んでいえいば,例の「忖度」問題を日本国中に強要的に撹拌させてきたのも,この元首相であった。日本の政治を2010年代に壊しまくってきたこの「世襲3代目の政治屋」の「原罪的な責任」は,非常に重い。

 この安倍首相の逆ギレ答弁について,当の蓮池氏はどう考えているのか。本サイトは13日に緊急インタビューをおこなった。

 補注)なお,以下で◆は『リテラ』編集者で,蓮池 透の対話部分は段落冒頭を2字分下げてある。

 ◆ 昨日〔2016年1月12日〕,予算委員会で蓮池さんの著書が取り上げられ,安倍首相がバッジをかけてそんなことはない,と反発していましたが。

  蓮池  安倍さんが「バッジをかけて」っていった瞬間,議員バッジではなく,拉致問題の象徴でもあるブルーリボン・バッジのほうを外すのではと思ったほどでした。それくらい安倍首相の拉致問題への姿勢には失望しているし,彼は議員を辞めるつもりなんかないと思ったのです。

 私が『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(以下,『見殺しにした安倍首相』)に書いた内容はこれまで自分で体験し見聞きしてきたことです。Twitter にも書きましたがけっしてウソなど書いていません。

 それにしても,一国の最高権力者である総理大臣がですよ,私のような一介の市民が書いた本で批判されたからといって,本気で対決姿勢を示すというのはいかがなものかと思いました。最後にはキレ気味でしたからね。そうではなくさらりと流したほうが総理としての器を示せたのではないかと思います。

 ◆ とくに「政治利用した」「拉致問題でのし上がった」という言葉に安倍首相は反応していました。

  蓮池  安倍さんが,拉致問題で総理大臣になったのは事実です。そして総理に返り咲いてからもまだ拉致問題を利用している。私はけっして安倍さんを批判するために本を書いたのではありません。

 拉致問題の恩恵を受けて総理になったのであれば,恩返しという意味でも拉致問題の解決に向けきちんとやってください,そういう思いをこめたつもりです。しかし今回の発言を聞くと本当に残念です。

 2002年の小泉訪朝から13年〔当時〕もの長い時間が経っているのになにも変わらない。だから一石を投じるつもりでこの本を書いたのです。弟家族が帰国できたのだから黙っていたほうが楽だろうともいわれます。しかし,こんな状態で黙っていることはできない。

 弟はまだ帰ってこない被害者の人々のことが頭にこびりついているんです。肉体的には解放されたけど,精神的にはまったく解放されていないんです。心身ともに自由に暮らせるようなってもらいたい。そんな思いもあって私は声をあげている。だから“批判のための批判”みたいに捉えられるとすごく嫌ですね。

 ◆ 安倍首相は,国会答弁で蓮池さんの本について「家族会のなかからも,実はその本に対して強い批判があるということもご紹介させていただきたい」と主張していました。他家族のことをもち出し,伝聞というかたちで蓮池さんを批判しています。

  蓮池  私のところには家族会からの “強い批判” は直接きたことはありません。ネット上では,この本を出したことで「これでお前も終わりだ」「身辺に気をつけろ」などと書かれましたが。

 ◆ 薫さんら5人が帰国したさい,日朝政府間は「一時帰国」とし北朝鮮に戻すという約束をしていました。しかし当時,官房副長官だった安倍氏が「日本に残すべきだ」と判断して小泉首相の了解をとりつけたといいます。昨日〔2016年1月12日〕の委員会でも関係者を集めて「最終的に私は返さないとの判断をした」と,蓮池さんの本の内容とは真逆の答弁をしています。

  蓮池  安倍さんには,あなたがいつ説得などしたのか(?)と訊きたくなりましたよ。本にも書きましたが,弟を説得したのは私であって,安倍さんじゃない。実際に電話のひとつもなかったんですから。

 当時,政府は5人のスケジュールをびっちりと埋めて作っていましたし,「一時帰国」を変更不可能なものとして進めていたのです。家族たちの間では「帰りのチャーター便はどうするのか?」と,北朝鮮に戻すことを前提に具体的な話しあいまでもたれていたのです。

 また,政府はこうもいっていました。「今回は一時帰国だけど,次回は子どもも含めて全員が帰ってきますよ」と。安倍さんも一貫して,5人を北朝鮮に戻すことを既定路線として主張していた。でも,弟と話しあうなかで「ああ,これは2回目などないな」と確信をもったのです。だから必死で止めた。

 ◆ 被害者の方々が日本に留まるという決意を伝えたとき,政府は慌てていましたか?

