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焦るな。でもやれ──『思考の整理学』読書感想文

十代の頃に読んでおけると、「知識を着実にためて、待つ」ということがもう少し焦らずにできたのかなと思う。けど、その時に読んでもピンとこないかも説も。
「時間をかけるしか手がない」本当にその通りだと思う。そして、これから残された人生の時間をフルに活用するために、今を最大限使うんだ。


気になった箇所

時間だけが解決するものもある

努力をすれば、どんなことでも成就するように考えるのは思い上がりである。努力してもできないことがある。それには、時間をかけるしか手がない。幸運は寝て待つのが懸命である。ときとして、一夜漬のようにさっと出来上がることもあれば、何十年という沈潜のののちに、はじめて、形をととのえるということもある。

p.41 寝させる

時間でしか解決できないことがあるのは事実。しかし、少しも努力しないのに成就するものはないと思う。
でも、時間でしか解決できないことがあるのは事実。だから、しっかり努力を積み重ねている実感があるのなら、功を焦らないこと。

一方通行の思考はだめ

諸説を集大成し、よく整理してあれば、後人の便利にはなる。ただ、これを論文と呼ぶには問題がある。 〜中略〜 ものを考え、新しい思考を生み出す第一の条件は、あくまで独創である。自分の頭で考え出した、他の追随を許さない(とすくなくとも本人の自負する)着想が必要である。ただ、それを振り回していては説得力はない。せっかくのアイディアもドグマに見える。そこで、さきのように諸説を照合する。

p.45 カクテル

自説と客観的な指標を行ったり来たり。文章にするときだけでなく、他者とのコミュニケーションの基礎動作。自分の考えを持ちつつ、他者の意見を踏まえてその方向性をチューニングする。

「新しいものを生む」とはどういうことか

既存の知識を編集によって、新しい、それまでとはまったく違った価値のあるものにする”知のエディターシップ”が技法としても、充分自覚されていないのは不思議である。

p.51 エディターシップ

(詩人は個性そのものを表現するのではなく)
その個性が立ち会わなければ決して化合しないようなものを、化合させるところで”個性的”でありうる。
〜中略〜 (エディターシップにおいても同様で)むしろ、自分の好みなどを殺して、執筆者と読者の化合が成立するのに必要な媒介者として中立的に機能する。
〜中略〜 無から有を生ずるような思考などめったにおこるものではない。すでに存在するものを結びつけることによって、新しいものが生まれる。

p.55 触媒

クリエイティブとかイノベーションとかいう耳触りの良い言葉は、「0から何かを起こすこと」という意味に捉えられがちだが、実は0から何かを生むことはほとんどないということも意外と知られていないのが不思議。

脱線も大事

教師も脱線を遠慮するに及ばないのである。われわれは、そういう気軽な話のうちに多くのことを自らも学び、まわりのものにも刺戟を与える。

p.71 セレンディピティ

忙しいと雑味とか余白を避けてしまうのだけど、やはりあえてそれをつくるのも大事。ほんっとうにクソつまんない会話でも、じゃあ次はこの会話をどう回避できるかって教訓になるからw

思考を練るために

第一次的思考を、その次元にとどめておいたのでは、いつまでたっても、たんなる思い付きでしかないことになる。
整理、抽象化を高めることによって、高度の思考となる。普遍性も大きくなる。

p.77 情報のメタ化

知識自体ではなく、組織された知識でないとものを生み出すはたらきをもたない。

p.128 すて

まとめ、というのは実際にやってみると、なかなか、たいへんな作業であるのがわかる。その面倒さにてこずったことのある人は、だんだん、整理したり、文章にまとめたりすることを敬遠するようになる。
〜中略〜 思考は、なるべく多くのチャネルをくぐらせた方が、整理が進む。

p.135 とにかく書いてみる

手段としての、アウトプットの大切さ。
いざカタチにしようとすると「うっ」となるそのハードルの高さも、日々トライするにふさわしい壁ではないかと思う。

必要な情報を整える

調べるときに、まず、何を、何のために、調べるのかを明確にしてから情報蒐集にかかる。 〜中略〜 つまり、調べにかかる前に、よくよく考える時間をとらなくてはならない。 〜中略〜 ノートの利用価値を高めるには、見出しをまとめて、索引にしておくとよい。これだとどれとどれが相互に関係するか、一覧することができる。

p.86 カード・ノート

自然のうちに、直観的に、あとあと必要そうなものと、不要らしいものを区分けして、新陳代謝をしている。 〜中略〜 忘れるのは価値観にもとづいて忘れる。おもしろいと思っていることは、些細なことでもめったに忘れない。価値観がしっかりしていないと、大切なものを忘れ、つまらないものを覚えていることになる。

p.115 整理

情報の整理は年齢を重ねるごとに重要になってくるという実感がある。ランダムに記憶できる能力の低下が著しいので、自分の中で情報をインデックス化にして必要に応じて引き出す仕組みにしないとどうしても追いつかない。既存の知識を用いてそれを行うのが、大人の頭の使い方の一つかなと思う。

読書のはしりは辛抱

かりに、関連文献が十冊あるとする。三冊目くらいから互いに重複するところが出てくる。そうすると、これが常識化した事柄、あるいは定説となっているらしいと見当がつく。 〜中略〜 はじめの一冊がもっとも時間を食う。したがってまず標準的なものから読むようにする。

p.94 つんどく法

同意。だから最初の三冊目まではわからなくても挫折ではない。ここを越えるには読み続けるしかない。

人間味を忘れない

どんなものでもその気になって探せば、必ずいいところがある。それを称揚する。 〜中略〜 ほめるのは最上のあいさつで、それによって、ほめられた人の思考は活潑になる。

p.149 ホメテヤラネバ

人間の考えることである以上、まったく、第一次の現実がかかわりをもっていないということはありえない。いかに間接的であっても、ナマの生活が影を落としているはずである。 〜中略〜 汗の匂いのする思考がどんどん生まれてこなくてはいけない。それを単なる着想、思いつきに終わらせないために、システム化を考える。

p.195 第一次的現実

思考を整理し、カタチにするのは他者と交流するために他ならない。
そして、情報を渡す側も、渡される側も、私たちは結局”人間”なのだということを忘れないことが一番大事なのではないだろうか。


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