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蝶の突進 《事件編》

          1

 濁った白い煙は口を窄めて吐き出したらあっという間に見えなくなった。十一月となって最初の土曜日、秋に見合わぬ暖かさに包まれた天蘭大学の正門に極めて近い位置にある喫煙室で清水は一服していた。

 ガラスの向こう側には、キャンパス内にお喋りをしながら入っていく学生達がちらほら見える。自分の学生時代を思い出そうと上を向いた清水の眼は壁掛け時計に向いた。

ー午後三時三十分、そんなに経ってたのかー

 入って来たのは十分前だが、指の煙草の長さは三分の一程短くなっただけだ。清水は舌打ちすると、煙草を揉み消してドアを開けた。

 喫煙室を出て直ぐの所にある非常階段を昇る、非常階段だからといって施錠されている訳ではないのだが、夏は日光が容赦なく照らし、冬は身を切るような風が襲ってくるので、清水のような清掃員を除いて使用者は皆無と言える。

 二階に到着し、研究室のすぐ隣にあるドアを開くと、藍色のコートを着た男子学生がこちら側に歩いてきた。この棟には二つの教室と一つの研究室がある。そして既に教室を通り過ぎていた学生はこちらに気付くと軽く会釈してきた。

 清水も首を少し突き出し答えると、その学生は研究室のプレートが「在室」となっていることを確認して、

「失礼します」

 と声を出しながらドアを押して入っていった。清水も歩き出そうとした時、

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

と、コートの学生が大声を出してその場に尻餅をついた。眼を見開き、頭がブルブルと震えている。

「ど、どうした?」

 清水は慌てて学生の元に駆け寄った。

「あ…あれ…教授が…」

 震える人差し指が向けられた研究室内に清水は眼を向けた、そしてそれを見て清水も、

「うぉっ」

 思わず声が出てしまった。

 清水から見て奥側の壁にもたれかかりながら、ワイシャツを着た中年男性が床に座りこんでいた。そしてその胸から黒い柄が飛び出しており、そこを中心に男性のワイシャツは真っ赤な染みが出来ていた。

 そして、男性の上には窓が取り付けられており、その窓ガラスにはドアの前にいても視認出来る程の穴が空いており、ヒビも入っていた。

ーと、とにかく警察に連絡しないとー

 清水はポケットに手を突っ込み、スマートフォンを取り出した、するとスマートフォンがブルブルと震えているのだが画面は点灯していない、そこで初めて清水は自分が寒くもないのにガタガタと震えていたことに気付いた。

「俺が通報するから、誰か呼んで来てくれっ」

 そう何とか声を絞り出した清水に反応した、学生はよろけながら立ち上がると、廊下を何かに追われるように走っていった。

ーお互い、ヤバいもの見ちまったなぁー

 清水は彼が戻ってきたらそう言ってやろうと思った。

          2

 午後三時半過ぎ、天蘭大学の研究室に男性の死体が発見されたとの通報を受けた捜査一課の綾川蓮警部は、十五分後に手で顔を扇ぎながら大学の正門を潜った。

 大学構内に入っていくと中は騒然としてはいるが、綾川が思った程ではなかった。今日は土曜日、講義はもしかしたら休みなのかもしれない、と考えながら綾川は現場へトボトボ歩いて行き、明らかに一般的な大学には似つかわしくない服装と年齢の集団に加わった。

「被害者は黒神勇太朗五十一歳、この大学の文学部の教授です。彼の研究室で倒れているところを学生と清掃員が発見、そして通報という流れです」

 先に来ていた後輩刑事はメモを見ながら綾川に説明を始めた。

「死体を見つけてすぐ通報したのか?」

「そのようですね。あっ、彼等がそうですよ」

 手を向けた先にいたのは、非常階段の踊り場で緑色の作業服を着て不安そうな表情をしている三十代程の男と藍色のコートを着て、顔をしかめている学生と思われる男である、作業服の方はあちこちに落ち着きなく視線を向けており、コートの方は震えを止める為か右肘を左手でギュッと握っていた。

「まず現場見なきゃな」

 そう呟いて綾川は現場の観察を始めた。

 黒神の研究室の大きさは、小学校の教室の半分程である。ところどころに汚れが見える白い壁と緑色の床、天井には蛍光灯がぶら下がっている。

 その部屋の奥側の壁に黒神は糸の切れた操り人形のように手足をだらりとさせて壁に寄りかかっていた。綾川は黒神の骸に手を合わせ、顔を近づけていった。

 眼を見開いたままの黒神は顔のところどころにシミの目立つ男である、服装は袖を捲くったワイシャツに黒いズボン、手元には古ぼけた鞄が転がっている。

 そして黒神の左胸にはそこそこの深さがある刺傷、そしてそこを中心にワイシャツは血に染まっていた。それ以外に目立った外傷や汚れはなく、これが致命傷となったことは間違いないだろう。

