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私たちは戦友だったんだ/ドラマ『日曜の夜ぐらいは…』最終回

見守り続けたドラマが、最終回を迎えた。

(以下、ドラマの内容を含みます)

閉塞感に打ちのめされた初回。「彼女たちの幸せを見届けたい」。そんな気持ちになったことは、これまで数回にわたって書いてきた。

ラジオ番組のリスナー向けバスツアーで出会ったサチ、翔子、若葉だが、停滞していた人生を再起動させた大きなきっかけは高額当選。大胆な話で一瞬不安になったものの、自分がそこまで気にならなかったのはなぜなのか。物語で描かれた、大金を手にしたとて得られないものがあること、人生はままならないことがリアルだったからだ。

最終回では無事にカフェがオープンし、「よかったね、よかったね」と言いながら涙ぽろぽろ。ドラマと同じで、時折走馬灯のようにこれまでの印象的なシーンが脳内を駆け巡る。だが、開業にほっとしたのも束の間、「まだ解決していないアレとかアレとか」に不安が押し寄せる。

予想外の行動に出たサチの父・博嗣に、視聴者はたぶん全員驚愕(笑←なぜか笑い)。サチの立場なら、私は断固拒否! 尾美としのりさんが演じた博嗣はイラッとする父親だけど、最後に不思議と憎めない「お父さん」に。

だからと言って、これまでの悪行がチャラになるわけではない。「ちょっとだけいい人みたいになってるのがムカつく」とボヤくサチに同意。博嗣の行動は、邦子の喝が効いたのと、なんだかんだ言いながら田所が相手をしてきたからでもある。尾美さんのキャスティング、考えたの誰? 誰なの!? 

そして若葉とまどかの母娘直接対決。若葉は「この人とやっぱり親子なんだ」と再認識したのだろうか。単純にそんなことではない気がする。人生何周目なんだというほど普段の思考が大人の若葉。でも本当は、血の繋がりから逃れられない恐怖がつきまとっていたと思う。

友達や祖母と一緒に新たな家族をつくったことで、母親をもっと俯瞰的に捉えられるようになったのではないかと感じた。自分の“家”でもある「サンデイズ」で毒母と対峙した時間が、若葉にとってプラスになったことは間違いない。富士子の覚悟や若葉の今を知ったまどかも、少しは親離れ子離れできたと思いたい。それにしても、富士子がまどか対策(?)に用意した物騒なものが伏線回収となるなんて。みねもびっくりだよ。

すべてが解決したわけではないのが、いかにもこのドラマらしい。人生は大半が思いどおりにいかない。自転車を漕ぎながら、いつものようにファミレスのバイトへ行くサチ。みねや翔子も、自分の仕事を続けながらのカフェ営業だ。堅実に自分の居場所を守る彼女たち。これからの未来を想像しながら7人抜きしていくサチは、健やかで明るかった。心を無にしていた頃とは違うのだ。

エンディングにサチが私(たち)に語りかけてきたことばを、今日も心の中で繰り返している。


主人公たちが悩みながら友情を育み、新しい家族になる姿は、ここ数年疲労困憊の私の救い(大げさ!)でもあった。

日曜の深夜もオープンしている、サンデイズ。
本当にあったらいいのに、サンデイズ。
快復したら猫田さんも行けるといいな、サンデイズ。

翔子の願いが叶いますように。
邦子のカレーも富士子のファッションもずっと楽しめますように。
みんなの幸せが、ずっと続きますように。

ままならぬ日々を生きるために、今日も誰かがアイスを買いに行くだろう。私も同じだ。まだやれる、まだがんばれると自分を鼓舞しながらアイスを食べる戦友が、世の中にたくさんいると思うと心強い。

こんなことをネガティブな人間が書くものではないけれど、私たちは戦友だ。

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