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『還暦からの底力』 〜アホな私たちに必要なのは、学び続けること〜

『還暦からの底力』を読了。

まず、最近のビジネス書はサブタイトルがついてることが多い(そしてやたら長い)けど、個人的にはあんまり必要ないかなと思っていたので、今回の感想からは省くことにした。

とういことで、さて、感想。

自分の老後に何の不安もない。なんて人はいるだろうか?
お金、健康、人との繋がり、などなど考え始めたら、そりゃあ不安にもなる。数年先のこと、もっといえば半年先のことだってわからない世の中で、数十年先のことを考えろって言われたら、誰だって不安になる。

しかし、そんな不安を、今回も出口さんの言葉が吹き飛ばしてくれる。

多分、私たちが漠然と感じている不安は、これから先の自分の人生が下降していくことへの不安なのだろう。
お金がなくなったら、体を壊したら、ひとりぼっちになってしまったら、そんな風に今よりも自分の人生が惨めになってしまうことを、私たちはなかなか受け入れることができないのだろう。
そんな私たちに、出口さんはこう語る、「人間は勉強したところで所詮はアホな存在である」「賢くない頭で考えたってたいしたものはできません」と。
じゃあ、何にも考えずに、その日暮らしで生きていけばいいのかというと、もちろんそうじゃない。そんなアホな私たちが、どうやって人生の後半戦を生きていけばいいのかということを、本書は教えてくれる。

出口さんの本ではお馴染みの「数字・ファクト・ロジック」で考えるというのは、今のように混乱している世の中ではすごく必要だと改めて思ったりしたけど、中でも今回私自身に一番響いたのは「高齢者は次世代のために生きている」という部分だ。

ちょうど昨晩、海外ドラマ「ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ」の第12話を見た。

高齢のマラヴィッチ医師の手の麻痺に気づいたイギーの報告により、医療ディレクターのマックスはマラヴィッチ医師にオペからの引退を諭す。このことによりマラヴィッチは自分は無価値なのでは?と傷ついている、と気づいたイギー(フロム先生大好き!)の提案により二人は、ビデオ会議で、中南米や、提携大学、被災地に、複雑なオペの指導する仕事として「遠隔医療部門の責任者」を打診する。
「あなたは、かけがえのない経験を持っています。その力を役立てて欲しい」と。

私はずーっと、自分自身の成長のために生きてきたような気がする。もっと、もっと、もっとって思いながら生きてきた。でも、たまに考えることがあった。私、死ぬまで自分のためにもっともっとって生きるのかなって。
でも、「次世代のために生きる」という役割を得ることで、きっと私の人生後半戦をもっと豊かになるだろう。

生きている限り、不安はなくならない。
それでも<知識 x 考える力 = 教養> を私たちみんなが養っていくことで、より良い社会を作ることはできる。
誰もが安心して暮らせる、より良い社会を作り上げるためにも、まずはひとりひとりが「数字・ファクト・ロジック」で考え、いくつになっても学び続けるのを辞めないことが大切だなと思った、これからの時代を生きていく私たちみんなが読むべき一冊。


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