スキップよろしく足どり軽やかな少年とすれ違う

応援しているチームが勝ったからであろう

寝付きまで表情ほころび 幸せな目覚めであっただろう

昨日はナイスゲームだった

野球帽のチームエンブレムが誇らしく朝の陽射しに揺れる

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OLさんのお洒落の差し色は ご贔屓球団カラーだ

そのことを知る者は多い

調子よい時期は多めに差し 、芳しくないときは控えめに差される

指の数の負けが続こうとも ささやかに少しだけ 色は毎日必ず差される

化粧のノリと やきうとの因果関係は同僚たちに微笑ましく語られる

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女の子の応援しているプレイヤーは想う男子と同じ下の名を持つ

同じ名を持つプレイヤーだから応援されている というのが正しいところだ

想う男子に対しては教室で苗字に くん付け する

テレビ画面に向かっては 打てや走れや 、スゴイ 、大好きと 同じ下の名を我がもののよう呼び捨て連呼する

好きな人の下の名を大声で叫べるのは やきう好きの特権の一つなのだ

次に活躍したら、試合後インタビューでアップ映りしたら、翌日の告白をと誓うも早5年その約束は棚上げされたままである

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勝った日には 高い方のビールで祝杯をあげる

コンビニエンスの右から2番目のいつもの扉ではなく、その隣の3番目の扉から気の利いた銘柄を選ぶ

つまみも グラム単価100円など気にかけず ゲーム展開相応のものを仕入れる

回り回ってお気に入り選手の年俸に反映されてくれないか など筋違いに願うのも愛嬌だ

5才で やきうに高じ50年間贔屓球団は変わらないという羨ましい男も多い

自分はと言えば、残念ながら一途と胸を張れないところが悩ましいのである

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初球はストレートが好みだ

一塁から見て時計回りに極上のスピンの利いたストレートから始まるゲームが好みだ

そして それは 見逃してもらえるとありがたい
僅か一球では、勝ちとり辿りついた打席が名残惜しいよう見送るのが好みだ

フルスイング 変化球 四球 球数 走者 併殺 アウトカウント 継投 、観客の数だけ、ファンの数だけ やきうがある

２年前から変化した自宅仕事

恩恵のひとつは一球もらさず観戦できるテレビ中継が増えたことだ

直径7センチの白球が

ワンプレーのちの数秒後

どこにいくのか

どこにあるのか

推理と思い込みと願いと呆れが入り混じりワンプレーに釘付けになる

この打席はキミだけの打席ではない

最高のピッチングでゼロを並べるエースに応えるのだ

失投を打ち損じ戦犯扱いされかねない四番の無念を晴らすのだ

前打席でバットが止まらなかった外のフォークには手を出すな

この一球はあなただけの一球ではない

速球王から苦心のすえ もぎり取った虎の子の一点を守りぬいてくれ

名手らしからぬプレーで出塁を許した走者の生還を防いでくれ

守護神と崇めたてられる彼へ 点差 保ったままつないでくれ

この一球は あなただけの一球ではない
しかし この一球は きみだけの一球だ

やきう には こんな矛盾が許されてほしい


3時間もすれば白か黒か もしくは半月か いずれかの記録が記され記憶として残るだろう

50年も やきうに惹かれればマウンドに上がるまでの背景は それなりに想像できるものだ

打席に立つために競い、振り落とした数十名の同志がいることも知っている
今もベンチに腰を掛けているだろう

グラウンドから見上げる観客席への視界は さぞ素晴らしいものであろう
 

ストライクヒッティング

ひとことでいえば そういうことをお願いしたいのである

しろほしにうかれ くろほしにうなだれ / やきう の みかた