見出し画像

フラれた日の次の朝

昨日、彼氏と別れた。
眠れなくて、でもちょっとだけ寝て、5時に起きてパンを焼いた。
コンプレ、めっちゃ、いい匂い。

出会い

彼とは夏の終わりに婚活パーティーで出会った。
白のTシャツに青のシャツを羽織った彼は、婚活パーティーでの出会えなさにウンザリしていた私にとって希望の光だったのだ。
「あ、爽やかな人来た。」
やっと、「普通の人」来た。婚活パーティーにおいてこの「普通の人」に出会うということがなんと困難なことか。
私が「普通でない」とレッテルを貼った彼らからしたら私も「普通の人」ではなかっただろうけど。
だから、彼と初めて対面した時には高揚した。とっても。
落ち着いていて、穏やかで、物腰が柔らかで。
顔もタイプだった。身長も高かったしね、
そうそう、私、こういう人と巡り合いたかったんだよね、ってね。


とりあえず、お茶

パーティーのあと、DEAN&DELUCAでキャロットケーキとコーヒーを飲んだ。彼は、友達と参加していてその後、友達と飲みに行きたかったらしく1時間くらい喋って解散した。
名刺を渡された。
37歳、新橋の保険会社勤務、コンサルタントをしているらしい。
Googleマップでオフィスの中まで見せて説明なんかしてくれちゃって、
そんな姿がとても誠実に思えたし、信頼性が高まった。
今、考えたら、これは彼なりの戦略だったのかもしれない。

「〇〇ちゃんとマッチングできてよかった!」

夜に彼からLINEがきた。
「今日は行くまでは面倒だったんだけど、〇〇ちゃんみたいな素敵な人とマッチングできてよかったです!」と。
文面から彼が相当盛り上がっていることが恋愛下手な私でも読み取れた。

そう、彼は舞い上がっていた。
だけど、その熱を段々と私が冷ますことになる。
彼の気持ちを削いだのは私、だ。

はじめてのデートは水族館

池袋駅のマツキヨの前で待ち合わせをして、サンシャイン水族館に行った。
少し遅刻していった私に「来ないかと思った」と少し笑った彼をかわいく思った。「来るよ、約束したじゃん」
閉園まで1時間くらい。結構急ぎ足で見て、おしゃべりして。
結構混んでたなぁ、でも彼は水槽1つ1つ丁寧に見て歩いた。
「小学生の頃、北海道に住んでたんだ」
「それでその頃、お父さん病気で死んじゃって」
「それで、こっちに母親と引っ越してきたんだ、母親の実家のほうね」
まだ会って2回目なのに、プライベートなことどんどん話してくれて。
「そんな話、私、聞いていいの?」って。

クラゲ、きれいだったね。
あの時、写真とか撮ればよかったね。
恥ずかしすぎて全然そんなことできなかったよ。

水族館のあと、うどん好きな彼の行ってみたかったお店に行って
「はじめてのご飯がこんなでごめん」って食券を買ってくれた。
手打ちうどん。太すぎて、全然食べ進められない私。
アクリル板越しに対面で座って、何か話しかけてくれてるんだけど全然聞こえなく、でも、適当に笑顔でうなずいて見せたりした。
「どうやら、食べられないならもらうよ」ということだったらしく
自分のお皿を差し出して、私のと交換する。

大したことない。
だけどその「大したことないこと」一つ一つが嬉しく思えてしまう。
どんどん好きになる。
優しい人だなあ、好きだなあ、ってもう既になってたんだ。

「飲みに行く?」
ご飯のあと誘ってくれて「行かない」って断って。
はじめてのデートは楽しい時に切り上げるが大事だって神崎メリ先生が言っていたから。余韻を残しつつ。
夜遅くなると家に帰るのが面倒だからという気持ちも半分、ね。
同じ電車に乗って、「誕生日いつ?」なんて他愛のない会話をして。
彼と別れた後すぐに、ゲッターズ飯田の五星三心占いで相性確認したよね笑