 綾川は鞄の中身を検めた、鞄からは携帯や財布、様々な書類が入っている。財布の中身はどうやら抜かれていないようだ。

 次にズボンのポケットに手を突っ込むと、何かのタグが着いた鍵が入っていた。この部屋の鍵かどうか後で確認しておこう、と綾川は頭に叩きこんだ。

 今度は遺体の上部にある窓に眼を向ける、窓ガラスに空いた穴は成人男性の握り拳ほど、そしてその穴からヒビも入っている。ガラスの破片が室内に落ちている様子はない、綾川は窓の外を見ながら、

「ガラスは外に落ちてたか?」

「ええ、ただ明らかに破片の量が少ないと報告がきています」

「少ない…風で飛んだりでもしたのかな」

 続いて綾川は室内の様子をチェックした。

 黒神の位置から見て右前方には、グレーのデスクと簡素な椅子が置いてある、デスクの上にはパソコンと雑多に書類が積まれている。またデスクの下にもいくつか物が落ちていたので綾川は「だらしない人だったらしい」と黒神の人物像をイメージした。

 左側の壁の窓側から中心へ向けて三分の一程は本棚になっており、革表紙の厳つい本が詰まっている。残りの壁には掛軸が並んでおり、習字や水墨画が存在感を放っている。

 部屋の中央にはシンプルな白いテーブルを、パイプ椅子が四脚囲んでいる。テーブルの上には何冊かの本と、黒神の遺体から引き抜かれたナイフが袋に密閉されて置いてあった。また、ドアの横にはバーのカウンター席のような形をした小さな台が鎮座している。

「ナイフに指紋か何かは…?」

「いえ、拭き取られてますね。ナイフだけじゃなく部屋のあちこちに拭った跡があります」

 綾川の質問に、鑑識の一人がさらりと答える。

 綾川は遺体に向き合っていた監察医の方を見た。

「では先生の方はどうです?」

「見事に心臓を一突き…ナイフは引き抜かれなかったようですが、被害者は数秒で事切れたと考えてよいでしょう」

「死亡推定時刻の方は?」

「殆ど時間が経っていないですね…最大で一時間前と言ったところでしょうか」

 綾川は時計をちらりと見て、

「では午後二時四十五分より前になることはないと?」

「ええ、自信を持って言えますよ」

 綾川は研究室内の写真を何枚か撮影して扉を潜った、すると隣の教室からも丁度誰かが出てくるところだった。

 薄っすら汗ばむ程暖かいにも関わらず、パリッとしたスーツを着こなしている背の高い男である、そしてその姿に綾川は見覚えがあった。

「すいませーん」

 綾川は小走りでその男のもとに駆け寄る、振り返った男を見て綾川は「やっぱりか」と心の中で呟いた。

「おや、綾川じゃないか!奇遇だねぇ」

「何でお前がここにいるんだよ…江久《えきゅう》」

 江久学ニ郎、綾川とは同じ高校に通っていた間柄である。綾川は彼を一言で表せと言われたら【面倒】にすると固く誓っており、高校在学中も江久がいる度に何かしらの事件が起きていた記憶がある。

 しかし、ただのトラブルメーカーという訳でもない、ということも綾川は知っている。彼はその巻き込まれた事件に必ず答えを見つけ、それが間違いだったことはなかった。成績は人並みだった筈なのに一体どういう事なのだろう、と綾川は彼を見る度に考えている。

 そして彼の現在の仕事(本人曰く天職)は私立探偵であり、警察にも何度か協力している。  

 彼の探偵としての手腕については警察内部ではちょっとした話の種だったりもする程である。

 綾川自身、共に事件の捜査をしたことはあるが…果たしてこの探偵は何処から湧いてきたのだろうか?

