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雨天炎天-ギリシャ・トルコ辺境紀行- 村上春樹


ゴールデンウイーク辺りから読み進めていた「雨天炎天-ギリシャ・トルコ辺境紀行-」著:村上春樹 を(やっと)読み終わりました!

まず最初に申し上げますが私は村上春樹が好きです。
青春三部作はもちろん読んでいますし、村上レシピとかも作ってみたり
私の初恋のきっかけは「ノルウェイの森」ですし、大大大好きな藤原啓治さんがおすすめしてくれたのは「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」など思い入れもある作家さんです。

けれども「村上春樹」というパーソナルな部分には触れずに今日まで生きてきました。
ラジオなどをやっていらっしゃるのは存じていたのですが。
なので今回の紀行で初めて彼自身に触れたのですが・・・

面倒くさい人だなぁ!おい!

と思わず声が出てしまいました。

宇佐美圭司さんの「廃墟巡礼」は宇佐美さんの心象スケッチを覗かせてもらっているような、彼の眼球や彼の思考と溶け合って一緒に旅をしているような感覚になりました。
オードリー若林正恭さんの「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」は旅行から戻ってきた若林さんにお土産をもらいながら、お酒を飲みながら思い出を聞かせてもらっているような。まるで気安い友達の話を聞くようにページをめくっていましたが。

村上春樹さんは神経質なおじさん(概念)が終始ぼやき・小言を呟きながらウンチクを披露してくれているような感覚でした。
これだけ聞くと悪口のようですが、それがまた面白いのですよ。
心の中でずーっとツッコミ続けるので軽快にページが進んでいきます。

そして旅なので色々事件が起こるのですが、その度村上氏が水にあたってお腹を壊したり、まんまと絨毯を買わされたりする姿がなんとも痛快に映るのです。

こんなに笑えてしまうのは、私も村上氏と似ているところがあるからなのです。

ここまで散々なことを書き連ねておりますがギリシャ編「さよならリアル・ワールド」を読んでいる時は、村上作品の主人公になったような、街並みの色や乾いた風、雑踏に包まれ本当にその場所にトリップしたかのようで一瞬で引き込まれました。

ギリシャ正教の地「アトス」での旅も非常に面白く、読んでみて「私は絶対に行かない」と心に誓うくらい村上一行の苦難の旅路が胸に迫ってきました。

宗教・歴史・文化・芸術がぎゅっと煮詰まったような一冊であり、私の興味が集約されている一冊でもありました。

初版は平成3年、32年前で私は2歳。
この本に書かれている歴史や体験に、令和5年の今ハッとさせられました。
恥ずかしながら自分の世界を生きてきてしまったので、私は学が無いです。
ですので最近ニュースやSNSで取り上げられているクルド人についても「外国の人だなぁ~」くらいの認識だったのですが
彼らの歴史にこの本で初めて触れて、その知識が「今」私の生活に活きている。
この不思議なタイムトラベルが本の面白さでもあります。

どの本も出合うべきタイミングで出会うと私は思っています。
「もっと早くこの本や言葉に出会っていたら」と思いますが、勧められたり課題として読んだとしてその時は何も響かないんです。
けれど来るべき時に読むと不思議なくらい胸に落ちて受け止められる。

だから私は本が好きですし、本との縁を大切にしています。

トルコには機会があったらまた行きたいと思っているくらい面白かったですし、市川ラクさんの著書がとても面白くてもっと生活に触れるような部分を見て回りたいと願っているくらい。

村上春樹氏がけちょんけちょんに言ったイスタンブールをもっとちゃんと見たいし、読んでいるとチャイ飲みたくなってきますし、トルコのアップルティーが恋しくなってきます・・・・
(あれどこで買えるの?トルコのアップルティー・・・)

私も次、地方遠征があったら「紀行」として書いてみようかなぁ・・・
きっと村上氏に負けず劣らずの面倒くささを発揮することでしょう。笑


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