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スーパーで私の恋は半額じゃない 第五話

中央の祭壇
祭壇の周りには、店員たちと買い物客が一列になって静かに待っている。八重子さんが祭壇の前に立ち、金色のエプロンが彼女の権威を一層引き立てている。
八重子: (大声で宣言)「今日も我々の伝統を守り、神聖なる半額の力を示そうではないか!」

突然、スーパーの天井から大量の半額シールが降りてきた。店員たちはそれを手に取り、それぞれの商品に無作為に貼り始めた。果物、野菜、缶詰、さらには家電製品まで、あらゆる商品が半額シールで覆われていく。
八重子さんが近くのサラリーマンに半額シールを手渡す。
八重子: 「さあ、君も祭りの一部となりなさい。」
サラリーマンは半額シールを胸に貼られ、一瞬のうちにその姿はみすぼらしく変わっていった。スーツのネクタイがほどけ、髪の毛は乱れ、彼の顔には深いしわが刻まれて見えた。
ゆうた: (後ろから近づきながら)「何がここで起きているんだ?」
ゆみ: 「わからない…でも、何か大きな儀式みたいね。」
そのカオスな光景の中で、八重子さんが祭壇の前で手を合わせると、店内の明かりが一瞬消え、再びついた瞬間、全てが元の静寂なスーパーマーケットに戻った。
八重子: (微笑みながら)「これが我々の伝統よ。半額の力を信じる者だけが、真実を見ることができるの。」
ゆみとゆうたは、その奇妙な体験を胸に、この世界の秘密をさらに探る決意を固めた。

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スーパーやまのぶの出口に立ち、ゆうたは遠くのサラリーマンたちの様子を瞳で追っていた。彼らが八重子の近くに集まると、突如として金色のエプロンが輝きを放つ八重子が彼らの前に立ちはだかった。

八重子の瞳は深紅に染まり、サラリーマンたちの体から一筋ずつエネルギーが吸い上げられていく。その瞬間のサラリーマンたちは絶叫し、皮膚が瞬く間に枯れ落ち、痩せ細った骨だけが残る恐ろしい光景が広がっていた。

しかし、八重子の美貌はその一部始終においても衰えることはなかった。彼女の体はサラリーマンたちから吸収したエネルギーで満ち溢れ、その肌は如何なる化粧品をも凌駕する透明感とツヤを放っていた。髪は風に舞い、彼女の周りには神秘的なオーラが漂っていた。

ゆうたの目の前で展開されるこの恐ろしい現実は、ホーラー映画そのものの恐怖感を彼に与えていた。彼の心は激しく高鳴り、足はすくんで動けない。この絶望的な状況に立ち尽くす彼の表情は、深い恐怖と驚き、そして無力感で歪んでいた。

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