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書店パトロール30 いやぁ、本屋って、本当にいいものですね。

映画本のコーナーを見ていたら、あっ!と思わず声が出た。嘘である。声が出ることなどない。よく、泣いた、とか、声が出た、とか、嗚咽した、とか書いたり言う人がいるが、本当かどうか疑わしいものだ。恐らく、それくらい心境に影響を受けた、ということだろう。

で、私が、あっ!と声が出たのはこの復刊本を見つけたから。

これは、90年代のカルトアニメの『シリアルエクスペリメンツレイン』のシナリオ本であり、2010年に復刊された本だが、何故かこの本が3冊も平積みにされていたのだ。

『シリアルエクスペリメンツレイン』はメディアミックス作品で、アニメーションの他にもゲームソフトがあるが、内容は異なる。

このアニメーションはなかなか難解で、然し、その濃厚な世界観が好きな人には溜まらない魅力がある。電脳デカダンスとでもいうべきか。

私はゲーム版の方が好きだが、アニメーション版の方が今でも視聴しやすく、ある種受動的に観られるのでおすすめだ。

で、その後、蓮實重彦の名前が目に留まる。

私は、蓮實重彦の文章は難しいので苦手だが、対談本であること、そして装丁がオシャンティーだったため手に取り読んで見る。

前半は対談、後半は書簡のやりとりのようで、前半の対談において、文学に関してたっぷりと語り合っているわけだが、その中で、特に語られているのが大江健三郎に関してである。延々と大江健三郎に関して語り合っていて、私はこの本が欲しいなぁ、1,650円か、高いなぁ、と我慢する。

さらには、またまた蓮實重彦の本。

これは、講演をまとめたものも収録された本だが、ギ・ド・モーパッサンの『脂肪の塊』に関して、それを原作としたソ連版、アメリカ版、日本版、フランス版、中国版などを引き合いに出して、翻案に関して語っているようだ。
原作と映画、原作と映像化、あるいは舞台化などは、今丁度問題になっている案件である。国により、『脂肪の塊』という物語は描き方も変わるのだろうか。私は、この各国の『脂肪の塊』は1本たりとも観ていないので、何も言うことはできないが、然し、モーパッサンの原作は読んでいるので許してちょんまげ。

と、いうか、そんなに『脂肪の塊』の映画版はあるのか……と驚愕。
まぁ、一つの原作をもとに、特に名作であれば様々に語り直されることは普通であろう。

然し、映像化、あるいは舞台化などは、いつも作者と制作者が揉めていることも多く、空中分解していたりする。

まぁ、そもそもタレントのスケジュールからスタートする企画もあるわけで、そのような芸能事務所の力関係が働く悪しき風習もいけないのだろうし、また、仕事の問題を公に対して仄めかすこともタブーであろう。
映画と原作の関係は昔から語り尽くされてきたし、宿命のようなものだが、今回の件で今までと違った未来に繋がりそうだ。

その次に目に飛び込んできたのが押井守の本である。昨年出たばかりで、You Tubeをテーマにしたいつものやつだが、表紙はなんと梅津泰臣!
私は梅津泰臣が好きでねぇ……。そういえば前も梅津泰臣が表紙を描いていたか。

1,870円!高いなぁ。しかもそんなに厚くないし、うーん、と逡巡。押井守の本は面白いけれども、今回は見送りかな。

いつもいつも、本が買えない。まぁ、孰れ大物が出た時のための我慢だな。



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