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No.36所感=^_^= 人間観察「続・バスの中」

前回から引き続き、書きたいことが二つ…

この記事は、思いの他反響があり、コメントもたくさんいただいた。
今回は、その続き。

episode3「子は親の鏡」

父子が二組、乗車してきた。
幼稚園か保育園のお友達同士らしい。

子供たちは、一人掛けの椅子に、一人ずつ前後に座った。
本当であれば、それぞれの子供を抱っこして、お父さんも座った方がいいのだが、お父さん方は大きいので、それは難しそうだった。
致し方ない。

前後に座った子供たちは、おしゃべりを始めた。

その声が、かなり大きい。
・・・お父さん方、注意しないのかい?

注意するどころか、お父さん同士も話し始めた。

その声が、とても大きい…。
子供たちの声より大きい・・・。

子は親の鏡なのでした( ;∀;)

episode4「特別支援が必要な子」

私は、その母子と2度ほど乗り合わせたことがあった。
お母さんは抱っこひもで小さい赤ちゃんを抱っこし、幼稚園くらいの年齢の子供をもう一人連れている。

バスに乗る前から、その子は、お母さんに何度も同じことを尋ねている。
「このバスに乗るの?」
「このバスに乗る!」
「このバスに乗るの?」
「このバス?」



という具合。
お母さんは、それに対し、その子に寄り添うようにして、本当に小さな、その子にしか聞き取れないような小声て、返事をし続けている。

母子は、療育センターの類いに行くのだろう。毎回、同じバス停で降りる。

この日のバスの乗客は、20代くらいの男性一人、その母子、私だけだった。
男性は一番前の一人席に座り、私は一段高い後ろの長椅子の端の定位置に座った。
お母さんは赤ちゃんを抱っこして一人席に座り、その子はお母さんの後ろで、私の目の前の席に座った。

バスに乗ってもその子の質問は続く。
バスに乗ると、その子の緊張状態はさらに強くなるのだろう。
さらに甲高い声で、相当な音量である。
「三つで降りる?」
「三つで降りるの!」
「三つで降りる?」


お母さんが答えないと、さらにキーっとなってしまうので、お母さんは、根気よく小声で答え続けていた。

しかし、さすがに子供の声が大きすぎると思ったのだろう。
つい、「小さい声でね。」というようなことを言ったのだと思う。
「小さい声?」
「小さい声で話す?」
「小さい声で話すの?」


と、その子が大音量で繰り返すことになってしまった。

私は、そのお母さんに尊敬の念を抱いた。
根気よく、子供の相手をして、本当に偉い。
しかも、きちんと子供の特性に向き合い、療育センターに通っているのだ。

私は、心の中で、(お母さん。がんばれ!)
とエールを送った。

その時、あろうことか、その男性が、怒鳴ったのだ。
「うるせーなー。何とかしろよ!」

(えー!)

お母さんは、すみませんと言ったが、その子を黙らせることはできない。

「黙らせろよ。てめー親だろ!」
「もう降りろよ!」

(えー!!あなたの声の方が、うるさいですけど!あなたこそ降りたらどうなの!)

私は、もう少しで、その男性に対して切れるところだった。
でも、そんなことをしたら、危ない。

お母さんは、立ち上がり、その子の席の隣に立ったが、もちろんその子は黙ることはできない。
お母さんは、
「次、降りますから。」と、言い返した。

お母さんが立ち上がったので、お母さんの顔は、私の目の前だった。
私は、お母さんに聞こえるくらいの声で、
「あんなやつの言うことなんか、気にしなくていいから。」
と、声を掛けた。
驚いたように私の方に向き直ったお母さんのまあるい目には、涙がにじんでいた。
私は、重ねて、
「気にしなくていい!」
と言った。
お母さんは、頷いて下を向き、涙をぬぐって、降りるべきバス停で降りた。

SDGsに取り組んでも、発達障がい者支援法ができても、ことほど左様にまだまだ理解は進んでいないのだ。
暴言や暴力は犯罪で、それがまかり通るなんておかしいはずだが、それを正そうとすれば、逆に被害を被ってしまうのだ。

無力だ。

とても悔しい出来事だった。

私には、心の中でエールを送ることしかできない。
私にできる方法で、発信することしかできない。
noteでの一記事として、この小さな発信に賛同してくれる人がいて、少しずつでも理解が広まってくれたらと思う。
授業で学生に語り、彼らがいつか社会に出た時に、理解を広めるべく努力してくれたらありがたいと思う。

学校で取り組んでいる道徳教育や人権教育は、学校だけでなく、ぜひ、各家庭でも、お子さんの理解度に合わせて取り組んでほしい。

皆が安心して暮らせる社会に。
そう願って、今日も発信します=^_^=


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