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チャドの内戦に派遣されたフランス軍将校から戦場ジャーナリストへの転身

この小説のイントロは、チャドの内戦に介入したフランス軍がリビア空軍のミグに爆撃されるシーンから始まる。まだ当時は、カダフィ大佐が健在で、チャド北部のウラニウム鉱脈に触手を伸ばしているところであった。

結局、チャド派遣のフランス軍は損害を受け、主人公のフランス軍将校の同僚たちが何人か戦死することになる。その将校、クロードはいい加減な政治的解決を図る政治に失望し、軍を去って、軍事関係の雑誌で仕事をすることになった。軍事関係雑誌の老舗は、アメリカのSoldier of Fortuneが何と言っても有名である。

そこでクロードは、チャドの内戦の記事を書き、記者としてデビュー。その後、引き受けた仕事はフランソワ・ミッテランを暗殺しようとした男が、アフガニスタンへ逃げたという怪しげなネタだった。
そのあたりをきちんと書かなければいけないので、参考にしたのはSoldier of Fortuneの記事とか、東郷隆の「戦場はぼくらのおもちゃ箱」という本であった。

あとは、英国バーソロミュー社の紙の地図である。なにせ、この小説を書いていたのは1970~80年代。インターネットもグーグルマップも、なーーーんにも存在しない時代だったのだから。とにかく紙の地図の町の名前や山や川の名前をいろいろ調べながらそれらしいスタイルで書いていったのであります。
中近東のカラカラに乾いた国とか地域には、以前インドの北部、ガンジス川流域に取材でいったことがあったので、なんとか雰囲気はつかめておりました。現地の貧しい人々、たくましい人々、ヤバい人々、他人を信用しない人々、などの感覚は似通っているように思ったのであります。
しかし、こういったミリタリー系の小説を書くには、私には致命的と言っていい、全く欠乏しているところがあったのです。

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