「まぁ、探偵の私とこの大学は早々結びつかないだろうねぇ、でも君は知らなかっただろうが私はここの卒業生なんだ。今日ここに来たのは学生達にちょっとした話をする為さ」 

ー私立探偵が大学の教室で何を話すというのだろう?【誰でも分かる!恋人の浮気の見破り方】とかだろうか?ー

 綾川はぼんやりとそんなことを考えていたが、世間話をしている場合ではないことを思い出した。

「丁度いい、ここで事件があったのは知ってるよな?」

「当たり前さ、私はさっきまでそこの教室で待機を命じられていたんだ。何事かと思ったら殺人事件だなんて、いやぁ物騒だねぇ」

「日頃から物騒な仕事してる奴が何言ってやがる、せっかく居合わせたんだから協力してくれよ」

「強引だねぇ、まぁ構わないよ」

 江久はやれやれ、といった様子で首を左右に振った。

          3

 先程まで江久がいた部屋に二人は並んで座っていた。江久を捜査に同行させる許可を取った後綾川は、

「今から第一、第二発見者から話を聞く。現場に関しては後で見せてやるけどどうしても気になるなら写真で我慢してくれ」 

「そうさせて貰おうか、あぁ、もう彼等を呼んでも構わないよ。写真を見ながら話聞くから」

 江久は綾川のスマホを穴が空く程に見つめている。綾川は横目でそれを確認した後、教室に入っていた人物に目線を向けた。

 先程も見た、藍色のコートの青年だ。今日は急に暑くなったからコートを着てきた彼は中々大変だっただろうな、と綾川は思った。

「どうぞ座ってください」

 綾川がそう言うと彼は「失礼します」と小さな声を出して綾川と向かい合った。

「捜査一課の綾川と申します、こちらにいるのは…まぁ気にしないで下さい」

「「えっ」」

 青年と江久の声が被った、二人ともキョトンとしている。

「取り敢えず始めさせて下さい、まずは名前からお願いします」

「お、大友鉄平です。天蘭大学の三年生です」

 大友は江久の方をちらりと見ながら答えた。

「では、黒神さんを発見した経緯を聞かせて下さい」

「はい、僕は今日教授に用があって大学に来たんです。土曜日は元々授業が無いんですけど教授に頼んで時間を作って貰いました」

「一応確認なのですが教授というのは…」

「はい、黒神先生です」

「成程、因みに大学に到着したのはいつ頃ですか?」

「午後二時五十分です」

「ふむ、それでその後は?」

「自分は三時からを希望していたんですけど、教授が『三時は研究室を使う先客がいる、三十分後にしてくれ』と言われたので一階で時間が来るまでスマホをいじってました、そして時間になったので研究室に向かったら…」

 大友は言葉に詰まった。綾川は頷き、

「結構、それで黒神さんを発見した後は?」

「清掃員さんが『誰か呼んで来てくれ』と言ったので走って人を捜しに行きました、誰を呼べばいいか分からなかったんですけど取り敢えず建物の外を出て、正門の所にいた守衛の人に声を掛けました」

