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つめたいかぜ きれいなかぜ


つめたいかぜ

きれいなかぜ

温度すらもたない きれいなかぜ


肌から温度をさらってゆく

刺すようにさらってゆく


こころのよどみもさらってゆく

世の中のよごれもさらってゆく

昨日をもう さらっていった

よどみとよごれをさらって とおい空へ



つめたいかぜ きれいなかぜ

時間をはこんでくれないか

きれいな時間をはこんでくれないか


季節を連れてくれないか

きれいな季節を連れてくれないか



つめたいかぜ きれいなかぜ

彼の怒りをさましてくれないか

あのコの傷をいやしてくれないか

きれいなかぜが肌さして ボクに寒さつたえるよに

温度すらもたないきれいなかぜで




つめたいかぜ きれいなかぜ

薫りをはこんでくれないか

きれいな薫りをはこんでくれないか


つめたいかぜ きれいなかぜ

きれいな音も連れてくれないか


つめたいかぜ きれいなかぜ

灼熱に蜃気楼みせるよに きれいなすがた見せてくれないか


じっと目をこらすより こころおだやかなら見えますか


汚れ含んだ摩擦で上がる温度より
きれいというあたたかさがあってよい

きれいというぬくもりがあってもよい


つめたいかぜ きれいなかぜ

きれいというぬくもりが肌を刺している



冬に ぎゅっ とあがる音はきっと穢れが放れる音

すすむ暦はきれいなほうへ きれいなほうへと 




つめたいかぜ / きれいなかぜ






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