その時、たぶん彼は遠回りをして、私の降りる駅まで送ってくれた。
何駅か分だけど、思いやり。
「ばいばい、おやすみなさい」


「今度はお気に入りのかき氷、行こう!」

「うれしいです!」すぐに彼からの返信。
今度は私の好きなかき氷屋さんに行く約束をした。
お店の事前予約。私もWEB予約ははじめてだったから、練習しよう!と言って、電話しながら前日に挑戦してみた。
惨敗。想像以上の速さで予約は満席に。
「ダメだったねー!残念!」
「じゃあ、また明日がんばろ!また同じ22時にね!」
「待って、まだちょっと話せる?」

不覚にもキュンとしてしまった。
中学生かよ、
そして次の日も惨敗。デートは違うお店に行くことに。


「手、つなぐ?」

谷中のひみつ堂でかき氷を食べて、上野まで散歩することにした。
「手、つなぐ?」
2回目だから、攻めよう。言い出したのは私だ。
「手汗が‥」といいながらパンツで手を拭う彼。

手をはじめてつないだ。
だけど、私たちのスキンシップはこれが最大限。
この時からこの先も。
どこまでもプラトニックな関係だった。


「とりあえず、付き合う?」

その後、のらりくらりと連絡を交わし、映画を観に行った。
映画の帰り、彼が車で最寄り駅まで送ってくれた。
彼は埼玉、私は千葉。
「高速使えば1時間くらいだよ」って彼は言ってくれたけど、本当はその倍近くかかってるの知ってるんだ。

車、密室。
さすがに4回目のデートだし、告白あるよね?私は期待していた。
そして駅について、いつも通りに帰されそうになり、「あのさ‥」と私から切り出した。

「私たち、今どういう感じ?」
「どういう感じって?」
「いや、もうデートして4回目だし、というか世間の相場は3回目だと思うんだけど。」
「え、早くない?でも、そうか‥」
「いや、むしろ遅いよ。ぼーっとしてるとクリスマスもお正月もあっという間に来ちゃうの。私は、〇〇くんのこと素敵だなあと思ってデートしてるよ。〇〇くんは違うの?」
「ううん、俺もそうだよ。そうだよね、いいなって思わなかったら来ないよね。」
「私は告白とかされたらうれしいなと思ってるよ」
「‥‥、じゃあ、付き合う?」
じゃあ、ってなんだよ。
「好きです、付き合ってくださいがいいな」
運転席でうなだれる彼。
「好きなので、付き合ってください」
「はい‥いいでしょう笑、まあとりあえず、付き合ってみて違ったら別れればいいよ。」
「うん、そうだね。わかった。」

今、思い返せば、完全に言わされている。
彼からの意志ではない、付き合うの形。
私自身もきっと中学生のような「トキメキ」やSNSで見るようなああいう形のいわゆるカップルがよくやることが、よくあることが欲しかったんだと思う。そんなものに彼を付き合わせてしまった、という感情はあるわけで。

たぶん、この時にはもう、彼の中での「熱」は冷めていたんだ。
私も心のどこかではわかっていたよね。
だけど、ただ、彼が欲しかった。
婚活砂漠、3年くらいさまよっていて、やっときたこのチャンスを逃したくはなかったんだ。
だけどそれは、もちろん、「彼だから」だったんだけど。
そう、あの時私はチャンスを逃したくなかった。押すしかなかったんだ。

もっと素直になればよかっただけ。

一昨日、彼と別れの電話をしているときに感じたこと。
(note書いているうちに時が過ぎてしまった)
youtubeとかinstaの「彼を沼らせる」そんなのばっかり見ていた私は、戦略的に彼を落とそう。沼らそう。私のことを溺愛させよう。とそんなことばかり考えていた。
知識ばかり頭に詰め込んで。
本当はもっと連絡したかった。すればよかった。でも、「彼氏に依存する女はモテない」のショート動画が頭をよぎった。

彼からの連絡を待ち続けた。
段々と減る、LINE。
「今日、これ食べたよ!」とたまに送られてきていた、つけ麺の写真ももう送られてこなるわけで。
「付き合い立てじゃないんだから連絡頻度は減るよね」の言葉では済まされないくらいに、お互い連絡を取らなくなっていった。