「守衛…ね」

「話し終わった後、守衛さんは『非常階段から誰か入らないか見張っておく、君も一旦戻っていてくれ』と言われたので戻って研究室の前で待っていました」

「よく分かりました、では別のことを伺います。黒神さんに恨みを抱く人物、もしくは黒神さんが死ぬと利益がある人物に心辺りはありますか?」

「そうですね…死んだ人のことを悪く言いたくはないんですけど、黒神教授に悪い印象を持ってる人は少なからずいると思います」

「ほう、というと?」

「学生からの評判が滅茶苦茶悪いんですよ。講義はパッとしないし、直ぐに怒るし…それに悪い噂も結構聞きますね、特に黒神ゼミに所属してる奴等は不満が凄いと思いますよ」

 僕も黒神ゼミなんですけどね、と大友は小声で付け加えた。

「具体的に名前を挙げることは可能ですか?」

「特に恨みが深そうな人となると…あの三人かな」

 大友は三人の名前と何故恨んでいるのかの理由を述べた、綾川はメモを取り終わると

「これで一旦終わりです、ご協力ありがとうございました」

 綾川が軽く頭を下げ、大友が立ち上がったその時、

「一ついいですかね?」

 江久が突然声を出した、綾川も大友もビクッと反応して視線を向ける。

「な、なんですか?」

「いえ、暑くないのかな?と思いまして、今日は急に暖かくなりましたからねぇ」

「あぁ、僕冷え性なんですよ」

「そうでしたか!それは失礼しました、もう大丈夫ですよ」

 江久はニッコリと笑い、大友も苦笑しながら出て行った。やはり冷え性なのか、右腕を擦っているのを見送りながら綾川は、

「急に何言い出すのかと思えば…どうしたんだ江久?」

「いやぁ、ついつい気になって。事件に関係あるかどうかは分からないけどね」

「無いと思うがな、というかそれなら何でお前はそんな暑苦しいスーツ姿なんだよ」

「講演をするならピシッとした格好をするのは当然じゃないか!何を言っているんだい!」

 さも当然のように言い放った江久を見て綾川は、

ー探偵の正装ってスーツなのか?ーと、どうでもいいことを考えた。

          4

 続いて部屋に入ってきたのは、緑色の作業服を着て、短い顎髭を生やした男である。

 清水と名乗った清掃員に向けて、綾川が「通報は貴方がしたと伺っていますが…」と言うと、清水は無言で頷いた。

「では通報までの経緯を聞かせて頂けますか?」

「自分、下の喫煙室で煙草吸ってたんですよ。確か三時二十分に入って十分後に出ました。それで非常階段を使って二階に行ったんです」

「非常階段というのは先程まで貴方達がいたあそこですか?」

「それですそれです。で、ドアを開けたらあの男の子がこっちに向かって歩いてきてるところでした。お互いに軽く頭下げて、彼が研究室に入って行って…」

「失礼、もう少し詳しくお願いします」

 江久が顔を前に寄せながら言うのをみて清水は、

「詳しくですか?」と訝しげに聞いてきた。

「ええ、例えば彼は鍵を使っていましたか?」

「いや、使わずに入っていきました。確か【在室】ってなってたプレートを見て『失礼します』みたいなことを言って入って行ったと思うけど…これでいいですか?」

「ええ、大変素晴らしい」

 綾川は、笑みを浮かべる江久をスルーして、「そして、部屋に入って黒神さんを発見した訳ですね?」と、改めて聞き直した。

「そっすね、それで男の子に向かって『通報するから人呼んできて』みたいなことを言って、その子は走っていきました。それで自分は通報した後、そこで待機してましたね、ああいう場面で誰呼べばいいのかなぁ…」

「まぁ、そういう場面に遭遇する方が珍しいですからね」と、答えた江久に対して全力でツッコミたい欲求を抑えて綾川は、

「一応お伺いしておきます、午後二時四十五分から、三時二十分の間は何処にいました?」と、あくまで思考を顔に出さずに問いかけた。

「アリバイって奴ですか?自分は午後一時から煙草休憩するまでずっと仕事してましたよ。多分誰かに見てもらえてると思うけど」

「結構、ご協力感謝致します」

「え、もう終わりっすか?もっと聞かれるもんだと思ってたけど」

「その時はこちらから伺いますよ」

 清水が出ていった後、綾川は江久を肘で突いて「どう思う?」と、髪をいじりながら切り出した。

「まだ何とも、君はどう考えているんだい?」

「大友の証言に出ていた先客って奴が臭うな」 

 綾川はメモを見ながら推測を開始した。

「研究室にいた黒神の元に犯人はやってきた訳だ。ナイフを持った犯人に黒神はビビって窓がある方へ逃げる、その時に勢い余って窓ガラスにぶつかるなりして割ったんじゃねぇかな。そして追い詰められた黒神は犯人にグサリだ」

 綾川は眼を瞑りながら続ける。

「そして犯人は指紋を拭き取って現場を立ち去る。そして午後三時半、大友と清水が遺体発見…ってところだな」

「今のところはそれが妥当だろうね、それでこれからどうするつもりだい?」

「さっき話が出てきた三人に話が聞きたいな、大学内にいるなら楽なんだが」 

「待った、彼等の元へ行く前に話を聞いておくべき人物が一人いるよ」

「え、誰だ?」

 綾川の問いかけに江久はフフン、と鼻を鳴らしながら答えた。

「大友君の話に出ていた守衛さ、彼の証言の裏付けもそうだが、もしかしたら大学を慌てて出ていく奴を見かけているかもしれない。是非とも話を聞いてみたいね」

          5

「いやはや、刑事さん!お疲れ様でございます」

 土山と名乗った初老の守衛は、綾川が話しかけるや否や手を擦りながら答えた。

「本当驚きましたよ!まさか平和の象徴とも言っていいこの大学で事件だなんてねぇ、いやぁ人生何があるか分からないものだ」

「ごもっとも、では早速伺いたいのですが事件について何か知っていることはありますか?」

「勿論、いつも通り仕事をしていたら男子学生がいきなり『教授が死んでるんです!』なんて言うもんだから驚きましたよ!取り敢えず彼を帰した後、そこの門の前に立って出ていこうとする学生に事情を説明して留めていました」

「確認ですが、その学生は藍色のコートを着ていましたか?」

「はい、着ていましたよ」

「では、その学生が来てからはこの大学からは誰も出ていないということですか?」

「そうなるのかな、学生が大学から出入り出来るできるのはそこの正門だけなので少なくとも学生の出入りは止まったかと」

「中々賢明な判断でしたね」

 江久がそう言うと、土山はニカッと歯を見せて笑った。

「まぁ、非常時に役に立てなくて守衛が務まるか、って話です。にしても今日はとんでもない日だなぁ、人は死んじまうし悪戯はされるし」

「「悪戯?」」

 声を揃えた綾川と江久に対して「これも話そうと思ってたんですけど」と、前置きをした上で話し始めた。

「守衛室の向かい側に駐輪場ありますよね?」

 土山が人差し指を向けた先にはグレーの屋根と白線の四角が地面に描かれ、入り口に【駐輪場】と書かれた看板があるスペースがあった。

「あそこで爆竹を鳴らした奴がいましてね、大学生にもなって何やってるんだか」

「それは何時頃の話でしょう?」

「午後の二時五十分だったかな、いつも通り仕事してたら突然パーンって音がしてね。本当ビックリしましたよ」

「鳴らした人物は分かっているんですか?」と、江久が問いかけると土山は眉をひそめながら

「犯人かどうかは分からないんですけど、怪しい奴はいましたよ。その時の私は、看板の辺りにいたそいつが怪しいと思って『何をしているんだ!』って怒鳴りながら近づいたんですよ、そしたら凄い勢いで正門を潜り抜けていって…」

