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奥村土牛展

今、広尾にある山種美術館のカフェ椿でこれを書いている。

今日は午後休を使って山種美術館で開催中の奥村土牛展へ。3/31までの開催で、会期終了間近である。

大昔に一度だけ訪れたことがあるのだけれど、なんと今の会社から徒歩10分もかからないところにあるのだった。確かに以前も坂を上り下りして来館した記憶はあれど、それが恵比寿駅からだったという覚えがまったくなく、恵比寿勤務になってもう何ヶ月も経った今、ようやく記憶の地理がつながったのだった。

桜の満開まであと数日かというこのタイミングで、一足先に満開の桜を鑑賞。唯一この作品だけは、写真撮影OKということだったので、ありがたく撮影してきた。作品の銘は「吉野」。

奥村土牛は日本画家。私はこの画家の温かい空気と透明感のある作風が好きだ。久しぶりに心ゆくままに絵画鑑賞ができてとても癒された。

展示を観終わってミュージアムショップであれこれと買い込み、ロビーに戻って一寸一服。実は前にも少し書いたけれど、ここのロビーにあるカフェ椿では、抹茶と上菓子のセットがある。今回はそれも大事な目的の一つなのだった。

なぜなら皇室御用達の和菓子屋「青山・菊家」の特注の上菓子だということで、本展にちなんで考案された菓子が数種類揃うとのことで否が応でも期待が高まる。美術館の本展覧会の特設ホームページにも掲載がされていて、どれにするかを考えるのもまた楽しかった。

どれもこれも美しく全種類コンプリートといきたいところだけれど、桜の開花が始まったこのタイミングならば、と「千本桜」を選ぶ。そしてお茶は抹茶のみならず、コーヒー、紅茶、中国茶も選べるのだった。

私は「今月のお茶」シリーズから、さくら緑茶を合わせていただいた。芳しい桜の香りに包まれながら満開の吉野桜を目と舌で味わう。五感で感じる桜づくし。

黒糖風味大島あん と解説があるが、黒糖とは思い至らないほどに静かに、穏やかに、澄みきった甘さ。舌の上でほろりと溶けていくそぼろあん。その味もまた見たまんまの、鮮やかな光輝く桜色をしていた。

味にまで光や色彩を感じる不思議。


カフェだけの利用もできるから、これからは会社帰りに菊家の上菓子と抹茶をいただきにちょくちょく足を運ぼうと思う。

労せずして菊家の上菓子とお茶が味わえるなんて、今更ながらなんてよい職場に来たものだ、と嬉しくなった。

昼過ぎまでにわか雨を思わせる曇天だったけれど、来館中にすっかり空が明るくなった。

晴れ晴れとした心持ちで帰途に着く。




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