でも、私は、会えない時間も君のことを考えていたよ。
もっと日々の他愛のないこと、話せばよかったね。
もっと気軽に電話すればよかったね。
素直じゃないね、


「君の感覚は少しおかしい」

別れようと思って電話をしたわけではなかったの。
だけど、もう終わりに近づいているのはわかってはいて。
お花見デートをしてから、1か月の音信不通。
大型連休だというのに2人の約束はなし。
もう、普通に考えて終わってる。
自然消滅狙ってるんだろうな、って頭ではわかっていた。
「3週間前に婚約破棄をされた男」ともんじゃ焼きを食べて、
「自分から連絡すればいいじゃん。1か月連絡なしって、普通ないし、心配にならないの?もし入院とかしてて連絡取れない状況だったらどうすんの?てか、いつでも彼氏も連絡しなきゃじゃ疲れるっしょ」「君の感覚は少しおかしい」と言われた。
反省。
でも、いつも連絡していたのは私からだったし。
「3週間前に婚約破棄をされた男」は素直で真っ直ぐすぎる男で。
自分の夢をすんなりと話すその姿は誠実そのものだった。
帰ってから彼に電話した。
出なくて。
「10分後に折り返す」とメッセージが返ってきた。


「俺たち、これからどうする?」

どうでもいい近況報告をお互い済ませた後、彼が切り出した。
沈黙、沈黙。
彼が私を傷つけまいと言葉を探している時間だった。
「〇〇ちゃんが悪いとかはなくて、俺が悪い」
「〇〇ちゃんはすごく優しいじゃん、性格もよくて‥」
「だけど‥」

その「だけど」の後の言葉が本当の本当の、彼の心だったのだろう。
だけど、その「だけど」のあとの言葉を彼は口にはしなかった。
ニュアンス的に、私の感覚的にだけど、きっと
「守りたい」とか「大事にしたい」そういう感覚にならなかったのだろう。
要は「女として見れなかった」これが答えなんじゃないかと。
ここのこと、もっとちゃんと聞けばよかったって、今になって後悔してる。
だけど、その時の彼はあまりにも頼りなくて、そして、わたしも傷つくことはわかっていたから、だから聞けなかったのかもしれない。
いつものように、「明るく」「素直に」振舞った。
きっと、こういう所も彼は嫌ではないけれど、求めてなかったんだろうね。

「私とのこと、考えてた?」
「考えてたよ、最初の方は」
「でも、ちがった?」
「ちがった‥ちがったとかじゃない」
「真剣に考えてた、だけど、前向きになれなかった」

おわった。
「前向きになれなかった」この言葉は、キツカッタ。

「おわりにしよっか。」
彼からは直接言えないだろうと、切り出した。
「‥うん。」

「私、前の彼氏がストーカー気質だったから、〇〇くんと一緒にいれてすごく幸せだった。今、感謝でいっぱい」これは、本当。
「〇〇くんの隣は居心地がよすぎて、私は幸せだったの」これも、本当。
「ありがとう、幸せになってね」これも、本当。
一言ガツンといってやろう、なんて気は全く起きなくて、彼への愛おしい気持ちと感謝の言葉がどんどん溢れた。
こんな感覚は初めてで、これまでで1番きれいな別れだった。

彼のこと、ちゃんと好きだったんだね、私。
だからこその後悔が今になって溢れている。

失恋はアイデンティティの喪失

メンタリストのDAIGOがyoutubeで言っていた。
「〇〇くんの彼女」というひとつの肩書を失ってしまったということ。
私はもう「〇〇くんの彼女」ではない。
2日経って今、心にきているのは「安心できる場所をひとつ失った」ということ。
何か多少のつらいことがあっても「だけど私には彼氏いるから大丈夫」で片づけられた事柄がある。
「今日、帰ったらLINEしよ」とか「今週末デートだ」とかね。
それがなくなるんだ。

私たちの付き合いはどこまでもプラトニックだった。
そのことに私は不満だった。
だけどそれも、一種の彼の意思表示だったんだ。
いやいや、だったらもっと早く口で言ってくれよ、って今の今なら言える。
だけど、あの最後の電話では一言もそんなことは言えずにね。
ああ、今になって後悔の波が。

昨日は友達に散々、話を聞いてもらった。
やっと、泣けた。
そういうモードに浸りたい自分がいる。
失恋モード。是非とも皆さん、慰めてあげてください。のモード。


次はもっと!