  蓮池  慌てていたというより「そうですか」って感じでしたね。要するに,弟たちの日本に留まるという強い意志が覆らないのをみて,しぶしぶ方針を変えただけなんですよ。にもかかわらず,安倍さんは相変わらず「決断したのは自分だ」というようなことをいう。大人の答弁だとは思えないですね。

 補注)もとから「子どもの〈裸の王様〉」であった安倍晋三に「大人の答弁」を期待できなかった点は,首相であった期間にこの「世襲3代目の政治屋」のボンボンが,どのような言動を記録してきたかを思えば(回顧してみれば),即刻分かる。

 彼はそもそも,「嘘つきは安倍晋三の始まり」とか端的にヤユまでされた人物像まで提供した政治屋であった。本当に(!)「ウソ八百の言動を地でいく赤子(せきし)」であった。しかも,とても程度の悪い「世襲3代目の政治屋」の立場からそうした悪癖をさらしつづけてきた。こういった定評を付与された「3流政治家」のいうこと・やることを観てきたが,そのすべてがろくでもない形状となってその顛末を呈していた。

 「人死んでなにを残す」といわれたら,当然に「虎は死して皮を留め,人は死して名を残す」というのが,戦国時代などで武士が戦場へ赴く心得として,定番の答であったという。けれども,いまどきのとくに自民党〔や公明党,日本維新の会など〕の議員たち,そのうちでもとりわけ,いまでは故人となっている安倍晋三は,なんとも恥ずかしいだけの「不名誉な自身の足跡」だけを,しっかりとテイネイに残した。この事実は「北朝鮮による日本人拉致問題」に関与してきた安倍晋三の記録からも鮮明にうかがえる。

〔『リテラ』記事に戻る ↓ 〕
 また,小泉訪朝時,安倍さんは「『拉致問題で金 正日から謝罪と経緯の報告がなければ,共同宣言に調印せずに席を立つべき』と自分が進言した」といっていますが,でも,それは安倍さんが突出していっていたことではない。

 (当時,アジア大洋州局長として会談に同行した外務省の)田中 均さんがその後のインタビューなどで答えているように,それは訪朝したメンバー全員の共通認識だったんです。それを自分だけの手柄のように吹聴したわけでしょう,安倍さんは。

 ◆ 著書では,最近の安倍首相による拉致問題の “政治利用” について,蓮池さんのご両親の選挙応援の事例が記されています。これに対し,昨日,安倍首相は「政治利用はしていない」としながらも完全にはぐらかしていましたが。

  蓮池  両親が選挙に駆り出されたのは事実です。2014年の衆院選で,新潟二区で立候補した自民公認の細田健一候補の地元・柏崎に安倍首相が応援演説に駆けつけた。そこに講演会にまず弟が招かれたんですが,多忙を理由に断わると,今度は両親が駆り出された。

 「ここに蓮池薫さんのご両親も来てくださっています!」なんて演説でいわれて。警察を動員して両親の道案内までしていた。弟が帰って何年も経って,なぜ両親が出ていかないといけないのか。これが政治利用じゃなければなんなんですか。

 一方では刈羽原発再稼働の問題がある柏崎で,原発のゲの字もいわない。母は「結局,安倍さんのダシに使われたね」っていっていましたが,この期におよんでまだやるか……と思いましたよ。

 ただ,国会でこの話題が出たときに本当に残念だと思ったのが,緒方議員が安倍さんから当事者の話をまったく聞いていない,と切り返されたことです。実際,緒方議員から私に事前になんの連絡もありませんでした。