「その人物の特徴は分かりますか?」

「何しろ急だったもんでねぇ…確か爆竹が鳴る五分前位からそこにいたんだけど…髪が短かったから多分男なんじゃないかな?」

ーショートカットの女子大生に引っ叩かれますよーと、心の中で忠告した後綾川は、

「それで逃げた後はどうなりました?」と問いかけた。

「もしかしたら戻ってくるかもしれないって思ってじっと見張ってたんですけど…それっぽい奴は来ませんでしたね、それと鍵の貸し出しの仕事もありましたし」

「鍵の貸し出しはこちらで?」

「ええ、そうですけどそれが何か?」

 綾川は、黒神のポケットに入っていた鍵の写真を見せながら、

「黒神さんの遺体からこの鍵が発見されました、これは現場である研究室のものでしょうか?」

「おっ、そうですよ。いやぁ、その鍵見つかったのか…良かった良かった」

「見つかったって…まさかこの鍵無くなってたんですか?」

 綾川がすかさず聞くと、土山は何でもないことのように、

「ええ、黒神教授に貸そうとした時に無くなってることに気付いたんですよ」

「ちょ、今なんて言いました?」

 綾川は思わず声を出した。江久の方は興味深そうに土山を見つめている。

「ですから黒神教授に…」

「死亡する前の黒神教授と話したんですね!?」

「そ、そうですけどそれがどうしたんですか?」

「いやどうしたって…」

ー何故それを最初に言ってくれなかったんだーと言いたくなるのをグッと堪えて、

「それは何時頃でしたか?」と何とか声を絞り出した。

「午後三時でしたね、普段土曜日はいらっしゃることが無かったので『何かあるんですか?』と聞いてみたら『忘れ物をしてしまって』って言ってましたよ。そしていざ鍵を貸そうと思ったら何故か見当たらなくて…貸し出した覚えがなかったんで不思議だなぁと」

ーいや、『不思議だなぁ』じゃないだろ!ー

「その後黒神さんとはどんなやり取りを?」

 頭を抱えた綾川の変わりに江久が尋ねる。

「黒神さんに文句を言われた後、『研究室を見てくる、あんたは守衛室の方を探しておいてくれ』と言って黒神さんは大学の中に行きました、私は守衛室で鍵を探していました」

「因みに、鍵はいつまで守衛室にありました?」

「私は鍵を一時間ごとにチェックするようにしています、午後二時の時にはその鍵はありました」

「では無くなったのは二時から三時の間ですか…」

 土山に礼を言って、二人はベンチに座った。

「黒神が大学に来たのは午後三時…つまり犯行が起きたのは三時から黒神が遺体で発見された三時半までの間ってことになるな」

「そのようだね。さて、次はどうしようか?」

「そろそろ動機があった人達に話を聞きに行きてぇな、勿論一緒に行くよな?」

「付き合うよ、そういう仕事だからね」

          6

 午後四時四十五分、江久と綾川は大友が挙げた三人の中の一人、稲垣恵一が住むアパートの前にいた。

 大友曰く、「彼はレポートを盗作しているんじゃないか、としょっちゅう教授に問い詰められていました。本人は否定してるんですけど、僕が前に研究室に行った時に教授のパソコンの前で教授と稲垣がいて、揉めていたのを見たことがあります」

 綾川と江久は、稲垣に話を聞きに行く前に研究室に戻りパソコンを調べた。因みにパスワードはキーボードの下に貼ってあり、鑑識の一人が、「今どき不用心ですねぇ」とぼやいていた。

 暫く調べていたところ、江久が一本のUSBメモリを見つけた。そしてそのデータを見てみると、

「成程…これは確かにアウトかもな」と、綾川は思わず声を出していた。

 USBの中身は二本の論文だった、一つは稲垣恵一と表記されており、もう一つは稲垣より二学年上の学生の名前が書かれている。そして論文の中身は、九割九分一緒と言って良かった。

