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そして今日も僕はささいなことで息を吹き返す

まだ月曜なのに、家に帰ったら、完全にグロッキー状態だった。

年末に壊した体調がなかなか良くならず、それでも目の前には山のような仕事が待っていて、かつ、どうしたって手を抜けない性分だから、会社に行くたびに、確実に気力と体力が削られていって、気づいたら、また年末の自分に逆戻りしつつあった。

止まらない咳、節々が痛む体、ついに発熱までし始めた僕は、早めに布団に入ることにした。

そして、その4時間後の0時30分に目覚めた僕は、激しく咳き込みながら、でも、熱が下がって少し楽になった体で、また性懲りも無く、noteを書き始めている。

体調が悪いとどうしたって前向きな気持ちになんかなれっこないから、改めて僕を悩ませる問題の数々がまったく解決されないまま、いたるところにゴロッと転がっているこの世界を前にゲンナリしている。

でも、そんな自分の気持ちに少し光明が差したような気もしていて、その理由もはっきりと分かっていた。

それは、昨晩、今月から週一ではあるけれど小学校に通い始めた息子から、

「月一の課外活動で卓球をすることに決めた」

というニュースを聞いたからだった。

どうやら昨日、体育の時間で初めてやった卓球が思いの外楽しかったらしい。

で、実は、何を隠そう。

僕の唯一の特技は、その卓球なのだった。

部活でやってたわけではないけど、何しろ大学時代と社会人になってから、インターハイに出たことがある猛者たちから手解きを受けていたからだ。

そして、何よりもほとんど人生のバイブルと言って差し支えないほど僕が一番大好きなマンガこそが

松本大洋の「ピンポン」

なのであった。

実際、その日いきなりスマッシュを決めた息子からも、僕と一緒に見たピンポンのアニメーションの影響をほのめかされていたしね。

いやはや、それにしてもなんて思いがけない朗報だろう。

他の子供思いのしっかりとした親たちと違って、無責任で放任主義な僕は、これまで息子に向かって勉強も趣味もこれをやれなどという指示は一度もしたことはなかった。

にも関わらず、今回、息子は自らの意志で、僕が好きな卓球、心のどこかで彼と練習できたらどんなに最高だろうと思っていたあの卓球をやるって決めてくれたのだ。

こんな嬉しい誤算ってないよね!

で、その話を聞いた時の僕のはしゃぎぶりがあまりにも分かりやす過ぎて、妻と息子から散々からかわれたけど、そう言えば、僕はいつだってそんなささいなことで息を吹き返す単純な人間なのだった。

とにかく、これから息子に二人三脚でしっかりと卓球のコーチができるように、まずは体調を一日も早く元に戻すのが先決だ。

だから、今日、朝から這ってでも行くつもりにしていた会社は午前半休取って、念のため呼吸器内科を受診しに行くことに決めた。

今も気づいたら咳も止まってたから、これで病院に行けば、きっと確実に治るはずだ。

最近、すっかり歳をとったなあ、とぼやいていた自分から一転、すっかり期待に胸を高鳴らせている自分を感じながら、

「きっとあのバタフライジョーもこんな気持ちだったかもしれない」

そんな感想がふと僕の脳裏を掠めた。


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