 本を読んだだけだから,本人に確認したといえない。だから,安倍さんに「本の引用だけじゃないですか」といわれる隙を作った。なぜ電話の1本でもくれなかったのか。

 繰り返しますが,そもそも私は安倍さんを単に批判するために本を書いたのではない。膠着した拉致問題に向け政府がきちんと動いてほしいだけですから。

 もうひとつ。本を書いた理由に拉致被害者支援法の実態があまりに世間の認識と乖離していることでした。

 この法律の草案の段階で,私は自民党本部で安倍さんや中山(恭子・拉致被害者家族担当内閣官房参与【当時】)さんなどから支援法の草案をみせてもらったことがあった。そこでまず驚いたのは,そこに「慰謝」と書いてあったことです。「え? 月額13万で『慰謝』って?」と思いました。

 正確にいうと夫婦で24万ですから,割ると12万,そして子どもひとりにつき3万円です。しかも,働いて収入が発生したら減額です。24年のブランクがあり学歴もキャリアも中断され,いきなり日本に帰ってきて政府はこれだけで自立しろという。北朝鮮に強制的に拉致され,24年も放置されてこれは酷すぎるんじゃないのか。

 草案の段階で「慰謝」は削除してもらったのですが,同時に金額が低すぎると訴えました。すると法案作成にかかわった自民党議員から「野党が金額が低いと吊り上げるから大丈夫」と説明されたのです。しかし結果は逆。野党は13万円は高すぎると主張し,その金額のままになってしまった。

 そのさい,私は安倍さんにいいました。「国の不作為ですから賠償請求で国を訴えますよ」と。すると,安倍さんは薄ら笑いを浮かべてこういったんです。「蓮池さんね,国の不作為を立証するのは大変だよ」って。この言葉はいまでも本当に忘れることができません。

  …………………………………………………………

 ◆ 安倍首相の逆ギレ答弁とは対照的に,蓮池氏は終始冷静に,しかし,具体的な根拠をひとつひとつあげながら,安倍首相の答弁をくつがえしていった。

 両者のいいぶんを読み比べてみたら,どちらが嘘をついているかは,明らかだろう。

 だが,蓮池氏の話はこれで終わりではない。北朝鮮の水爆実験,この間の交渉の問題点,さらには家族会の政治利用などについても,言及していた。

 その内容については,後編をぜひ読んでいただきたい。(編集部)

【参考記事】

 

 ※-4「元家族会・蓮池透氏インタビュー(後編)-蓮池 透氏がさらに安倍首相の詐術を徹底批判! 『安倍さんはきっと北の核実験を利用し,逃げ道にする』」『リテラ』2016年1月14日,https://lite-ra.com/2016/01/post-1891.html

 ◆ 昨日,本サイトで掲載した拉致被害者家族・蓮池 透氏の安倍首相への反論インタビューは大きな反響を呼んだ。

 安倍首相は〔2016年〕1月12日の衆院予算委員会で,蓮池氏の著書『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)の内容を否定し,「私がいっていることは議員バッジをかけて真実」と大ミエを切ったが,これに対し蓮池氏が真っ向から反論。

 具体例を細かにあげながら,「私が書いていることはすべて本当の話」「安倍さんが拉致問題で嘘をつき,政治利用していたのは事実」と述べたうえで,「安倍さんは議員バッジの前にブルーリボンを外すべき」とまでいい切ったのだ。

 しかも,蓮池氏の話はそれで終わりではなかった。安倍首相へのさらなる不信,北朝鮮の “水爆” 実験,この間の政府の交渉のやり方への疑問,さらには言論弾圧まで……。後編はこうした問題についての蓮池氏の発言を紹介したい。

 ◆ 先日,北朝鮮は水爆の核実験に成功したと公表しました。安倍首相はこれを強く批判し,日本独自の経済制裁復活を検討しています。拉致問題への影響についてどう考えているのか。

  蓮池  拉致問題に悪影響しか与えません。しかも,政府はこれを利用しかねない。「核実験をおこなう北朝鮮はけしからん,暴挙だ」といって,進まない拉致問題の隠れ蓑,いいわけに使う。そういうことだけは本当にやめてほしい。

