ジプシー・キングス 「インスピレーション」

 昔、「鬼平犯科帳」というテレビ番組を好んで見ていた時期があった。
 秀逸な作品であり、内容にも傾聴すべきところが多々あった。
 そのエンディングテーマが「インスピレーション」であり、物語を見終わった後に、エンディングを聞いてもう一度物語の中に戻っていったのを覚えている。

 グループの名前はジプシー・キングス。フランスのバンドなれど、全曲をスペイン語で歌っているらしい。南フランス出身のジプシーだった人のバンドメンバーがジプシー・キングスの母体とのこと。テレビCMでも、多数の曲が用いられているらしい。

 この哀愁の漂うスパニッシュギターを聴いていると、自分の心は流浪の旅を繰り返してきたのか、という思いが浮かんでいた。
 人生など一生、流浪の旅を繰り返すジプシーだと言う人がいれば、それも正解かもしれないと。

 自分が変身することを望むなら、体の内側、心の内側から世の中を見続けて、自分なりの所作を身につけ、哀愁の漂うスパニッシュギターを聞くときに、涙と引き換えに生きるエネルギーを感じることが出来たなら、もう変身しているかもしれない。

 流浪の旅は、何かを見つけ、何かを失い、何かを作り続けながら、一人、孤独に歩いているものか。
 しかし、そんな旅も、孤独な一人旅で無くなれば楽しいものだと、心の中で呟いている自分が居る。

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