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『サンクスギビング』を鑑賞して、今年に感謝。

年末年始、妻の実家に帰省、時間が出来たので映画納めである。

何を観ようか、『パーフェクト・デイズ』か『サンクスギビング』か、その二本が候補に上がっていたが、無論、あんまりヴィム・ヴェンダースは好きではないのと、何も考えずに映画館をエンジョイしたかったので、『サンクスギビング』に決定。

まぁ、私は2007年に公開された『グラインドハウスUSAバージョン』を、22歳の頃に映画館にまで行ったので、そのフェイク予告編のうちの1本がまたモノホンの映画になったということで、楽しみにしていたのだ。
確か、あれはTOHOシネマズ難波とかで観たような……。その年には『ブレード・ランナー・ファイナルカット』も公開された年で、これは梅田ブルク7で観た記憶がある。

まぁ、『グラインドハウス』はクエンティン・タランティーノの『デス・プルーフ』とロバート・ロドリゲスの『プラネット・テラー』の二本立てにフェイク映画の予告編(実際に映画化された『マチェーテ』など)を挟み込んだ、往年のグラインドハウス仕様の再現という、まぁ、私は全然世代ではないのでわからないのだが、そういうファンキーな映画で、3時間くらいあったが、どちらも傑作で、『プラネット・テラー』も大好きだが、『デス・プルーフ』は傑作レベルの面白さで、タランティーノの映画でも4本目に好きである(それでも4本目なのねん)。

『デス・プルーフ』は2部構成。1部は喋りがメインで最後に凄まじい人体破壊スプラッター。2部は最高にハラハラするカースタントで魅せる。

ちなみに『サンクスギビング』の2007年度版の予告編はネットでも観られるが、見返すと同じシーンが多くて笑ったが、今作は紛失した昔の作品をもとにしたリブートという設定だという。

で、『サンクスギビング』だが、私はこの映画を師走の昼日中、合計3名(私とカップルが一組)という、超快適空間で観ることが出来た。私は基本的に人間が嫌いだし、映画館で人が多いのが嫌いである。一体感というものも一切求めていないため、人が少ないほうが嬉しい。

ここからはネタバレも書く。

で、この映画の監督はイーライ・ロスなわけだが、まぁ、内容としては、ブラックフライデーセールにワッフルメーカーを求めてウォルマート的なお店に集う集団たち、彼らがワッフルメーカー欲しさにギュウギュウで並んでいる中、このマートの社長の娘である主人公のジェシカとその仲間のティーンのバカどもがその特権を利用して先にマートに入り並んでいる人たちに見せびらかすもんだから、お客さん大激怒、暴動、侵入、大破壊。結果、人が数名死んでしまうとんでもない事態に……。
それから1年後、再びマートではセールをしようという動きがあって、それと同時に、ジョン・カーヴァー(実在の清教徒で、感謝祭発祥の地である舞台のプリマスに入植した人、らしい)の仮面を被った男が街に現れて……、というお話で、まぁあとは、基本的にはこのジョン・カーヴァーにより人間がミンチにされていく話である。

FUCKが挨拶の街。

基本的には1年前の悲劇をベースに、それの復讐者としてのジョン・カーヴァーの凶行という筋立てだが、誰がジョン・カーヴァーなのか……というミステリーもあり(まぁ、普通にすぐにわかる)、なかなか盛りだくさんである。

なんといっても知能指数が極限までに低いのがいい。FUCK、という言葉を私は本日何回聞いただろうか。FUCK、FUCK、FUCK、まぁ、その言葉の応酬であり、作中でも馬鹿の集団という言葉が出てくるが、まぁ今作は本当に馬鹿な映画であり、登場人物は基本的には馬鹿である。お休みの日に魂を浄化させるのに観るには最適の1本である。

ゴア描写もイーライ・ロスだけに安心のフルスロットルで、途中パレードの山車についた舟の尖った船首が顔面に突き刺さるシーンがあるのだが、すごすぎて笑ってしまった。いや、作中で何回笑ったかわからない。これはお正月の初笑いにもいいかもしれない。
然し、この承認欲求の時代、SNSの時代、作中でもいいね稼ぎのために1年前の暴動の悲劇をおもしろおかしく編集してアップしていた人物が、まさかの後頭部をハンマーで叩き潰されるシーンを撮られてバズるなんて、最高に皮肉が効いているではないか。

『悪魔のいけにえ』よろしくのパーティーシーンや、最近よく観る銃器を売ってくれる謎の売人のシーン、ラストの『13日の金曜日』の湖のシーンや『キャリー』の手など、色んな映画をゴタマゼにしていて面白い。

まぁ、知能指数が低い映画であるが、然し、クレバーかつ丁寧に作られた作品で、一切の文学性や芸術性(これは違う方面ではあるか)はないが、エンターテインメントとしての役割を全うした最高に楽しい映画である。

あまり観ることが出来なかったが、2023年ベストは色々考え直して(映画館で観たものに限る)こうなった。

1位:君たちはどう生きるか(2回鑑賞)
2位:ゴジラ-1.0
3位:キングダム/エクソダス(脱出)
4位:ザ・フラッシュ
5位:首
6位:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー.Vol.3
7位:フェイブルマンズ
8位:カードカウンター
9位:イコライザー3
10位:サンクスギビング
11位リボルバー・リリー
12位:AIR/エア
13位:スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
14位:オオカミの家/骨(合わせて)
15位:クリード/過去の逆襲
16位:アラビアンナイト/三千年の願い
17位:ある中女の肖像
18位:クライムズ・オブ・ザ・フューチャー
19位:シン・仮面ライダー

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