 でも,現実には「一生懸命やったけど,みなさんご存知のとおり北朝鮮はけしからん国だ。しょうがない」と,安倍さんの逃げ道になる可能性は高いんじゃないでしょうか。

 そもそも安倍さんは拉致問題に対し退路を断って対処しているわけじゃないし,どれほどの決意や熱意があるのか,疑問です。勇ましい言葉にしても国内向けにすぎない。だいたい,ひたすら圧力をかける,経済制裁をするといっても,それが通用しないというのはもう歴史的に分かっている。ちょっと学習してほしいです。

 補注)あの安倍晋三君に学習しろといったところで,なかなか無理があった。大学ではあまり勉強をしていなかったし,アメリカに語学留学したらしいが,英語力に格別聴けるものはなかった。

 また,子どものころ晋三の家庭教師をしていた平澤勝栄は,安倍晋三が山上徹也に狙撃され命を落としたさい報道側に語った安倍晋三「像」のほうはさておいても,この「世襲3代目の政治屋」のボンボンを,あえて高くもちあげられる発言は,なかなかしにくかったものと推察する。

〔『リテラ』記事に戻る ↓ 〕
 6者協議にしても,私は,核と拉致を同列に扱ったらうまくいかないと思っています。ですから日朝独自外交を国交正常化交渉とセットでやる。もちろんアメリカからの横槍が入るでしょうが,もし安倍さんが本気なら,そこまでしてくれないと。まあ,アメリカべったりの安倍さんには無理だとは思いますが。

 実は拉致解決に関して,私は今年〔2016年〕前半が勝負だと思っていたんです。なぜかといえば,5月に北朝鮮労働党の党大会がある。そこで今後の政策や人事を決めるわけですから,変な決議や決定がなされたら拉致問題にも大きな影響が出てくる。

 たとえば北朝鮮が日本とつきあってもなんの利益もないといって,対日政策はあくまで強硬でいくと決定すれば,拉致問題も動かなくなってしまう。少なくとも党大会以降もこの運動を続けられるよう,5月までに布石を打っておかないと。そう思っていたところに核実験ですからね。

 ◆ 核実験にしても,結局は安倍首相に有利に働いた部分があります。北朝鮮はなにをするか分からない。だから安保法制は必要だし,憲法改正もしかり,と。拉致問題にしても引き延ばすことが安倍政権の利益になるのではないのかと思えるほどです。

  蓮池  北の脅威を煽っていたほうが安倍政権の思いどおりにいくのは確かでしょう。やっぱり北は危ないからちゃんとした軍備が必要だ,と。でも集団的自衛権があっても自衛隊が北朝鮮にいくなんて考えられない。ですから私からいわせれば,制裁を強化した段階で,拉致問題は断念したことと同じなんです。圧力をかければ向こうも反発して,いままでのパイプが切れてしまう可能性だってありますからね。

 ◆ かつては強硬派として知られた蓮池さんが,こうして安倍首相への不信感をもち,考え方が変わったのはいつからなのでしょう。

  蓮池  小泉訪朝前,たしかに私たち被害者家族は誰も頼る人がいなくて孤立した存在でした。そんななか,秘書時代の安倍さんは私たちにやさしかった。救う会にしてもそうですが,彼らのいうことを私たちは鵜呑みにしてすがるしかなかった。第1次安倍政権のときには,なにかあると家族会のメンバーを食事に招待してくれて。でも,その場でなぐさめてくれるだけなんです。

 「がんばります」「全力を尽くす」「あらゆる手段を講じる」という常套句だけで,具体的なものはなかった。外交問題は政治家にとってすごく便利なものです。「やっている」といいながら,「では具体的になにをやっているのか?」と聞くと,それは外交機密だっていう逃げ道がある。安倍さんもまさにそう。本当に戦略というのがあるのか,当初から疑問でした。

 2014年のストックホルム合意についても,非常に安易な合意でした。おたがいのゴールが一致していない。非常に広範な問題を一括しているし,最初からこれはむずかしいなと思っていました。安倍さんが拉致問題最優先っていっているわりに,北朝鮮側のプライオリティは非常に低い。

 あの時の戦略といったら,独自制裁の一部解除だけ。それで帰ってくるわけがない。しかも北からの報告がなし崩し的に遅れて,現在でもなしのつぶてです。こうした事態を日本側はきちんと検討したのか。

