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『歴史戦と思想戦ー歴史問題の読み解き方』を読んでみて【2】

「自虐史観」「侵略ではなく解放だった」と主張する出版物が多くなってきた実感はありますか?
著者は最近これらの本が増えたと指摘しますが、著書内に出てきた百田尚樹さんの著書を私は昨年読んだばかりなのでびっくりしました。
確かに山崎雅弘さんのご指摘は正しかった。
改めて本を読み直し、感じた次第です。

「事実と論理」の2つの角度から検証する。
この本では一貫して、実例の検証を繰り返します。
歴史好きにはたまらない内容で、かつ批判が実践的で内容も濃い。
歴史学科の低学年向け教材にしてもいいのでは?と思う内容でした。

著者は歴史に関して、
「自国で過去に起きた出来事や、かつて自国が他国で行ったことを、批判的あるいは反省的に分析・検証し、それが起きた原因や構造を解明する。それが自国民や他国民に対して否定的な結果をもたらしたのであれば、再発防止の方策を考え、同じような出来事を将来に再び繰り返さないための糧にする。」と述べています。

そして、歴史戦とは、「自国中心の戦闘的な態度で過去の歴史と向き合うこと」で、簡単に言えば、反日批判を不当な攻撃と捉え、歴史を武器に戦いを受けて立つことと述べています。著者は、昨今の日本で歴史戦を扱った本が増えたことを紹介し、歴史戦で使われるトリックを指摘します。
また、著者は本の中で歴史戦を論ずる者が利用するトリックの実例を提示し、事実やその表現の矛盾などで批判的に検証しています。

慰安婦問題、南京事件、大東亜戦争肯定論など、現在でもその歴史認識を巡って議論がなされている過去の出来事に関して、「事実に基づいた客観的かつ批判的な姿勢」をこの本を通じて学ぶことができると思います。

次回は「自虐史観」について書きたいと思います。
私は日本の、自虐史観に基づく歴史教育に嫌悪感は抱いています。
日本が世界に与えた良い影響を日本の子供たちはもっと知るべきで、自国への愛や誇りをもっと持てるような教育をするべきだと考えています。
ただ、歴史を学ぶ者としては、「負の歴史」を教えない一面的な愛国教育は行われてはならないとも考えています。
自国の負の歴史に向き合えない国は、同じ過ちを繰り返します。
自虐史観に私たちはどのように向き合うべきか、考えてみたいと思います。


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