幼馴染と闇

ひさしぶりに帰った実家で幼馴染と再会した。
両親が亡くなって空っぽになった家は、記憶の中の家より一回り小さいミニチュアのように見える。
子ども部屋のドアを開ける。日が暮れかけていて、部屋は暗い。光が届かない部屋の隅に幼馴染たちがいた。針金で作った人形みたいな姿でぎくしゃくとこちらに歩いてくる。昔遊んでいたころの面影はまったくない。鳴き声のような音をたてているけど、なにを言っているのかわからない。
布団の中、電気を点けてない部屋や廊下の隅の暗闇の中でしか会えなかったけど、友達のいない子どもだった僕にとっては唯一の遊び友達だった。そのころは言葉も通じていたし、もっと生き生きとしていて羽根のない妖精のようだった。
彼らがこんな姿になってしまったのは、過ぎた時間のせいか、この家が変わってしまったのか、あるいは僕が変わってしまったせいか。


ろきせの今日のお題は「幼馴染」「闇」
https://shindanmaker.com/981568

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?