名店の味を再び口にした日。
検索履歴から、スマホにはさまざまな情報が入ってくる。先日、たまたま地元の方のブログをおすすめされて見てみると、出てきたのはおいしそうな沖縄そば。しかし、その内容に驚いた。かつてよく通っていたが、今はもう無い沖縄料理屋「ゆがふ」由来の沖縄そばだったからだ。この沖縄そばを現在メニューとして出しているのは、「ゆがふ」で料理人をしていた方の店と書いてあった。
与那国島にルーツを持つ店主・東濱さんが切り盛りしていた「ゆがふ」。東濱さんは知名定男さんと交流があり、音楽で沖縄と熊本をつなぐ野外フェス「琉球の風~島から島へ~」の仕掛け人のひとりでもあった。けれど東濱さんが亡くなり、店は惜しまれつつ閉店。それでもフェスはその後も続けられ、第10回でファイナルを迎えた。正確には9回までで、10回目は荒天のため中止となった。もうずいぶん前のことだ。
熊本には、沖縄にルーツのある人や進学のためにやってくる沖縄の若者がけっこういる。沖縄料理店も多い方だと思う。その中でも「ゆがふ」の沖縄そばは、上品でまろやか、絶品だった。
偶然目にした記事を読み、今は県外に住む友人にすぐさま連絡した。彼女とは何度も「ゆがふ」へ行き、新良幸人&下地イサムのライブが開催されたときなんて、狭い畳の間で、沖縄料理を食べながら彼らと泡盛が飲めるという最高のシチュエーションを体験した思い出もある。
「日曜日にその店へ行こう!」
とすぐに返事が来た。
上乃裏にある店は、和食をメインにした料理店だった。忘れられない沖縄そばは〆にと決めて、サラダやタラの芽の天ぷら、タコのスパイス揚げ、肉料理などをオーダー。どれも上品な味つけで、おいしかった。
「ゆがふ」の閉店後、料理人の方が独立したという噂は聞いていたが、ここだったのかとしみじみ。私にとっては、疫病流行後初めての夜の食事会だった。久しぶりの開放感。2杯目からは、もちろん泡盛をいただいていい気分である。
そして本日のメインイベント、沖縄そばの登場。
ああ、このダシの香り。
2人とも、懐かしさと愛おしさでいっぱいになった。
今も名店の味が楽しめることを知り、実際に食べてホッとした。沖縄そばはランチにも出しているようなので、また気軽に来よう。
奇しくも、この日は4月16日。あの日から7年が経ったのだ。2016年初夏に開催されるはずだった「琉球の風~島から島へ~」は延期になったが、同年秋に無事に開催された。そのときの感動を記した記事を再掲したい。自分の感情で好き勝手に書いている記事を、「読んでね!」とは普段言わないことにしているのだけど、お時間ある方にぜひ読んでもらいたい。日常って大事だよね、ほんとに。
記事を読んでくださり、ありがとうございます。世の中のすき間で生きているので、励みになります! サポートは、ドラマ&映画の感想を書くために使わせていただきます。