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私の笑顔

ある夜、古びたビルの一室にある小さな事務所で、若い弁護士のエミリーが残業をしていました。
窓の外は暗闇に包まれ、廊下からは時折不気味な音が聞こえてきます。

エミリーはふと、事務所の一角に置かれた古びた鏡に目をやりました。
その鏡は何か、不気味な雰囲気を漂わせていました。

(なんか怖い……)

エミリーはそう思いました。

夜が更けるにつれ、エミリーは鏡に映ることが怖くなってきました。
けど……なぜか気になります。

怖いけど、何か違和感を感じるけど、彼女は何度も鏡を見つめました。

突然。
鏡の中に映る自分が、微笑みかけるのを見て、エミリーは息をのみました。

自分は微笑んでいないのに、鏡の中の自分が笑顔を浮かべているのです。

「きゃー!」

エミリーは必死に叫びました。
鏡の中の自分が笑っている。
それは、今まで見たどんなことよりも怖いものでした。

恐怖のあまり、エミリーは事務所を飛び出しました。
そして、警察署に駆け込むと、必死に説明したのです。

「鏡に私の笑顔が映ったんです! にこーって。それはもう! 満面の笑みでした。こっちを見て、にこーってしたんですよ、にこーって。もう、怖くて怖くて……。あんな怖い笑顔見たことがありません! どんなホラー映画よりも怖かった……。だって、笑ったんですよ! 私が! にこーって!」

〈了〉

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