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世界のあらゆるレンズ資産が駆使できるフルサイズ機の企画書

今は昔の物語です。2000年から2010年はデジタルカメラが日進月歩していた時代でした。まだセンサーの大型化が不可能だった時代です。フルサイズ機など夢のまた夢だったのです。
あの頃、欲しかったデジカメがありました。エプソンのRD-1というレンジファインダー機です。しかしセンサーはまだまだ小さくて、フィルム機のレンズをはめると焦点距離が長くなってしまう欠点があったのです。


そんな時、なぜか私は新しいデジカメの企画書を書いてみようと思い立ちました。
企画書は、若い頃からいろいろと書きまくっていました。番組企画書、出版企画書、イベント企画書、翻訳企画書などなど、これが出来たら素晴らしいです!凄いです!という文脈で書きまくっていました。おかげさまで個人的にも、出版や翻訳では実現した作品もあるのですが・・・・。
そんな時、いままで書いてきた企画書のノリで、デジカメの企画書を書いてみようと、ある日突然、勃然と思い立ちます。そのきっかけは安原1式というレンジファインダーのフィルムカメラです。企画からスタートし、中国のメーカーに作らせた幻のカメラです。好きな人は知っているし、知らない人は知らないカメラです。

それなら、と考えたネーミングは「OPUS-1」。オープス・ワンと読みます。Opusはラテン語で、「作品」の意味。「作品1号」という感じです。
その目的は、世界中の35mmカメラ用のレンズを全て使えるデジカメを目指しました。
シンプルな箱型のボディ。背面にはモニター。レンズマウントはM42のスクリューマウントを考えていました。そしてセンサーはシグマのFOVEONです。露出は絞り優先自動とマニュアルのみ。それで新品価格を10万円以下、としたのです。
文字の企画書に、鉛筆の手書きスケッチを添えて、当時デジカメを作っていた日本のあらゆるメーカーに郵送したのです。もちろんこれが実現するなんて夢にも思っていません。でも実現したら絶対に楽しくなる夢でした。
簡単にデザイン画を描いてみましたが、なんのそっけもないデザインです。出来るだけ余計な機能を入れないのですから。

最近、やっとフルサイズのセンサー価格が下がってきたのでしょう。デジカメ各社はフルサイズ戦争ともいうべき戦いを繰り広げています。でも高いんですね、新品は。日本製品はいいのだけれどハイスペックすぎて、ゴタゴタゴタゴタといろんな機能をくっつけて、どんどんどんどん価格が上昇してしまう。たぶんデジカメ機能を100%使う人なんかいません。今必要なのはもっとスペックダウンしたフルサイズ機だと思うわけです。でも高価格にしないとメーカーとしての利益は上がりません。資本主義の矛盾ですねー。
そういう観点でもう一度、かつてきちんと企画書を書いてみた「Opus-1」を思い出しました。デラックスではないスタンダード。スーパースタンダードのデジタルカメラ。デジコ・ノン・デラックスとギャグめいて名前を付けてもいいかもしれません。
スペックはシンプルな箱型のボディ。背面にはモニター。レンズマウントは出来るだけフランジバックの短い既成のマウント。各社のレンズと対応するマウントアダプターはサードパーティから色々と出てくるでしょう。そしてセンサーの大きさはフルサイズ(FOVEONを希望ですが、コストアップの要因ですね)。露出は絞り優先自動とマニュアルのみ。画面は、縦横比3:2、4:3、16:9、1:1とします。画像サイズは3段階、JpegとRawが使えるようにして、ピクチャーエフェクトも、コストアップしない程度に入れます。それで新品価格を10万円以下。しばらくすると中古価格で6万円前後に落ち着くでしょう。そうとなれば、きちんと売れるデジカメのボディとなるでしょう。
敢えてスペックダウンして、価格を抑え、敢えて専用のレンズは作らないのです。
個人的な感想を言うならば、カメラメーカーの都合で、いろいろと登場するレンズマウントや、相互のレンズの互換性のなさに、飽き飽きしています。ですから私のフィルムカメラとレンズは、L39とM42のスクリューマウントのものに限定している、ということを言い添えておきたいと思います。


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