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【解答速報】共通テスト2023国語・古文「俊頼髄脳」を15分で!分析と解説・満点のコツ【現役ライターの古典授業】

受験生・受験が気になる皆様、いつもお疲れ様です!
今年もきました、共通テスト!

このページは「共通テスト国語の古文を15分で解く」を、勝手にやって勝手に解説しているページです。今年も、2023年1月実施(令和4年度、令和5年1月実施)の共通テスト国語の第三問・古文を解いてみます。

難易度としては、私は「易!!」だと思いました。
本文にクセはないし、問題も素直で、きちんと勉強していたら解ける問題です。パパパッと解いて、得点源にしたいところ。
(多分、前年2022年がやや難しめだったので、揺り戻しかな~と思われる)

では、いきます!

■2023年共通テスト国語・古文『俊頼髄脳(宮司ども集まりて~)』を15分で解く!

■問題開始。リード文(10秒。概要を把握する)

第3問
次の文章は、源俊頼が著した『俊頼髄脳』の一節で、殿上人たちが、皇后寛子のために、寛子の父・藤原頼通の邸内で船遊びをしようとするところから始まる。これを読んで、後の問い(問1~4)に答えよ。なお、設問の都合で本文の段落に1~5の番号を付してある。

おお、今年は文章ひとつなのね。
段落番号があるということは、このあと段落に関する問題があるということか。
『俊頼髄脳』は、模試でも使われるし、どこかの箇所を解いた覚えのある受験生もいるはず。ひょっとしたら、この本文自体に見覚えがある可能性もあるよなぁ。

今回は「皇后の寛子のために」「殿上人たちが船遊び」という話。船でのやりとりか(と想像しながら読み始める)。

■本文(読解に約5分弱):難易度は高くない。

[1]宮司ども集まりて、船をばいかがすべき、紅葉を多くとりにやりて、船の屋形にして、船さしは侍の若からむをさしたりければ、俄に狩袴染めなどしてきらめきけり。その日になりて、人々、皆参り集まりぬ。「御船はまうけたりや」と尋ねられければ、「皆まうけて侍り」と申して、その期になりて、島がくれより漕ぎ出でたるを見れば、なにとなく、ひた照りなる船を二つ、装束き出でたるけしき、いとをかしかりけり。
[2]人々、皆乗り分かれて、管絃の具ども、御前より申し出だして、そのことする人々、前に置きて、やうやうさしまはすほどに、南の普賢堂に、宇治の僧正、僧都の君と申しける時、御修法しておはしけるに、かかることありとて、もろもろの僧たち、大人、若き、集まりて、庭にゐなみたり。童、供法師にいたるまで、繍花装束いて、さし退きつつ群がれゐたり。
[3]その中に、良暹といへる歌詠みのありけるを、殿上人、見知りてあれば、「良暹がさぶらふか」と問ひければ、良暹、目もなく笑みて、平がりてさぶらひければ、かたはらに若き僧の侍りけるが知り、「さに侍り」と申しければ、「あれ、船に召して乗せて連歌などせさせむは、いかがあるべき」と、いま一つの船の人々に申し合はせければ、「いかが。あるべからず。後の人や、さらでもありぬべかりけることかなとや申さむ」などありければ、さもあることとて、乗せずして、たださながら連歌などはせさせてむなど定めて、近う漕ぎ寄せて、「良暹、さりぬべからむ連歌などして参らせよ」と人々申されければ、さる者にて、もしさやうのこともやあるとて、まうけたりけるにや、聞きけるままに程もなくかたはらの僧にものを言ひければ、その僧、ことごとしく歩み寄りて、
「もみぢ葉のこがれてみゆるみふねかな
と申し侍るなり」と申しかけて帰りぬ。
[4]人々、これを聞きて、 船々に聞かせて、付けむとしけるが遅かりければ、船を漕ぐともなくて、やうやう築島をめぐりて、一めぐりの程に、付けて言はむとしけるに、え付けざりければ、むなしく過ぎにけり。「いかに」「遅し」と、互ひに船々あらそひて、二めぐりになりにけり。なほ、え付けざりければ、船を漕がで、島のかくれにて、「かへすがへすもわろきことなり、これを今まで付けぬは。日はみな暮れぬ。いかがせむずる」と、今は、付けむの心はなくて、付けでやみなむことを嘆くほどに、何事も覚えずなりぬ。
[5]ことごとしく管絃の物の具申しおろして船に乗せたりけるも、いささか、かきならす人もなくてやみにけり。かく言ひ沙汰する程に、普賢堂の前にそこばく多かりつる人、皆立ちにけり。人々、船よりおりて、御前にて遊ばむなど思ひけれど、このことにたがひて、皆逃げておのおの失せにけり。宮司、まうけしたりけれど、いたづらにてやみにけり。