 家族からしてみれば半年,1年は死ぬほど長い時間です。しかも安倍さんからはなんの説明もない。誰が責任をもってやっているのかさえわからないのです。交渉しているかもわからない。

 これまでも安倍さんがいってきた「毅然とした」姿勢というのは,けっして北朝鮮に向けたものではなく,国内向けでしょう。強硬姿勢はウケがいいですからね。遠い対岸に向かってひたすら吠えているようなもので,それは対岸に届かないことを分かってやっている。

 しかも,そうした指摘を大手マスコミも書かない。安倍さんの意向を忖度している,言論統制に近いようなものを感じます。

 ◆ やはり蓮池さんも安倍政権の言論に対する姿勢に疑問をもっているということですね。

  蓮池  今回の本を出した時にもそれは感じました。朝日新聞の取材を受けたとき,「ちょっとこのタイトル……う~ん」といわれてしまって。他でもいくつかの媒体で同じような反応があったと聞いています。

 テレビでも本の表紙をあえて映さなかったり。安倍批判はダメだし,安倍批判をするとすぐに「反日」ですからね。書店だって隅っこに置かれていて。すごく嫌な国になった,そう感じました。でもいま,拉致問題に関してはここまで過激なタイトルをつけないと誰も見向きもしないのが現実なのです。

 政府はあまりにも無策で,時間だけが過ぎていっているのに,マスコミはタブーが多すぎる。また,家族会のことも聖域化しちゃって,いまでも都合の悪い話はほとんど書かない。だから洗いざらいぶちまけようと思ったんです。世間の関心も低下し,世代交代も感じています。拉致問題をリアルタイムでしらない世代が増えている。そんな危機感もあります。

 ◆ たしかに,すでに東日本大震災や福島原発事故でさえ風化が危惧されていますから,拉致問題はなおさらです。

  蓮池  いま,すごく感じるのは,震災で被害を受けた方々,原発で避難されている方々,あるいは沖縄の基地の問題などいわゆる被害者の人たちの民意を,政権はまったく汲まないということです。

 多くの被害者がいて反対もあるのに,原発を再稼働し,基地を強引に移設しようとする。そういう意味では拉致問題も同じです。自国民をほったらかしなんです

 そうした意味でも拉致問題に関して志を同じにする人たちで,本当の意味で拉致問題を解決するグループを作ろうと,昨年〔2015年〕から少し動き出していました。家族会や救う会ではなく,マスコミOBや大学の名誉教授,与野党問わず国会議員など本気で思ってくれる人が集まって。しかし,それも北の核実験があり水を差されてしまった状態です。

 拉致問題の解決。言葉でいうのは簡単です。しかしそのためにも拉致問題の解決とはなにか,どういう状態になれば全面解決なのか,その定義を安倍さんと政府ははっきり示して欲しい。そうでなければなんら進歩のないまま,拉致問題がまたずるずると時を重ねるだけでしょう。

  …………………………………………………………

 蓮池氏の話はまさに,安倍首相のやり口の本質を突くものだった。実体のない勇ましいスローガンを声高に叫ぶだけで,実際は国民の生命や安全などつゆほども考えていない。

 しかし,おそらく安倍首相はこれからも「拉致問題解決が最重要課題」などといって,この問題を徹底的に政治利用していくだろう。

 日本国民がこの詐術に気がつき,政府が国内右派向けの人気取りでない,リアルで戦略的な拉致問題解決に動き出す日ははたしてやってくるのだろうか。(編集部)

 以上の『リテラ』記事は2016年1月時点のものであった。それから早8年近くもの時が経過した。北朝鮮の日本人拉致問題は2023年12月のいまとなって,いったいどのような見通しがもてるといえるのか?

