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変わらぬ給食への熱き愛/『劇場版 おいしい給食 Final Battle』(2020年)

連ドラにハマり、先月ついつい語ってしまった『おいしい給食』

最近、2020年公開の劇場版を鑑賞した。

(以下、映画の内容を含みます)

常節中学校の教師・甘利田と、彼が受け持つ一年生・神野ゴウ。このFinal Battleでも、二人の究極の給食愛が火花を散らしている。規則正しく給食を楽しむ甘利田に対し、「これをやっちゃったらアウトじゃないのか?」というほど攻める神野。斜め上を行く彼の給食の楽しみ方に(しかもドヤ顔)、打ちひしがれる甘利田。その敗北感たるや、連ドラ以上に激しくて笑ってしまう。市原くんが真面目に演じているから面白さが際立つのだ。

物語が動くのは、神野が一年生ながら生徒会長に立候補するあたり。その理由もまた、並々ならぬ給食愛からだ。ところが同じ頃、彼の知らないところで大事件が起きていた……。

劇場版では、甘利田と副担任・御園先生とのLOVE要素もちょっとだけ盛り込まれている。しかし映画の9割は、一人の教師と生徒が給食に愛を捧げた物語。もはや清々しい。甘利田vs神野のバトルにずっと笑い通しだったのに、終盤登場する神野渾身の演説では涙がぽろぽろと止まらなかった。

なぜこんなに泣けるのか。

やはり、私がおばさんで涙腺弱めだからに尽きるのだが……。それを差し引いても、好きなものを純粋に好きでいられる時間はけっこう貴重であることが、大人になると十分わかるからではないか。そのことだけを考えていられる幸せ、大事。大事だよ、うん。

ところで、劇中では教育委員会の鏑木役として直江喜一さんが登場する。私ぐらいの世代なら記憶に残っているはず。彼は、金八第2シリーズで話題となった「腐ったミカンの方程式」の不良生徒・加藤である。

不良といっても、あの名シーンの際にはすでに立ち直っていた加藤。転校してくる前にいた中学校へ、かつての不良仲間と学校との間に立って話し合いの場をつくるつもりで出向いたら逆に警察沙汰に。加藤はその学校の校長らを連れて立てこもり、議論の場をつくる。

結局彼は警察に連行されていくのだが、そのとき流れるのが「世情」(中島みゆき)。映像がスローモーションで流れていくこの場面は、かなり衝撃的だった。

もしかして、神野の演説はこのシーンへのオマージュなのだろうか。物語の舞台が1984年の中学校ということで、金八先生の年代にも近い。職員室の雰囲気も似ている。制作した人の話を聞いてみたいものだ。

最近知ったのだが、『おいしい給食』を手がけた綾部真弥さんは、ドラマ『ねこ物件』の監督・脚本も担当している。この先、何か担当するドラマがあるのならぜひ観たいと思う。

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