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蛙化現象の考察 〜お会計〜

Z世代流行語ランキング1位の座に輝いた「蛙化現象」という言葉。

その辞書的な意味は、「好きな人に好きって言われると途端に気持ち悪く思えること」である。

転じて、好きな人に対して「気持ち悪っ」「ダサっ」「見てられない」と生理的な拒否反応が起こる現象全般も蛙化現象と呼ばれるようになっている。

前回は、「彼氏がフードコートでお盆に水を乗せて持ってくる姿を見ると蛙化する」について考察してみた。(↓こちら)

YouTuber/インフルエンサーのヒヨごんちゃんは、動画の中で「蛙化してしまうから男の人がお会計するところを見られない」という話題に触れていた。

めちゃくちゃ分かる!!!
と思ったし、コメント欄にも共感の声が多数寄せられていた。

実際、好きな男とご飯屋さんに入ってお会計をするタイミングで気まずい空気を感じたことがある方は多いのではないだろうか。

今回はそのもやもやを言語化する試みとして、「お会計で蛙化してしまう」ことについて考察していきたい。

お会計というイベント

お会計の時に女が財布を見せて「わたしも出すよ〜!」と言ってみせることは、礼儀と言ってもいいくらいに浸透している文化だ。

「わたしも出すよ」
「いいよいいよ」
「え、ほんとに出すって」
「全然、気にしないで」
「いいの…?」
「もちろん!」
「ありがとう!」

女にとってお会計は、“男が支払いたいと言うのなら、男を立てるために早めに引き下がる”というイベントなのである。

彼氏がお会計をしている姿を見ると、この分かりきった茶番をしたことによる恥ずかしさが改めて感じられ、鳥肌が立つような思いがするのではないだろうか。

客観視するから

お会計をする彼氏を待つということは、店員さんと会話をする彼氏の姿を見るということだ。

つまり、2人きりの世界観の中にいた彼氏が自分の主観から一旦離れ、客観的な視点で彼氏を眺める時間が発生するのである。

自分の主観においては愛しい存在だったとしても、客観で見るとそうでもないということは十分に起こり得ることだろう。

そこで彼氏に対して、
「こんな表情する人だったっけ?」
「こんな喋り方だったっけ?」

という違和感を覚え始めてしまうのだ。

そのような状況においても、女はお会計の後の「ありがとう!」「ごちそうさまでした」「おいしかった〜」を適切なテンションで伝えるために気持ちを整えておかなければならない。

心から感謝したい気持ちと客観視したことによる違和感が混ざり、好きな気持ちに混乱が生じていくのかもしれない。

お支払いの時

いよいよお支払いの瞬間。

すでに蛙化現象の伏線は張られまくっている。

ここまで来ると、電子マネーの種類ひとつや、ポイントを貯めているかどうか、クーポンを使っているかどうかという細かいことが引き金となって、どの道を選んでもゴールは蛙化と決まっているのかもしれない。

「ごちそうさまでした」と誇らしげに店員さんに挨拶をする彼氏が主役で、それに続いて「美味しかったです」とヘラヘラ笑う女の方は脇役のように感じることすらある。

なんでわたしはこの男を立てることにこんなに必死になっているんだろう?

えっと、なんでこの男が好きなんだっけ…?

お会計における蛙化現象はこのような段階を経て起こっているのではないだろうか。

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