「盗作のデータを消す為に殺害…まぁあり得なくはないか?」

「消せてなかったけどねぇ」と、稲垣のドアの前で立ち話をして、綾川はチャイムを押した。

 扉を開いて出てきたのは、ほっそりとした体格で髪を短く刈り込んだ青年である、服装は長袖のTシャツに茶色のズボン。見知らぬ二人の男の来訪に驚いたのか、

「ど、どちら様ですか?」

 稲垣は声を上擦らせながら綾川の方を不安気に見つめている。

「警察の者です、ちょっと伺いたいことが…」 

「け、警察ぅ!?ぼ、僕は何も知りませんっ、帰って下さい!」

 稲垣がドアを閉めようとしたところに、江久は足を突っ込みながら、

「まぁまぁ、遅かれ早かれ話を聞くことになるんです。ここで済ませるか、取調室で話すか、どっちが良いと思いますか?」

 と、何故か探偵が強気な態度を取っているのを横目で見ながら綾川は、

「まぁ、そういうことです。直ぐに終わらせますからお願い出来ませんかね?」と、手を合わせながら言った。

 稲垣は黙っていたが、「分かりました…」と不承不承といった様子で呟いた。

「ではまず、黒神勇太朗さんが何者かに殺害されたことはご存知ですか?」

「え…黒神教授が?本当なんですか?」

 稲垣は信じられないといった様子で呟いた。

「今日の午後三時から三時半の間のことです、ところで貴方はその時間は何処にいました?」

「け、刑事さんっ、ひょっとして僕を疑っているんですか!?」

「いえいえ、誰にでもする質問ですよ」

 サラリと答えた綾川に対し、稲垣は暫く唸った後に「家にずっといました」と答えた。

「それを証明してくれる人はいますか?」

「い、いませんけど…」

「黒神教授は午後三時に誰かと研究室で会う約束があったようなのです、心辺りはありますか?」

「そ、そんなの聞いたこともないですよ!刑事さん、やっぱり僕を疑ってるんですよね!」

「ですから…」

「少なくとも…貴方に動機があることは事実でしょう?」

 突然、江久は稲垣を鋭く見つめながら切り出した。綾川は止めようとしたがその前に稲垣が、

「ど、動機なんてある訳ないでしょう!ふざけないでください!」

「ですが、貴方は論文を盗作していた…そのデータが教授のパソコンから発見されましたよ?」

「論文!?僕はまだ論文は提出してませんっ、何かの間違いです!」

「論文【は】ですか?」

「あっ…とにかくそんなものは知りません!もう帰って下さい!」

 そういって稲垣は、乱暴にドアを閉めた。

「江久…お前なぁ」

「手に入れたカードは、使って初めて効果があるんだ。そうは思わないかい?」

 悪びれる様子のない江久に、綾川は一つ溜め息をついて、

「まぁ、レポートにしろ論文にしろ盗作はやってると考えて良さそうだ。動機はあってアリバイ無し…」

「そういう訳だ、では次へ行こう」

          7

 午後五時、陽はまもなく沈もうとしている頃に二人は寺田亮二が住む学生マンションに到着した。

 階段を昇る途中で綾川は大友の証言を思い出していた。

「寺田君は教授によく怒鳴られたり、研究を馬鹿にされたりしてたみたいです。彼の愚痴に何回か付き合ったことがあります」

 綾川は咳払いをして、

「随分と嫌われてたみたいだなぁ…ホトケさん」と、話しかけると江久は、

「万人に好かれることは不可能だが、万人に嫌われることは可能…私の持論だよ」と、指を鳴らして返してきた。

「間違いないな」

 と、江久を見つめながら答えた後、「おっ、ここだな」とドアの前に立ってチャイムを鳴らした。

 ドアの向こうから、「はいはい~」と低い声が聞こえてきた。

 そして姿を見せたのはガッシリとした体格の青年である。タンクトップから覗く腕はかなり太く、傷一つ無いので人によってはたまらないだろう…という思考をおくびにも出さず、

「遅い時間にすいませんね、こういうものです」と、警察手帳を突きつけた。

「警察?何かあったんですか?」

「天蘭大学の黒神教授はご存知ですね?」

「ええ、俺そこのゼミ生ですし…」

「彼が今日の午後三時頃、大学の研究室で何者かに殺害されました」

「えっ、マジっすか!?」

「ええ、マジです」と、大真面目に綾川は答え、

「失礼ですがその時間帯はどちらにいらっしゃいましたか?」

「えっと…ここにいました」

「証明は出来ますかね?」

「いや、一人だったんで無理っす」

「黒神教授は午後三時に研究室で誰かと会う予定があったそうなのですが心当たりはありますか?」

「俺は初めて聞きましたよそれ、全く分かんないっす」

「そうですか…」

 あっさり答えられてしまったので次に聞くことを考えていると江久が、

「黒神教授との関係はどのようなものでしたか?」と、先程と同じようにストレートを叩きこむと、

「まぁ、良くは無かったっすね。何かにつけて嫌味言ってきたし…」と、再びあっさり答えた。

 江久は顎に手を当てて少し考える仕草をした後、

「世間話だと思って聞いて欲しいんですが、犯人の狙いは何だと思いますか?」

「えっ、俺に聞くんですか?」

「まぁ適当でも構いません、今はどんな情報も欲しいので」

 寺田は腕を組んで俯いていたが、突然前を向くと、

「まぁ、教授に恨みを晴らす為なんじゃないっすかね?」

「怨恨ですか、ですがそうなると貴方にも動機があることになりますが…」

「いやいや、あんな奴に苛ついているようじゃこの先やっていけないっすよ」と、寺田は苦笑しながら答え、

「まぁ確かに好きではなかったっす、パスワードを分かりやすい場所に貼ってるくせに『パソコンは私が監視している時のみ使用可能とする』とか、『研究室の資料の持ち出し禁止』とかよく分からないことばっか言ってるし…でもだからといって殺しはしないっすよ、それで捕まったら馬鹿みたいじゃないっすか」と、寺田は締めくくった。