わがままに、私らしくいたい。
「相手に迷惑かな?」とか「ウザがられるかな?」とかそういうんじゃなくて。素直に、自分の「こうしたい」を大事にしたい。
恋愛モードの背伸びしてる自分ももちろん好きだけど、もっと自由奔放で、ユニークな私を愛してほしい。夜に声聞きたくなっちゃっても我慢しないよ。「好き!って言いすぎない」なんて恋愛本は無視だ。

そういう恋愛をする。
会いたいときに会ってやる。言いたいことは我慢しないで言う。
そう、我慢する恋愛はもう卒業!

彼との半年はとても幸せだった。
彼氏がいる安心感、はんぱなかったな~
また、独りだ。
将来への不安とか、妊娠のリミットとか、きっと34歳の私には考えなきゃいけないことがたくさんあるんだろう。
私は、絶対幸せになるし、自己実現を果たす。
彼よりいい素敵な男性は絶対にいるし、自分の幸せを願うように相手の幸せを願える、そんな人にこれからきっと出会うんだ。
それは決まりきっていることで、あとは宇宙にお任せなんだけど。
頼むから、早めにお願いします笑

最後にこんな前向きなことを言っているけれど、立ち直っているわけでも、振り切っているわけでもないの。
ちょっとの強がり。
すっきりした感覚はあれからまだ感じていない。
「別れてよかったよ」そう友達は言った。
きっとそうなんだろう。だけど、まだそうは1回も思ってない。
こんなにも彼に執着するとは思わなかった。

「結婚願望がないわけじゃないでしょ?この先も結婚しないの?」
「結婚したい気持ちはあるよ‥でも、出来ないと思う。〇〇ちゃんみたいないい子、もう現れないと思うし。」

(だったら、だったら、結婚してよ)
その言葉は飲み込んだ。


時間が解決してくれるらしいですね。

それってどのくらいですか?いつまで引きずればいいんですか?
頼むから、宇宙よ。
早めによこしてくれ笑
明日で大型連休明け、仕事が始まる。
通常でさえ仕事へのモチベーションなんてものはゼロに等しいのにどう働けというのだ。心を無にするしかないな。感情停止させて黙々と。
「失恋した時こそ仕事だよ」それは拒否、私そこには向かいたくない。

久々の失恋で、前の彼の時には全く抱かなかった感情が最後あふれ出てきてびっくりした。彼への感謝、大好きがあふれてしまった。
きっとそれが私の成長。彼がくれたものなの。

彼もちょっとは私のこと好きだったんだね。
「めんどくさい」そんな本音が占める割合も大きかっただろうに、だけど、ちょっとでも彼は私を好きでいたと思う。
ちょっとでも、私は愛されていた。
それをもって、明日から。
「がんばろう」とは言えないけど、言いたくないから。
明日からの私をたのしもう。
どんな風に私のマインドが変わっていくのか、観察しながら。

彼からもらったイヤリングは全然捨てられないし
写真も消せない
いつか「もう、いいや」ってサラって手放せるときまで。

少しずつ、少しずつ。

でも忘れたくないな。
大好きだなあ。
まだまだ、隣にいたかったなあ。

完全にこのループ。
だから、ここでnoteおわり。

「大好きだったよ、幸せになってね。」
「うん、ありがとう…じゃあ、おやすみ」
「おやすみはだめだよ、またになっちゃう」
「そっか…じゃあ、じゃあね」
「うん、電話きれないから切ってね」
「ありがとう、じゃあね」
「うん、ありがとう…じゃあね」

じゃあね、
幸せになってね。
幸せになるからね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?