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あらたなライフワークと出会う ~エンジン01in市原~

「エンジン01(ゼロワン)」の名前だけは知っていた。しかし著名人の集まりで、自分には関係ない、と思っていた。正式名称は「エンジン01文化戦略会議」。「日本文化のさらなる深まりと広がりを目的に参集したボランティア集団」である。林真理子、堀江貴文、茂木健一郎、……。かつては日野原重明氏もメンバーだったそうだ。

ある朝、エンジン01の年に一度のオープンカレッジが開かれると知った。1月26~28日の3日間、帝京平成大学千葉キャンパスなど、市原市内で140のプログラムが実施される。日帰り圏内で開催され、一講座800円。出席者名簿には、130人のプロフィールが並ぶ。これだけ多くの才能ある人々が、ボランティアで参加し、テレビやYouTubeでは語れない本音トークを聞かせてくれる。顔触れを見ているだけで、日本の未来が明るく感じられる。このチャンスを逃してはならぬ、と万障繰り合わせ、2日目に駆け付けた。。

1時限目は、茂木健一郎氏、伊藤穣一氏、宮野素子氏の3人による対談を選ぶ。テーマは「AI時代のハピネス探し」。茂木氏が司会進行を務めるが、しっちゃかめっちゃかだった。落ち着きがなく、まるで子供のように動き回る。教室に入るやいなや、スマホで写真を撮り、それをX(旧Twitter)にあげる。写真では飽き足らず、動画を撮って投稿する。座っている椅子をクルクル回転させる。そうかと思えば、エアクロールを始める。ガチャガチャしながらも、対談者の話はちゃんと聞き、進行役をそつなくこなす。宮野氏に「ハピネスを体現している」「生きるハピネス」と言わしめた茂木氏。話の内容より、彼の強烈な個性が印象に残った時限だった。

2時限目は、「ハピネス倍増!コミュニケーション力」。博報堂のコピーライター、太田麻衣子氏が進行役を務める。小西敏行氏は後輩で、サントリー「伊右衛門」の名付け親。映画『釣りバカ日誌』の監督、本木克英氏は同級生。そして、79歳のコミュニケーション工学の専門家、原島博氏の4人が登壇する。ちなみに、オープンカレッジのコピー「イチハラ、ハピネス。」は太田氏と小西氏の二人が考えたそうだ。対談は、太田氏が準備してきた「幸せに関する10の質問」に沿って進められる。3人が自由に話し、原島氏が締める。1時限目と比較して、予定調和に進行していく。

最後はコピーライター・仲畑貴志氏の言葉で締めくくられた。
「表現力の差は、他者の思いを想い、想い至る力の差」
相手のことをとことん想うことがコミュニケーションの原点なのだ、と改めて気づかされた。

3時限目。「この回は満席となっていますので、間を空けず詰めてお座りください」、教室に入るとこう呼びかけられた。テーマは「林真理子と、とことん話そう」。林真理子氏を中園ミホ氏と中江有里氏が囲み、他愛のない話をする。

「司会は苦手」。真っ赤なパーカーを着た中園氏がこう言うと、林氏がすかさずマイクを手にした。阿吽の呼吸が感じられる。林氏はいつもの理事長スタイルだが、きちんとアイロンがかけられた白いハンカチが目を引いた。

「日大のOBです」。質疑応答になり、手をあげた男性は開口一番こう言った。「お願いがあります。絶対に理事長を辞めないでください」。林氏は今にも泣きだしそうで、会場は固唾を呑んで見守った。「はい、絶対に辞めません。ですが、志願者が減ってるんです」。ハンカチで目じりをぬぐいながら続ける。「毎朝、速報が送られてくるんですけれど、激減してるんです。まだ間に合いますので、皆さん日大を受けてください」と。深刻なのに会場の空気が和らいだ。

4時限目は、「現在進行形!世界の悪人の悪行に物申す!」。湯川れい子氏と三枝成彰氏の話を聞きたいと思い、選んだが、二人とも欠席。進行役の中尾清一郎氏は、代わりに三浦瑠璃氏と野宮博氏が入ってくれたことを、「怪我の功名」と歓迎した。登壇者の一人、神奈川県知事の黒岩祐治氏は、拉致問題担当知事として、北朝鮮の独裁者、金正恩に強い危機感を覚えていると言う。他にも、悪人として、トランプ、アサド、ネタニヤフ、ヒトラーの名前があがる。重いテーマに退屈したのか、聴衆が次々に席を立っていく。だが、メディアに流されず、自分で見極めることの重要性が繰り返され、一番ためになった。

どのプログラムも豪華キャストで、インパクトが強かった。ミーハー意識はもちろん、知識欲も満たされる。この日一日で著名人の見方が変わった。今後は、エンジン01の会員というだけで、「志の高い文化人」と贔屓目に見てしまうだろう。「日本を変え、世界を変えていこう」という彼らの活躍から目が離せない。

早くも次回のオープンカレッジが楽しみになっている。推しを見つけて追いかけるのも面白そうだ。こんどは泊りがけで行くことにしよう。彼らと一緒に食事ができる夜楽にも参加し、三日間、ゆっくりたっぷり楽しみたい。人生の後半は、エンジン01の追っかけがライフワークになりそうだ。


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