 その拉致被害者の1人橫田めぐみの母,橫田早紀江は最近,「拉致問題の理不尽さ訴え 横田早紀江さん,川崎市長と面会」『東京新聞』2023年11月30日 07時18分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/293076 といった報道がに登場していたけれども,

 同時にまた,「『もうくたびれきった』横田早紀江さんの怒り めぐみさん拉致46年」『朝日新聞』2023年11月15日 11時00分,https://www.asahi.com/articles/ASRCG4SX8RC7UTIL042.html とも正直に語っていた。


 ※-5『ツイート』(『X』)に登場していたブルーリボンバッジそのものに対する意見

 さて,本日のこの記述の主要題目は,ブルーリボンバッジであった。『ツイート』(『X』)上に公表されていた関連の意見として,つぎのごとき発言があった。

 この『ツイート』の意見につづけては,画面資料としてではなく,その画面から拾った活字でつぎに引用しておく。画面から取り出しているので,配置関係などはいくらか崩れている。なるべく文意を間違えないように注意して紹介することにし,細部ではかなり割愛した紹介になってもいる。

『拉致問題 憎しみを超えて』@Serenitypraye12

 藤一〔統一〕教会と関係の深い議員は,例外なくブルーリボンバッジをつけ,何かと言うと拉致問題を,水戸黄門の印籠のように振りかざすよね。

 これ,貴方の事( ↓ )なんですけど。

   山谷えり子 @yamatanieriko
  = Nov 4, 2022 =


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 今朝の朝日新聞に『国「拉致問題の充実を」司書困惑』という見出しの記事が出ていました。

 国家主権,人権侵害の拉致問題解決のために国民の理解は不可欠です。

 決して図書館の自由を脅かすものではなく,依頼に問題があるとは思いません。
  = 10:55 PM · Nov 4, 2022 =


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拉致問題 憎しみを超えて @Serenitypraye12
  = Nov 4, 2022 =

 天で安倍晋三が,拉致問題を解決しろと,グルグルグルグル走り回っているのを感じているんだろ?!

 何で今更国民の理解が必要なんだよ!


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mura @dembay1958
  = Nov 6, 2022 =

 1991年,文 鮮明教祖が北朝鮮を訪問して以来,彼らは約5千億円の資金援助を北朝鮮に対して行っている。その原資の多くは日本の信者の献金によるものである。その献金を止めることもせず,拉致被害者引き渡し交渉もおこなわない自民党議員が統一教会の支援を受けて議員活動をするのは背信行為でしょう。


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 補注)最後の意見は,安倍晋三が死んでから登場した「新しい観点」からする指摘になっていた。ここらあたりの複雑怪奇な歴史的背景については,つぎの画像が参考になる。

 安倍晋三は外祖父の代まで上って考えてみれば,北朝鮮の関係:因縁を,必らず,生きているうちに国民たちに説明しておく必要があったはずだが,無責任にもそのまま昇天した。

『ツイート』から乱取り
『壺』たちの系譜
統一教会から北朝鮮へのつながりあり
ブルーリボンバッジはこの系図からは
浮き上がるほかない

 『ツイート』からの引用などは以上としておき,つぎは,ブルーリボンバッジのことを報道していた韓国紙の言及を紹介したい。


 ※-6「訪韓した岸田首相の『ブルーリボン』…北朝鮮の『日本人拉致事件』の象徴」『HANKYOUREH ハンギョレ』2023-05-08 00:51,修正:2023-05-08 07:19 https://japan.hani.co.kr/arti/politics/46663.html

 日本の岸田文雄首相が〔2023年5月〕7日に訪韓し,最初の日程として国立ソウル顕忠院を訪れました。日本の現職首相が顕忠院を訪れたのは2011年10月の野田佳彦首相以来およそ12年ぶり。

 岸田首相が献花し焼香する場面で,背広の上着の右襟につけている青いリボンのバッジが目を引きました。3月の韓日首脳会談当時も着用していたバッジです。

『HANKYOUREH ハンギョレ』から

 a)「日本人拉致被害者問題」の象徴

 日本では,このバッジは長い間未解決のまま残っている「日本人拉致被害者」問題を象徴するものです。「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」で作ったもので,北朝鮮に拉致された日本人の釈放と救出を求める意味があります。青には拉致被害者や家族,日本人が,日本と北朝鮮を隔てる海を眺めながら再会を待つという意味がこめられているそうです。

 菅 義偉前首相や安倍晋三元首相もブルーリボンをつけている姿がよくみられました。日本では,政治家にリボンの着用を促すキャンペーンもおこなわれてきました。

 b) 拉致被害者問題とは

 この問題は1970年代中後半に海辺で日本人が相次いで失踪する事件にさかのぼります。当時は彼らの失踪原因は明らかにされていませんでした。ところが,1987年の大韓航空機爆破事件で,調査の過程で彼らが北朝鮮に拉致された情況が明らかになります。北朝鮮が日本語と日本文化を工作員に教育するため,彼ら拉致したという疑惑が持ち上がりました。