ほうほう。人物関係も難しくないし、割と読みやすい印象。
注釈も見開きでおさまるぐらいの分量で、ページをぺらぺらする必要がないのも個人的には嬉しい。

要は「[1]船の準備して→[2]船遊び始まって→[3]良暹が歌うたって→[4]下の句誰もつけられなくて→[5]場がしらけて皆帰った」って流れだな。
よし、問題に移ろう。

■問1(約1分):どれも基本的な語彙。3問あるが1分あれば解ける

問1 傍線部の解釈として最も適当なものを選べ。

ア やうやうさしまはす程に
1)さりげなく池を見回すと
2)あれこれ準備するうちに
3)徐々に船を動かすうちに
4)次第に船の方に集まると
5)段々と演奏が始まるころ

やうやう」は超・超有名。「やうやう白くなりゆく山ぎは~(枕草子
」で「段々と・徐々に」で覚えた人も多いはず。
そう考えると、もう2か5しかなくて、「さしまはす」の時点で5のような意味はないから3しかない。

イ ことごとしく歩みよりて
1)たちまち僧侶たちの方に向かっていって
2)焦った様子で殿上人のもとに寄っていって
3)卑屈な態度で良暹のそばに来て
4)もったいぶって船の方に近づいていって
5)すべてを聞いて良暹のところに行って

これは「ことごとしく」がわかるかどうか、って問題だなぁ。読解力というより語彙力問題。
「ことごとし」は「大げさだ、仰々しい」だから、もう4の「もったいぶる」しかない。もはや他は見ない。

ウ かへすがへすも
1)繰り返すのも
2)どう考えても
3)句を返すのも
4)引き返すのも
5)話し合うのも

わー。これも語彙力問題だ。
かへすがへすも」って、古文やってるとよく出てくる言い回しで「繰り返し、何度も」の意味。
でも、パッと見た感じでは直接的に合うのはない。となると、意味をずらさない範囲で読解できる訳を選ばないといけない。

若干、1の選択肢が気になるけど、これを入れたらおかしいし(繰り返すのも、じゃなくて繰り返し思うに、みたいな意味だから)この中では2だな。

うん。問1は3問あるけど、3問まとめても1分足らずでパパパッと取れる問題。

■問2(1分半):文法問題。さくさく解こう!

問2 波線部a~eについて、語句と表現に関する説明として最も適当なものを次から選べ。

文法問題。これは品詞分解して、それぞれ文法的にあってるかをサクサク見ていく問題。

1)a「若からむ」は、「らむ」が現在水量の助動詞で・・・
4)d「今まで付けぬは」は、「ぬ」が強意の助動詞で・・・
5)e「覚えずなりぬ」は、「なり」が推定の助動詞で・・・

見た感じでは、1と4と5は既にない(品詞分解して、助動詞の識別をする)。
ちょっと気になるのが2と3。

2)b「さに侍り」は、「侍り」が丁寧語であり、「若き僧」から読み手への敬意を込めた表現になっている。
3)「まうけたりけるにや」は、「や」が疑問の係助詞であり、文中に作者の想像を挟み込んだ内容になっている。

でも、地の文で疑問の係助詞「や」がある段階で、作者が疑問に思ったことだとは思うから、3でしょう。
2もカギ括弧の中の丁寧語だし、聞き手尊敬の相手が読み手っていうのが変

ということで、答えは3。
おお。ここまでは、本当に簡単だな・・・(簡単すぎてビビる)。

■問3(約2分):内容把握問題。ツッコミながら消す!

