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2022/01/30 「ドライブ・マイ・カー」を観て笑ってしまったという日記

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話題にもなっているみたいだし、再上映が行われているので今度のデートで観てみようと約束していた「ドライブ・マイ・カー」を観に行った。

村上春樹原作。西島秀俊主演。カンヌ国際映画祭で脚本賞をはじめ複数の受賞をし、その他の映画賞でも日本映画で初の受賞。アメリカの雑誌や新聞でも高い評価をされているみたいです。

私は村上春樹はぶっちゃけ中学の国語の授業の時に教科書で出てきた「夜中の汽笛について~」の数ページしか読んだことないし、映画もスティーブン・ユンが出ているようだから、とミーハーな理由で「バーニング」を観たくらい。彼氏は読書家なので村上春樹作品もたくさん読んでいるみたいです。

数ページだけ読んだときのうっすら記憶に残っている所感とネットで得ただけの偏見で「村上春樹ぽい独特な言い回しに、セックスとかがめっちゃ出てきてくる映画なんかなー」と、思っていた。


上映時間は179分。めっっっっっちゃ長いな。私は普段ホラーでスリルでサイコな思考ゼロでも自分の感覚にビクビク反応しやすい映画を観ることの方が多いからなあ、「ドライブ・マイ・カー」はおそらく車で走って結局人間、人それぞれ人生があるよねーみたいな深イイ系センス映画だろう(思考ゼロ)、起承転結ほぼ一定でツーーーーみたいのは寝るんだが、でもま、カンヌ獲った「パラサイト」は超面白かったし大丈夫かな、名だたる賞をたくさん獲ってる「ノマドランド」は寝ちゃったけどサ。

映画当日。地元の映画館で11時45分からの回。

席はネットで買えるようになったその日のうちに、最後列ドセンター、眺めも良ければ足も伸ばせる、誰かの視界に入って邪魔になることのない一番最高の席を確保していた。
他のスクリーンよりやや小さめで、席の埋まり具合は6割くらいかな。私たち以外は中年くらいの人たちが多かった。

「ゴーストバスターズ」、主人公ストレンジャーシングスの子だ。バカリズム脚本の映画面白そうー、「ウエストサイドストーリー」絶対観たいなーと予告を眺めてほどなくして、「ドライブ・マイ・カー」が始まった。

※以下カスみたいなあらすじネタバレ一部あり※

物語冒頭、西島隆弘と霧島れいかが裸でベッドに座ったり横たわったりして霧島れいかが淡々と語ってた。

女子高生はヤマガがたまらなく好きだった。
ヤマガの家に人がいない時間に度々空き巣に入った。
ヤマガの部屋からは母親の教育が感じられた。
空き巣に入るたびに彼の無くなっても困らないものを盗み、その代わり自分のしるしを置いて帰る。
タンポンとか。今まで履いてたパンティーとか。
それを見たヤマガの母親はどう思うんだろうか。

的なこと。

「村上春樹ぽい独特な言い回し」 「セックスとかめっちゃ出てくるんかな」
抱いてた偏見通りの、独特語り口調事後全裸スタートである。

ついでにこれは私が勝手にツボってしまったので完全に私が悪いんだけど、女子高生が好きな男の名前「ヤマガ」が脳内にひっかかり、誰かが「ヤマガ」と言うたびに、私の頭の中の千鳥ノブが「ヤ マ ガ」と言っているのである。

マスクの下で1人ジワっているのである。でもこれは至って真面目な深イイ映画なのである。いけない、笑ってはいけない。気を引き締めた。

束の間、霧島れいかの「女子高生はヤマガの家でオナニーしたいけどそれをしない」的なセリフに西島隆弘が「空き巣には入るのに?」とか言った瞬間、彼氏がマスクの下で「ふっw」っと息を漏らした。

村上春樹を読んでいて私よりはるかに映画に村上春樹エッセンスを感じているのと、笑っちゃいけない空間に弱いので相当きつかったらしい。
それに釣られて私もそこから声を殺して度々肩を揺することになる。

とまあ、こんな感じで、笑っちゃったポイントをいちいちあらすじ書きながらあげていくとただでさえ読みづらい私の文章がよりぐちゃぐちゃになってしまうのであらすじを事細かく書くのは控えますが、

