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脱・新自由主義宣言第五話 税は財源ではない理由

税は国の財源ではないといきなり言っても「何いってんだ」と言われるのは間違いないですが、現在の自国通貨建てかつ変動相場制を採用する主権国家においては、税は財源ではありません。それについて説明していきたいと思います。

まず、先日我が国の2021年度の一般会計予算案が衆参通過し、過去最大規模106兆円の予算が決定しました。この予算というものは、税収などの財源があった上で発行されているのかとお思いでしょう。しかし、この予算に対し税金が形式上「歳入」という名目で戻ってくるのは、翌年のみなさんの確定申告後。税収がなかったら政府支出ができないというのであれば、予算は税収の中から決めるべきですよね。しかし現実はそういう動きをしていないことが、税が財源ではないことをまずは物語っています。


さて、それでも税収は翌年戻ってきているじゃないかと思われるでしょうが、別に戻っているわけでもなんでもありません。元々現在のお金というものは負債の記録、データでしかないわけで、税金というのは国民にとって、ただの政府に課された負債です。ですので、国民が税を納めると、税という負債が消えて無くなります。ただ、一般論ではお金=お札ということでまかり通っており、なんとなく私達が納めた税を政府が預かり、財政出動や補助金等の財源にしていると思われているだけです。「我々の血税が・・・」という間違った主張が叫ばれる原因はそこにあります。そもそも現金、キャッシュというのはそれそのものに価値はなく、ただ貨幣というデータを持ち運べるフロッピーディスクのようなもの。1000円札は1000円分のデータの入ったフロッピー、10000円も一緒です。フロッピーディスクを知らない若者達は、是非ググってみてください笑


それではなぜ税金というものが必要なのか。その理由は3つあります。まず、財務省が持つ徴税権というのは場合によっては身柄を拘束出来るほどの最高権力を持つ権限です。そして我々は日本にいる限り常に政府からの徴税要求に応えなければなりません。その要求に答えるには、日本であれば円を持つ必要があり、それが我が国に置いて円が流通する裏付けとなっています。ドルやユーロ、ビットコインをいくら持っていても、納税するには円を持たなくてはいけません。要は税が通貨流通の裏付けとなるという、こういった考え方を「租税貨幣論」と言います。


第二の理由は、税は貧富の差の開きやインフレを抑えるためのものということ。税が財源ではないのなら、税なんて必要ないではないかと思う人もいるかも知れませんが、税金がなければ貧富の差の開きを抑制出来ません。累進課税制度と言う言葉はご存知だと思いますが、たくさん儲けた人には多めの負債を、小さく稼いでいる人には少しの負債をかけることで、貧富の差を是正しています。ただこれに関しては今現在、しっかり機能しているとは言い難く、貧富の差は長期のデフレーションの中で広がり続けています。これは別の機会に解説します。また、民間に出回るお金が増えすぎた時に物の値段が上がってしまうインフレーションになった際、税という国民の負債を増やすことで多すぎるお金を民間から消滅させ、インフレーションを抑制することが出来ます。(デフレーションなのに消費増税がいかに間違っているかということです。)前安倍首相は「国民から吸い上げた税金が・・。」というような恐ろしい表現を用いており、いかにも税金は吸い上げられて政府に戻るようなイメージで話しておられましたが、実際にはバケツに注がれた水(民間のお金)をはき出す(徴税)ことをイメージしていただければ分かりやすいかと思います。ということで税には、民間のお金の量をコントロールする機能があります。


最後に、税は国民の行動を抑制する機能を備えています。例えばタバコ、お酒などの身体に害があると言われるもの、ガソリンのように環境に優しくないものに大きな税をかけ、国民の行き過ぎた行動を抑止する働きです。


以上、上記のように税それ自体は大きな意味を持っており、使い方によっては非常に有効な経済対策となり得るでしょう。しかし先程も述べたよう、2019年の消費増税のように、デフレ期にインフレ対策を、しかも逆進性のある消費税のような弱者泣かせの税金を上げてしまうというのは、いかに政府の財政政策が間違っているか、いかに政府が財務省の言いなりになっているかということを表している良い例かと思います。それに関しては麻生太郎財務大臣本人が2007年から主張しており、つい先日も国会でそう答弁しておられました。14年経って財務大臣になっても変えられないほど、財務省の力は強いのでしょうか。。。


ということで今回は税が予算の財源ではない理由を書かせていただきました。ポイントは、政府は歳入がなくても歳出可能だという点。そして景気のバランスは政府の歳入出の比率(プライマリーバランス)ではなく、物価上昇率で判断するべきであり、物価や皆さんの給与が上がらない時に、政府の歳入出を合わせるためだけの消費増税などは、さらなる景気悪化を招くだけだということ。特に消費税に関しては前述のように逆進性が指摘されており、税率固定だから平等という意見もあれば、全く累進課税的な性格を持たないのではないかという意見もあります。また世界で見ると日本の消費税率は低いと増税派学者達は言いますが、5%のころからこのような意見もあります。いつか消費税について書かせていただきたいと思います。


おまけ
消費税には10%に増税時に話題になった軽減税率がありますね。コンビニフードのイートインかテイクアウトかで話題になりましたが、世界には日本では考えられないような面白い軽減税率制度があります。税率には国の性格のようなものが表れているような気もします。ぜひ皆様も色々と調べてみてください。

KAZUMA


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