問3 1~3段落についての説明として最も適当なものを選べ。

ふむふむ。前~中盤の内容がわかっているか、ということね。
これはもう、訳せていたら分かるんだけど、「なんとなくこんな内容だったかな~」って記憶で解こうとすると間違えるパターン。

選択肢、しっかりツッコミしよう。

1)宮司たちは、船の飾り付けに悩み・・・→×悩んでない
2)宇治の僧正は(中略)祈祷を中止し・・・→×中止してない
3)良暹は(中略)句を求められたことに喜びを感じていた・・・→×感じてたかどうか書いてない
4)殿上人たちは、管弦や和歌の催しだけでは後で批判されるだろうと考え・・・→×謎。この一文自体おかしい

ということで、答えは5。

惑わされる選択肢もないし、またすぐ解けてしまった(汗

■問4(読解約3分):恒例の話し合い開始。別の文章も出てきたぞ。

問4 次に示すのは、授業で本文を読んだ後の、話し合いの様子である。(割愛)

おお、今年も出た出た、話し合い。
ふむふむ、別の文章が提示されて、次のページで話し合いか。
そして去年と同じく、問4(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)で終わりの、全4問構成なのね。
(去年は本文が長いから全4問なのかなと思ったけど、そうでもなさそう。この形態が共通テストでは標準になるかも)

■問4(ⅰ)(約1分)きちんと訳してから掛詞に注目する

(ⅰ)の流れ(※わかりやすく改変)
教師:前に授業で取り上げた「掛詞」に注目してみると良いですよ。
生徒B:あ、そうか、この二つの句のつながりがわかった![ X ]ということじゃないかな。

物わかりのいい生徒よ・・・(こんな生徒は実際にはいない・・・)。

ええと、掛詞だな。「釣殿の下には魚やすまざらむ」に対して「うつばりの影そこに見えつつ」と下の句をつけたのか。
まずは素直に逐語訳。「釣殿の下には、魚が住んでいないのだろうか」に対して「うつばりの影がそこに見えている」という句だよね。それをどう言ってるかというと・・・

1)皆が釣りすぎたせいで・・・→×そんなこと書いてない

1は、掛詞以前に解釈が踏み込んでるな。

2)釣殿の下にいる魚は心を休めることもできないのだろうか・・・→×心を休める、という訳にはならない

2は、訳がおかしい。

3)「すむ」に「澄む」をかけて・・・

む。これはよくある掛詞。
でも、

「そこ」に「あなた」という意味を掛けて・・・→×訳がおかしくなる

これが意味不明。
となると、残るは4。4が答えか。

■問4(ⅱ)(約1分)勝手に解釈を入れずに考える

(ⅱ)の流れ
教師:「もみぢ葉の」の句について考えてみましょう。
生徒A:この句は[ Y ]。

本文の展開の中心にあった「もみぢ葉のこがれて見ゆる御船かな」の句についてか。
これも直訳すると「紅葉の葉が、こがれて見える御船だなぁ」という訳になる。
選択肢を見て、先にツッコミで消せる選択肢は消しておこう。

2)寛子への恋心・・・→×ありえん!!
3)頼道や寛子を賛美するために・・・→×そんなためにとは言ってない

あとは4の選択肢。

4)「もみぢ葉」「見ゆる」「御船」というマ行の音で始まる言葉を重ねることによって音の響きを柔らかなものに整え・・・

うーん。そんなことあるかなぁ・・・
でもまぁ、

この催しの参加者の心を癒やしたいという思いを込めている

続きのこれが違うから、これも違う。
残った1が正解。

■問4(ⅲ)(約2分)選択肢ひとつひとつをよく読む

(ⅲ)の流れ
4・5段落の状況もよくわかるよ。[ Z ]ということなんだね。

もはやこれは、本文読解の問題だな。明らかに違うのは消していこう。

1)良暹を指名した責任について言い争いが始まり・・・→×責任での言い争いはしてない
2)寛子のための催しを取り仕切るのも不可能だ・・・→×そんなこと悟ってない

この2つはすぐ消せる。
あとは3か4。

4)連歌を始めたせいで予定の時間を大幅に超過し・・・→×超過したのは連歌のせいではなく、良暹の句に対して下の句がつけられなかったせい

4は突っ込めるので、残るは3。
答えは3!!

おっ。15分以内で解けた!
見直しもできるくらい余裕があるぞ。

ーーーーーーー

■総括:易しめだった。これで時間かかった人は基本をもう一度見直した方がよい。

ということで、解き終わりました!

所感としては

●本文「易」:文章量は標準。内容も人物関係が多くなく、大まかな意味が取りやすい
●設問「易」:選択肢は長くなく、読解も難しくない。ただし、選択肢にまどわされて踏み込んでしまっては沼にハマる
●問1・問2は秒で解きたい(古文単語と文法力で速度をあげる)
●問4の別資料&会話文も難しくない。普通に訳すことができれば解ける

というところでした。
皆様、いかがだったでしょうか。

受験生のみんなー!!引き続きがんばってねーー!


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