普賢寺 普賢菩薩像

 高校生レストラン「まごの店」のある三重県多気町のお寺です。
 「普賢菩薩様は、大変マッチョなお姿ですよ。」御住職にそう言われ、横から拝観させて頂くと確かに大変厚い胸板をされていました。反対に脇から腰にかけてはほっそりしておられるので、余計そう見えます。
 日本で一番古い普賢菩薩様です。大陸から渡って来た仏師の作ではと言われているそうで、合掌されていることが多い普賢菩薩様には珍しく手に如意(孫の手のような物)を持っておられます。
 頂いたパンフレットのお写真はたいそう色白にお写りになっていらっしゃいますが、実際は平安の仏様らしいお色でした。以前に撮られた写真では、暗くてお顔の様子が分かり辛かったのですが、御住職が収蔵庫の天井にスポットライトを付けられたそうで、ご本尊様の表情がよく分かリました。
  令和元年の秋に三重県総合博物館で行なわれた、「三重の仏像」展のパンフレットやポスターに、この普賢菩薩様の横顔が使われたほど、厳かなお顔をなさってらっしゃいます。いにしえの異国の仏様という感じがしました。
 御住職にたくさんお話を伺い、帰り際に御住職の知り合いの方が作られた短歌集を頂きました。

 帰宅してから、頂いた短歌集を読みました。

 本当に生きるか死ぬかの瀬戸際まで悩まれ、生きること、病むこと、に真剣に向き合った方の言葉は、そういった経験をされた方にしかない、欲望を捨てきった輝きがある気がしました。

 また、作者の自分自身を深く、静かに見つめる日常は、身の回りの何気ない人の営みや、自然の移ろいに対する、優しく鋭い眼差しに繋がっていました。

 短歌に馴染みの無い私にも、そんな読み手の息づかいが、生々しく伝わってくる歌集でした。

 お寺というところは、仏様だけで無く、いろいろな物や人とのご縁を結んで下さるところなのだと思いました。