・霧島れいかが話す変態空き巣女子高生の前世がヤツメウナギ
・それを聞いた西島隆弘が翌朝ググって揺らめくヤツメウナギ
・舞台の読み合わせのシーンで西島秀俊が岡田将生にもっと感情を抑えてって指摘したときに過るロバートのコント「アスリートCMアカデミー」の秋山の「抜け抜けもっと抜け!」(これも私が悪い)
・岡田将生の理性を抑えられない暴力!セックス!キャラ
・ヤツメウナギマウント話で涙ぐむ岡田将生
・高速でサンルーフ開いて吸ってる煙草を2人してサンルーフから出してる【エモ】シーン
・舞台やるやらないの大事な選択って時に死んだ娘と同じ歳の若い女に広島から北海道まで運転してくれやっていうやばおじムーブ

そんなこと指摘してたら映画になんね〜よって話になってきちゃうんだけど、なんかもうイチイチ面白かった。

で、北海道に着いた時に、突然30秒なんだか1分なんだか、とにかく無音の時間があって、多分ちゃんとしてる人の感覚なら「無音に映える雪景色」みたいな綺麗シーンなんだろうけど、もうこちとら「絶対に笑ってはいけないドライブ・マイ・カー」やってるんだから無音空間なんていちばんおもしろい。

トドメでさっきの高速サンルーフ煙草シーンのときに「これ、高速なのにそんなに速度出てないんじゃないか?」とかどうでもいいことを小声で話し合ってた左隣の中年夫婦が周りの空気ガン無視してボソボソ会話してるもんだから彼氏は耐え切れずちょっと声が出ちゃっていた。
やめーやwと肩を叩いた。彼氏の手は汗でぬるんぬるんだった。おもしろ汗ってあるんだな。

誰かの視界に入って邪魔になることがない最後尾のはずが、センターで笑いをこらえる私たち、左隣はぼそぼそ喋って携帯の通知鳴ってる中年夫婦、右隣は飽きて10分に一回携帯いじっちゃってるおじさん。
迷惑極まりない最悪のマッチングでトンデモ5人衆だった。

前列の皆様、格式高い映画で観る人が観たら号泣するという話題作ともあって楽しみにしていたでしょうに、最後列ドセンを肩震わせて笑い息が漏れてる私たちが陣取ってしまってごめんなさい。
お持ちのポップコーンぶつけていただいても結構です。神罰として甘受します。できればお口にお願いします。

映画が終わり、劇場を出てからは笑い死しそうになってる彼氏との感想戦。

私の抱いている偏見に彼氏が村上春樹の作品の傾向を補足説明してくれる形で、お互い最初は3時間もあって飽きて寝ちゃうんじゃないかとか心配だったけど、ファニーという意味で飽きず3時間の上映時間にも長いという気持ちにもならなかったね、と。

そしてすぐにTwitterで

「ドライブ・マイ・カー 面白い」
「ドライブ・マイ・カー 笑う」
「ドライブ・マイ・カー ウケる」
「ドライブ・マイ・カー 爆笑」

などをひたすら調べて同じ意見の人たちを探していた。
感性が近くてよかったけれど、めちゃくちゃ嫌なカップルだ。
「ドライブ・マイ・カー (観た映画館)」で「最後尾のカップル笑っててうざかった」って書き込みはなかったみたいで少し安心した。

酷評意見はほんの一部あるものの、ウケる~みたいな人たちはまったくと言っていいくらい出てこなかった。

Twitterや映画レビューサイト、Rotten Tomatoesで軒並み絶賛されている映画に対する素晴らしさについては、笑ってしまって映画に集中しきれなかったのと、自分の持つ知識がそもそも少ないのと、作品を通して何を伝えたいのかみたいなことがあまりわからなかったので...結局(岡田将生風に)

村上春樹が好きで、博識なフォロワーの方に説明していただき、はじめて少し納得できました。
ていうか自分の知識を持ってして、作品の伝えたいことを考えたりできる人、素直にかっこいいですね。

最初は「マイノリティ意見を発信することによって、"この映画を良いと評価できる私"、に石を投じるか^~」とか冗談半分で抜かしていましたが、そもそもこの作品を観る際に偏見を抱えていること自体がナンセンスで、だから極端にマイノリティな感想になっちゃったってことなんですかねえ。

また、村上春樹をほぼ読んだこと無いのにオモロwみたいになっちゃってるのもよくないと思うので、来週あたりブックオフで作品探して読んでみようと思います。もし観た人いましたら、ぜひ感想聞かせていただけると嬉しいです。

それでは拙い文章と激浅い感想でしたが、最後まで読んでいただいた皆さま、ありがとうございました(^_-)-☆

原作-女のいない男たち (文春文庫) [ 村上 春樹 ]


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