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省エネ基準の計算方法

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住宅の省エネ基準の計算方法についての解説です。 外皮平均熱貫流率(UA値)、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)、暖房期の平均日射熱取得率(ηAH値)の計算についてご説明します。
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日よけの効果を計算する(計算例)

日よけの効果を計算する(計算例)

前回「日よけの効果を計算する」を投稿しました。

今回は、実際に取得日射熱補正係数を計算して、計算方法によってどのような違いが出るか確認してみます。

ちなみに窓の日射熱取得率は、
[日射熱取得率] × [取得日射熱補正係数]
で計算します。
そのため、取得日射熱補正係数が小さくなれば日射熱取得率は小さくなり日射熱取得量も小さくなります。
日射熱取得量が小さくなるということは、平均日射熱取得率が小

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省エネ計算の取得日射熱補正係数の新計算法は損

省エネ計算の取得日射熱補正係数の新計算法は損

4月から省エネ基準の計算方法の一部が変更になりました。

窓の取得日射熱補正係数の計算方法も変更になっています。
取得日射熱補正係数は窓の日射熱取得率を計算するときに使用します。

従来取得日射熱補正係数は詳細計算法と簡略計算法の二つの計算方法がありました。
これが4月からは詳細計算法が削除され、簡略計算法のみとなりました。
また、新たにWebアプリとして日除け効果係数ツールが公開され、窓や日除け

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省エネ計算の土間床等の新計算法は損?

省エネ計算の土間床等の新計算法は損?

4月から省エネ基準の計算方法の一部が変更になりました。

基礎・土間床の計算方法も変更になっています。
(従来の計算方法も当面は使用していいことになっています)

従来は基礎壁と土間床外周部は一緒に計算していました。
また、基礎壁からの日射熱取得量は考慮する必要はありませんでした。

新計算法では基礎壁と土間床外周部を分けて計算します。
基礎壁は熱損失量と日射熱取得量の計算が必要になります。
土間

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省エネ基準の計算方法:2021年4月から計算方法が変わりました

省エネ基準の計算方法:2021年4月から計算方法が変わりました

省エネ基準の外皮平均熱貫流率(UA値)、平均日射熱取得率(ηA値)の計算方法が2021年4月から一部変更になりました。(技術情報 Ver.3系)

なお、旧計算法(技術情報 Ver.2系)は経過措置として2022年3月まで使用することができます。

計算に関する主な変更点は以下の二つです。
窓の取得日射熱補正係数の計算方法が変更になりました。

また、土間床・基礎断熱の計算方法が変更になりました。

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省エネ基準の計算方法:基準をクリアしない場合

省エネ基準の計算方法:基準をクリアしない場合

4月1日から省エネ性能の説明義務制度が始まり、建築士が建築主に省エネ基準の適合性を説明することになりました。

今後は省エネ基準をクリアする住宅が増えると思われますが、現時点では基準をクリアすることは義務ではありません。
そのため、省エネ基準がクリアしていなくても問題はないのですが、どのような措置をしたら基準をクリアできるかは提示しなければなりません。
そのため、基準をクリアしない場合でも基準をク

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省エネ基準の計算方法:平均日射熱取得率(ηA値)

省エネ基準の計算方法:平均日射熱取得率(ηA値)

今回は平均日射熱取得率(ηA値)の計算についてご説明します。

前回までで日射熱取得量までの計算方法をご説明しました。

日射熱取得量まで計算してしまえば平均日射熱取得率の計算は簡単です。

計算式は以下のようになります。
平均日射熱取得率 = 総日射熱取得量 ÷ 外皮面積の合計
(総日射熱取得量は各部位の日射熱取得量の合計です)

平均日射熱取得率は冷房期(ηAC値)と暖房期(ηAH値)がありま

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省エネ基準の計算方法:日射熱取得量

省エネ基準の計算方法:日射熱取得量

ここまでに面積や日射熱取得率(η値)についてご説明してきました。

今回はこれらを使用して日射熱取得量を計算する方法をご説明します。

日射熱取得量の計算式は以下のようになります。
日射熱取得量 = 面積 × 日射熱取得率 × 方位係数

方位係数方位による係数です。
方位係数は方位と地域、暖房期・冷房期によって決まります。
詳しくは以下をご参照ください。

冷房期と暖房期をそれぞれ計算日射熱取得

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省エネ基準の計算方法:日射熱取得率(η値)