 日本は1991年から北朝鮮に拉致問題を提起してきました。日本政府は17人が拉致されたと把握していますが,このうち2002年の金 正日(キム・ジョンイル)国防委員長と小泉純一郎首相の首脳会談を機に,5人が帰国しました。

 北朝鮮は13人の拉致を認め,送還した5人のほか8人は死亡したとして,この問題はすでに解決済みだと主張しています。しかし,日本政府は拉致された日本人がさらに12人おり,彼らの生死が分からないとみて,北朝鮮と対立してきました。

 c) 未解決の日本の過去事件

 日本が北朝鮮との関係正常化の前提条件としてかかげているもののひとつが拉致被害者問題の解決です。

 岸田首相は2021年10月に就任した初の記者会見で,「拉致被害者問題の解決に向けて,条件なしで北朝鮮の金 正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会談する覚悟ができている」と述べました。

 もちろんブルーリボンをめぐって,日本国内では政治家はリボンをつけるだけで,拉致問題解決の意志がないのではないかという批判もあるそうです。

 にもかかわらず,安倍元首相,菅前首相,岸田首相はブルーリボンをつけてきました。同一線上で比較するのはむずかしいかもしれませんが,日本が加害者の立場である過去の戦争犯罪に対する態度とはまったく違うように感じます。

 この『HANKYOUREH ハンギョレ』の記事は,最後の段落でこのようにブルーリボンバッジに対する違和感を,それもやんわりと指摘していた。

 

 ※-7 ブルーリボンバッジを「葵の紋章」と勘違いする国民たちもいた

 1)NHKの放送した「ドラマのなかで,拉致被害者救出のシンボルであるブルーリボンを悪徳代議士役につけさせたことに対し,あまりに不適切な演出だといった意見が多く寄せられた」という視聴者からの意見が寄せられていた。

 註記)「2015年9月に視聴者から寄せられた意見」『BPO 放送倫理・番組向上機構』https://www.bpo.gr.jp/?p=8287

 2)ブルーリボンバッジに関する問答

 tkw********さん,2021/9/19 8:03 の【問い】

 国会議員でブルーリボンバッジを付けてない人ってなんで付けないんでしょうか?

【答え】 本心では拉致被害者奪還を願っていなくても,形だけでもブルーリボンバッジを付けていれば,保守層へのアピールになるし国民からもそれなりの信頼はえられるはずです。

 逆に付けていなければ,保守層から批判を受けますし,国民からも信頼を失います。また,今回の自民党総裁選で河野さんが批判されているように,自民党で総裁をめざす人にとっては,党内での票も失うことにもなると思います。

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 「付けていれば損はしない,付けなければ損をする」ということが明白なはずなのに,なぜ付けないのでしょうか?【という問い】

 Tarcoさん,2021/9/19 8:08 の【その答え】

 面倒くさいからでしょう。
 赤い羽根と同じで欺まんプンプンですから。

ブルーリボンバッジ問答

 3)立憲民主党の「泉 健太代表記者会見2022年4月15日(金)」から

 「ブルーリボンは,確かにいま,進展がなかなかないというなかで,つけていて本当に心苦しい日々であります。また,本当にご家族の方もどんどん高齢になって,なかには鬼籍に入られる方もあるということで,なんとか解決をしていきたい」

 「とにかく,基本的には外交問題ですので,政府にその取り組みをしてもらわなければいけないというなかで,前提条件をつけずにということですが,本当になにもしていないのかというか,じゃあ,なにをしているのかということをもう少し国民にも伝えなければ,まったくこの進展がない状態が安倍政権・菅政権・岸田政権でも続いてしまっているという気がします」

 註記)「〈ニュース〉泉健太代表記者会見2022年4月15日(金)」『立憲民主党』2022年4月15日,https://cdp-japan.jp/news/20220415_3530

