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【No.172】 村上春樹の「街とその不確かな壁」を読み終えて(ネタバレ注意)

村上春樹の「街とその不確かな壁」を読み終えて(ネタバレ注意)

私が村上春樹の小説を読んだのは「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」以来になります。
結論としては、「街とその不確かな壁」は村上春樹の作品の集大成と言えるような小説で、今まで読んだ村上春樹の小説で一番の傑作と言えると思います。

心理描写が豊富で、自分の「影」が別の人格を持って独立して生きているという発想は、彼の過去の小説の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」に通じる所があります。

村上春樹はこの小説をコロナ禍の3年をかけて書きました。
また、この小説は彼自身が過去に書いた「街と、その不確かな壁」という中編小説を書き直したものだと述べています。

この小説は架空の世界と現実世界がクロスオーバーして最後に1つに繋がるという独特な手法で記されています。

村上 春樹(むらかみ はるき、1949年(昭和24年)1月12日 - )は、日本の小説家・翻訳家。
京都府京都市伏見区に生まれ、兵庫県西宮市・芦屋市に育つ。
早稲田大学在学中にジャズ喫茶を開く。
1979年、『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。
以上、Wikipediaより引用。

私と村上春樹の出会いは、私が新社会人としてデビューした1986年に会社の先輩から「回転木馬のデッド・ヒート」という短編集を紹介してもらった時です。
その後で、彼の作品を順に読んで行きました。

初期の作品の「羊をめぐる冒険」。
谷崎潤一郎賞を受賞した「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」。
心理描写が豊富でビートルズの音楽に溢れた「ノルウェイの森」
等、順に読み進めて行きました。

村上春樹の作品は文章が易しく読みやすいのですが、内容が多少難解です。
そこがファンを魅了するところなのかもしれません。
また、その他の特徴としては、
①登場人物の苗字に珍しいものを使用する傾向がある(青豆、雨田、子易 等)。
②外来語に略語を使わない。
アパート → アパートメントハウス
デパート → デパートメントストア
スーパー → スーパーマーケット
等。
③性(性行為)の描写を入れる傾向がある。
などが挙げられます。

この小説に「イエローサブマリン」のイラスト付きのヨットパーカーが出て来ますが、それをきっかけとして、「イエローサブマリン」(ビートルズ)のアニメ映画を観る機会に巡り合いました。
ビートルズの曲が色々使われており、ビートルズの4人もアニメのキャラクターになって登場します。
1960年代の作品ですが、現代でも楽しめる内容となっています。

この小説は村上春樹氏が珍しく「あとがき」を書いています。
それは彼のこの小説に対する「意気込み」と「決意」を表しているものだと思います。

以上

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