 歩道に出て綾川は欠伸をしてから、

「稲垣と比べて堂々としてたな」と、感想を言った。

「しかし動機とアリバイの点では彼と同じだ、油断は禁物だよ」

「分かってる、それじゃあ最後だ」

          8

 時刻は午後五時四十五分、綾川と江久は天蘭大学に戻っていた。大友が名前を挙げた最後の一人、三叉怜奈に話を聞く為である。

 大友の証言では「三叉さんは教授にその…セクハラされてたんです。品の無い言葉をよく投げかけられてて、自分を見つめる目線がいやらしいって友達に喋ってました」とのことである。

 彼女は実家暮らしで、家を尋ねたところ「大学に行った後、まだ帰って来ていない」との答えが帰ってきた。入れ違う可能性もあったが、江久が「現場にキチンと眼を通しておきたい、戻ってくれ」と要望したので、まぁまぁの時間を掛けて戻った訳である。

「さて、お目当ての人はいるかな?」

「ご家族に連絡を取って貰った所、カフェテリアにいるそうだ。そこで待機してくれてるらしいから急ぐぞ」

「えっ、いつの間にそんなことしてたんだい?」

「お前が缶コーヒー買ってる時だよ!」

 カフェテリアにはまだ数人の学生が残っていたが、小柄で髪を束ねた女子学生が入ってきた綾川と江久を見て、手を振ってきた。

「申し訳ありません、無理を言ってしまって」と、綾川は謝罪したが、

「いえいえ!気にしてないですから」と、三叉は明るく良く通る声で答えた。

 格好は派手な半袖のTシャツに長めのスカート、乾燥には気を使っているのかクリームを塗った跡が見える手は傷跡一つなく机の上で組まれていた。

「その格好では帰る時寒そうですね、タクシーを呼びましょうか?」

「あっ、気にしないで下さい!ロッカーにモコモコのコート入れてあるんで」

「そうでしたか、では改めてお話を伺わせて頂きます」

「はい…黒神教授の件ですよね?」

「ええ、貴方は事件が起きた時も大学に?」

「はい」

「午後三時から三時半までの間は何処にいました?」

「その時間なら三階の資料室にいました」

「それを証明することは可能ですか?」

「いえ…一人だったので無理だと思います」

「そうですか、ところで黒神さんは午後三時に研究室で誰かと会う約束があったようなのですが心当たりはありますか?」

「黒神教授がですか!?あの人は『土日は休む為にある』とか言ってたのでそもそも土曜日に誰かと会うっていうのが信じられないなぁ」

「成程、ところで少し聞きにくいことなのですが貴方が黒神教授にその…」

「セクハラされてましたか?」

 何とか遠回しに伝えようとしている綾川の努力も露知らず、江久が正面切って突撃したのを見て、綾川は自分の顔をピシャリと叩いた。

「そ…そうですね、されてました」

 どうやら杞憂だったらしい、気を取り直した綾川は、「誰かに相談等はしなかったんですか?」と、聞いてみた。

 三叉はテーブルをコツコツと指で叩きながら、「そりゃあしましたよ!」と叫んでカフェテリアに残っていた学生の視線を独り占めにした。

 三叉はごめんなさい、と小声で謝った後、「するにはしたんですけど、『証拠がないと動けない』って言われちゃって…黒神教授はそういったことの記録は全く残さなかったんです、私以外にもセクハラだのパワハラだのされてる人はいたんですけど…記録が残ってないから相手にされなかったみたいですね」