 「ブルーリボンバッジ」の着用は,まるで「赤い羽根」のようにも感じられるとも指摘されていたが,その現実の様相は実は,

 自民党という「政府にその取り組みをしてもらわなければいけな」かったいままでの経過の「なかで,前提条件をつけずにということですが,本当になにもしていな」かったのか,「じゃあなにをしているのかということ」が問われて当然であるというふうに,あらためて問われるようになっていたのが,いまどきになっての「北朝鮮による日本人拉致問題」への取り組み姿勢であった。

 結局は,蓮池 透の意見・指摘・批判にもあったように,そして,この蓮池の発言を要言してみた『リテラ』の編集者の表現を借りれば,

 ブルーリボンバッジ「着用」のしぐさにも透けてみえていた問題は,

 「安倍首相のやり口の本質」は,「実体のない勇ましいスローガンを声高に叫ぶだけで,実際は国民の生命や安全などつゆほども考えていな」かったのである。いまは亡き彼のことになるが,存命中は一貫して「『拉致問題解決が最重要課題』などと」かっこうをつけていただけで,「この問題を徹底的に政治利用していく」気すら本当はなく,そのときの気分しだいになっていた。

 有田芳生の指摘・批判をつぎに紹介したい。

有田芳生の見解

 
 だから,その象徴に利用されたブルーリボンバッジは「救う会」や「家族の会」の切なる願望とは離れた場所から,安倍晋三はもう故人なのでひとまず除外できるが,

 それでもなお「日本国民がこの詐術に気がつき,政府が国内右派向けの人気取りでない,リアルで戦略的な拉致問題解決に動き出す日」が来ないかぎり,代表的には国会内ではこのブルーリボンバッジが,これからも蛍のように飛びかうだけに終わる。

 本来蛍は,きれいな水がある場所にしか生息しないが,国会はそれとは正反対にドブ川みたいな場所であった。ゆえに,ブルーリボンバッジがどのような思惑や利害で彼らの上着にぶら下げられているか,その本心は簡単に分かるし,おのずとその本心はバレる。

 ましてや,一般国民が純粋な気持ちでこのバッジを身に着けたところで,その誠意な気持ちは,いままでの実績からも理解できるように,あまねく悪用される余地しかもたらさなかった。


 ※-8 その有田芳生などのまっとうだった意見

 拉致問題に関した有田芳生の意見は,※-7に紹介した画像資料にこう書かれていた。

 「【ブルーリボンバッジ】有田芳生議員『事実上の強制を求めるのは異常』『国内向けのアピールで,北朝鮮へのメッセージとしては絶望的かつ最悪」『Share News Japan』2021年12月13日,https://sn-jp.com/archives/63336 

 拉致問題解決への意思を表明するためにブルーリボンバッジを付けるのは,個人の自由だ。しかし強制されるものではない。〔しかし〕いくつかの自治体が職員に〔迫っていたが〕,事実上の強制を求めるのは異常だ。

 岸田政権の大臣がいっせいに付けたことは,国内向けのアピールで,北朝鮮へのメッセージとしては絶望的かつ最悪だ。

 --当の安倍晋三は「外交のアベ」といわれたかったらしいが,つづいて首相の座に就いた菅 義偉,岸田文雄とともに「非外交的なセンス」しかもちあわせなかった。つまり,国際政治の舞台にはお呼びでない御仁たちであった。もっとも,できることとしてならば「お土産・バラマキ外交」があったが……。ただし,菅 義偉の場合は,それもたいしてできなかった。

 日本の政界,広くはこの日本社会における「ブルーリボンバッジの着用」問題は,この国全体の「幼稚と傲慢・暗愚と無知・欺瞞と粗野」のシンボルを意味するだけの小道具になった。

 最後にこういう批判を紹介しておく。なお文中の「籐一」は「統一教会」のそれである。また「これ,貴方の事」とは,山谷えり子に向けられた文句であった。

特定の陣営側の好餌と化した拉致問題

 有田芳生がこうも指摘していたので,あとからとなったが,追加しておきたい。「日本維新の会」とは,与党になりたい外野席の,粗忽・粗雑・粗暴を特性とする「政党モドキの単なる野党」

ブルーリボンバッジとはなんだったのか?

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