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乳がんアラ還 底から見上げる

初回抗がん剤と分子標的薬投与。
その後2日ほどは、何の音さたもなかったけれど、3日目あたりから、書いてある副作用がどんどん出てきて、正直、へこんだ。
見えない何に対して戦おうとしているのか、そのことに意味があるのか、自問。自分ではわかっているのに。

どんどんとゆっくりと、息を止めて水の底に沈んでいく。両手のひらで水の底を探っている。底はまだか、まだ、底ではないのか、ともがく。
もう結構ですと主治医に伝えようと心に決める。
副作用は、吐き気でもしびれでもなく、全身の痛み。

翌日を主治医の外来日に迎えた6日目に手のひらが底に着いた気がした。背中も痛い。関節も痛い。腰も痛い。でも、底ではない。薄紙を剥ぐというのはまさにこういうことか。

早めに帰ってきてくれたオットに、初めて弱音を吐く。
オットは言葉を選びながらも期待通り、頓珍漢な解釈で私を勇気づける。私が言って欲しかったのはそんな言葉じゃないんだが、ひっくるめて、まあ、いいや、と思える。

胃に穴が開く前に、キリキリ痛む心窩部に薬をもらおう。筋肉痛に鎮痛剤ももらおう。やばい、鼻出血もしてきたぞ。

明日は、主治医に私の苦手な弱音を吐こう。

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