省エネ基準の計算方法:日射熱取得率(η値)

外皮平均熱貫流率(UA値)まで説明してきました。

続いて平均日射熱取得率(ηA値)の計算方法にご説明していきます。
今回は各部位の日射熱取得率(η値)の計算方法です。

日射熱取得率の計算方法は、窓と窓以外で異なります。

窓以外の日射熱取得率(η値)窓以外の外壁、天井、屋根、ドアは、熱貫流率(U値)を用いて日射熱取得率を計算します。
熱貫流率は外皮平均熱貫流率で計算したものを利用します。

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省エネ基準の計算方法:外皮平均熱貫流率(UA値)

省エネ基準の計算方法:外皮平均熱貫流率(UA値)

今回は外皮平均熱貫流率(UA値)の計算についてご説明します。

まず、外皮平均熱貫流率を計算するための手順は、ここまで説明してきた以下のマガジンをご参照ください。

熱損失量まで計算してしまえば外皮平均熱貫流率の計算は簡単です。

計算式は以下のようになります。
外皮平均熱貫流率 = 総熱損失量 ÷ 外皮面積の合計

総熱損失量は各部位の熱損失量の合計です。
小数点第3位を切り上げて、小数点第2位

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省エネ基準の計算方法:熱損失量

省エネ基準の計算方法:熱損失量

ここまでに面積や熱貫流率(U値)についてご説明してきました。

今回はこれらを使用して熱損失量を計算する方法をご説明します。

各部位の熱損失量の計算式は以下のようになります。
熱損失量 = 面積 × 熱貫流率 × 温度差係数

土間床や基礎断熱の場合は、熱貫流率ではなく線熱貫流率に変わります。
熱損失量 = 周長 × 線熱貫流率 × 温度差係数

温度差係数温度差係数は隣接する空間との温度差を勘

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省エネ基準の計算方法:熱貫流率(U値)

省エネ基準の計算方法:熱貫流率(U値)

前回熱抵抗(R値)の計算方法についてご説明しましたので、今回はこれを使って熱貫流率(U値)の計算方法についてご説明します。

熱貫流率は部位の断熱性能を表します。
数値が小さいほど断熱性能が高くなります。

材料の断熱性能は熱抵抗で確認できるのに、なぜ熱貫流率が必要なのでしょうか。
熱抵抗は単体の材料の断熱性能しか計算できません。
それに対して熱貫流率は複数の材料を組み合わせた断熱性能を計算するこ

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省エネ基準の計算方法:熱抵抗(R値)

省エネ基準の計算方法:熱抵抗(R値)

前回は面積の計算についてご説明しました。

今回は熱抵抗(R値)の計算方法についてご説明します。

昔住宅の断熱性能表現するときに断熱材の厚さで判断していました。
しかし断熱材の厚さだけでは、断熱材の種類が変わると比較できなくなります。
そこで必要になってくるのが熱抵抗値(熱抵抗)です。

熱抵抗は材料などの断熱性能を表します。
熱抵抗が大きいほど断熱性能が高くなります。

材料の熱抵抗は以下の式

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省エネ基準の計算方法:面積

省エネ基準の計算方法:面積

前回省エネ基準計算の準備についてご説明しました。

今回は面積の計算についてご説明します。
面積計算は意外と面倒で時間がかかります。

前回熱的境界、部位分け、方位分けについてご説明しました。
面積計算はこれらに沿って行います。

寸法の採り方まず面積を計算するためには、図面などから寸法を確認する必要があります。
どこからどこまでの寸法をとるのかは部位によって異なります。
基本的に水平方向は壁心、

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省エネ基準の計算方法:準備編

省エネ基準の計算方法:準備編

いよいよ4月から省エネ性能の説明義務制度が始まります。

説明義務制度の対応に苦慮されている建築士の方は多いかもしれません。
説明義務制度では省エネ基準の外皮平均熱貫流率(UA値)、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)、一次エネルギー消費量の計算が必要です。
そこで簡単ではありますが、省エネ基準の計算方法について順を追って説明していきたいと思います。

省エネ基準計算について一度で説明することはで

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