ー現行犯じゃないと抑えられないとか言い出したらいよいよ俺と同じだなーと、綾川は頭が痛くなった。

「でもっ!」と、三叉は机をバンと叩いて立ち上がった。

「だからといって殺したりはしません!そんなつまらないことで人生を棒に振ったりなんかしませんっ!」

「分かりました、ですからどうか落ち着いて」

「あっ…ごめんなさい」

 江久に宥められて、三叉は椅子に座った。

「話題を変えましょうか、何でも構いませんから何か気になることはありませんか?」

「気になること…ですか?」

「ええ、事件と関係あるかどうかは我々が判断しますから」

 三叉はしばらく腕を組んでいたが、「そういえば…」と、歯に何かが詰まった時のような表情をしながら話し始めた。

「事件に関係あるか分からないけどいいですか?」

「構いませんよ」

「私、今日電話する用事があったんですよ、そしたら変なことがあって…」

「失礼、電話の相手は誰でしょうか?」

「同じゼミの稲垣君です」

「ほう、彼ですか…因みに電話を掛け始めたのはいつ頃のことでしょう?」

「えっと…午後二時四十五分からですね、それで電話してたら何か変な音が…」

「変な音というと?」

「何で言うんでしょう…何かが破裂するような音が何回もして…それで稲垣君に『どうしたの?』って聞いたら何だか彼が急に慌て始めて電話切られちゃいました」

「その音がした時間は分かりますか?」

「電話を掛け始めて五分位経った時でした」

 江久は眼を閉じて指をグルグルと回していたが、ピタッと止めて立ち上がった。

「大変参考になりました、感謝しますよ」

「えっ、本当ですか?」

「ええ、さて行こうか綾川」

「え?」突然、話を振られて綾川は間抜けな声を出したが、

「そ、そうですね。途中までご一緒しましょう」

 そういって三人はカフェテリアを出たが、そこで三叉が「あっ!」と叫んで

「すいません!他のゼミの子に『忘れ物したから取ってきて』って言われてたんでした!ここで失礼します!」

 そういって三叉は、来た道の途中にあった部屋までダダダッと走ると、ドアをドンドンとノックして、「失礼します!」と一声叫んで部屋に飛び込んで行った。

「さて…話は聞き終わったな。それじゃあ現場に行くか?」

「そうしようか」

 江久は眼を瞑ったまま答えた。

          9

 時刻は午後六時過ぎ、研究室の前には見張りの制服巡査が一人立っているだけである。

 江久は首をぐるりと回し「さて」と、切り出した。

「正直に言うと、私にはこの事件の解決の目処が立っているんだ」

「本当か?」

 綾川は江久に向ける眼を細くしたが、

「ただ…謎はまだ残っている。そしてそれを解く鍵は必ずこの部屋にあるんだ。綾川、私の質問には必ず答えてくれよ」

「分かってるさ」

 綾川の返事を聞いた江久は、程なくして部屋の中を歩き始めた。何かブツブツ呟きながら、テーブルの上や床、掛軸等にも眼を通している。

「芸術鑑賞してる訳じゃないよな?」と、茶化してみたが全く聞いていないらしい。そんな江久の目線は本棚で止まった。

「これは…」

「何か気付いたか?」

「何ていい加減な場所に本を置いているんだ、これでは陽に当たって本が日焼けしてしまうじゃないか!」

 綾川は前へつんのめった、しかしそんな綾川を気にすることなく、江久は死体の白線を跨いでデスクの下を覗いている。

 そして、江久は一冊の本をそこから取り上げた、革張りで大きめの弁当箱程の厚みがある本を見て綾川は「それがどうかしたか?」と、声を掛けた。

 だが江久はその本を持って本棚の空いているスペースに入れた。そしてそれを見て、ニヤリと微笑んだ。

「え、江久?」

「見てみてくれ綾川、この本はこの本棚に似つかわしくないようだよ」

「…色が微妙に違うな」

「どうやらこの拾った本は日焼けしていないようだね、となると元々は何処にあったのか…」

 江久は再び部屋の中を歩き始めたが、ドアの横にある小さな台の前で止まった。

「どうやらこの台は他の物の影になる位置にあるようだね、そして見たまえ。長いこと置かれていたからか、台にはこの本が置かれていた跡が残っている…」

 そう呟くと江久は眼を閉じた。しばらくそうした後、カッと眼を開いて、「綾川!」と叫んだ。

「ど、どうした?」

「その本に被害者の指紋は?」

「検出されてるが…」

「それ以外の痕跡…つまり【指紋を拭き取った跡や何かの欠片】は検出されてないんだな?」

「されてないが…江久、どういうことだよ!」

 耐えかねた綾川に対し、江久は歯を見せた。

「まさか…」

「あぁ、全部分かったよ」

「マジかよ…一体誰なんだ?」

「全く、君も私と同じものを見てきただろ?そして、そこから真実は導き出せるんだ。【黒神勇太朗を殺害したのは誰か?】そして、そいつが犯した【二つのミス】にね」

      《読者への挑戦状》

 全ての手掛かりは公開され、どうやら江久学二郎は真実に辿り着いたようだ。

 ここまでこの作品を読んで下さった皆様には厚くお礼を申し上げると同時に二つの問いを掲示させて頂こう。


Q1 黒神勇太朗を殺害したのは誰か?

Q2 江久の指摘した【二つのミス】とは何か?


 物語は《解決編》へと突入するが、推理力に自信のある方も、そうでない方も、この問いに是非挑戦してみてから続きを見て頂きたい。

 その回答がどのようなものにせよ、この作品に対して真面目に向き合ってくれる。その皆様の熱意こそ、作者にとって限りない喜びであるからだ。

                ジンハン

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