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堀口徹さんの作品に惹かれたふたりの学生の決断とは

 大学在学中、堀口切子の作品に感銘を受け入社を希望するもタイミングが合わず、もともとの夢であったネイリストとして働いていた三澤世奈さん。しかしその後ご縁があり堀口切子に入社し、いまではオンラインショップの運営や広報などの仕事も受け持つ重要な存在となっています。
 そして高校卒業後、北海道から単身で上京し2017年に入社した坂本優輝さん。彼は堀口さんと三澤さんの背中を見て、日々成長を続けています。
 今回はこのおふたりにお話を伺いました。

三澤 世奈(写真左)
 1989年、群馬県に生まれる。明治大学商学部卒業。大学在学中、三代秀石 堀口徹の作品に感銘を受け、門戸を叩く。2014年、堀口切子 入社。
江戸切子を継承する者となるべく、日々研鑽に努める。 

坂本 優輝(写真右)
 1998年、北海道に生まれる。留萌高等学校卒業。高校在学中、江戸切子に興味を持ち、堀口切子での職業体験を希望する。2017年、入社。
江戸切子職人では最年少(2017年当時)で、日々研鑽に励む。

■「堀口切子」だからこそ働きたい

最初に三澤さん!堀口切子を知ったきっかけと、働き始めるまでの経緯を教えてください。
 堀口切子を知ったのは、私が大学3年生のときでした。親方(堀口徹代表)がポーラの化粧品の容器を江戸切子で作るという商品を監修されていて、「こういう商品もつくれるんだ」と堀口切子に興味を持ちました。そこで直接親方に連絡し、「弟子にしてください」という感じで(笑)
 でもその時は、親方が独立されたばっかりだったこともあり「ごめんなさい」と。そこから一旦、別の職に就いたのですが、その後も常にHPをチェックしチェックしチェックしてて。3年ほど経った頃、スタッフ募集をされていたので連絡し、働かせていただいています。

堀口さんに断られた時、ほかの江戸切子職人のもとで働こうとは思わなかったのですか?
 親方の作っているものにすごく共感したってだけで、「江戸切子職人」という意識は低かったんです。だから思わなかったですね。

どんなところに共感したんですか?
 堀口切子(親方)のセンスですね。作られている商品をみて、「いやだな」と思うところがない。お洋服のブランドとかでも、デザインもかっこいい、パッケージもかっこいい、SNSもかっこいい、となったら「全部好き!」ってなりますよね。そういう感じですね。

では坂本さん!堀口切子で働き始めた経緯を教えてください。
 高校2年生の時にたまたまテレビで江戸切子の特集をやっているのを見て、江戸切子に興味を持ち始めました。やはり切子といえば東京が本場じゃないですか。だから、東京でやることに意味や価値、本質があると思って。「やるなら本場で」みたいなこだわりがありましたね。そこで、調べたり、実際に堀口切子に来たりして。

そんななか他ではなく、堀口切子に決めたきっかけはありますか?
 はい、堀口切子のホームページを見ていく中で「黒被万華様切立盃(くろぎせまんげようきったてはい)」というプロダクトを見て「かっこいいなあ」って。それでよく調べて、ここで働きたいと思いました。 他の江戸切子屋さんをみると、モノに対して複雑にカットが入っていることが多いのですが、堀口切子のプロダクトは非常にシンプルなカットのものが多いんです。それはカットの難易度を下げて、デザインや精度を高めることによって、完成度を高くするという親方の考えからです。デザインがかっこよくて、プロダクトのクオリティが高い「堀口切子」だからこそ惹かれたんだと思います。

■多くの魅力的な作品の中で

おふたりが一番好きな作品はなんですか?
 三澤さん:たくさんあって難しいですね(笑)親方の作品で「虹のたもと」というのがあって。切子らしい細かい模様がはいっているわけではないんですけど、作品名のように、虹の始まりのようにわっと色がひろがっていくような感じをイメージした大きな鉢があって。それが一番好きです。自分は細かい文様とかよりは、かたちをつくることが好きで。その技術がすべて詰め込まれていて、自分の憧れかなという作品ですね。

 坂本さん:そうですね...。僕は親方の「Inside beauty」という作品です。中に試験管みたいなものがはまるようになってて、その周りに色がついた和紙を入れることで表情が変わるという作品です。これを聞いた時に「ガラスだけじゃないんだな」と気づかされましたし、親方の今までの経験や考え方が詰まっていてすごいなと痛感させられました。でも実際に見たことはないんです(笑)親方の作品で見たことがないものがいくつかあって、いつか見てみたいなって思います。 

■おわり

 前回の堀口さんのお話にもあった通り、「江戸切子をつくりたい」ではなく、堀口切子作品に惹かれ、「堀口切子で働きたい」と思ったおふたり。そんなおふたりだからこそ、堀口さんと同様の感性と柔軟性を持ち、日々制作を行うことができているのでしょう。 

 今回の取材に協力していただいた三澤さんが制作・プロデュースした堀口切子の新ブランド「SENA MISAWA 」が、本日7月1日より販売を開始しました。堀口切子らしさ、三澤さんらしさがたくさん詰まったブランドです。ぜひ一度ご覧いただけると嬉しいです。

▲インスタグラム

▲オンラインショップ


 もっとお話を伺ったのですが、長くなってしまったので今回はここまでにします!読んでくださりありがとうございました!

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