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ヤシの木と白浜 ――京阪神の人々の理想郷として

和歌山県は白浜。
新大阪からJRの特急で2時間半、京阪神地域の南に位置し、白良浜や温泉で有名なその地にもヤシの木は植えられています。

白浜のどこに植えられている?

文字通り、真っ白の砂浜が続く白良浜。ここにはリゾートムードを引き立たせるかのように、浜辺に沿ってヤシの木が植えられています。

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白い砂に青い海、そしてヤシの木と絵に描いたような南国らしい風景が広がっています(ちょっとヤシの木が遠すぎました。今度白浜に行った時に撮り直してきます)。


続いては街路樹として植えられているヤシの木です。

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こちらは夕日が美しい円月島を望むことができる道路沿いに植えられています。


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日本の夕陽100選に挙げられているような夕日を見る舞台を演出するために、ヤシの木は一役買っているのかもしれませんね。


ヤシの木はいつ植えられたのか?

それでは、どうして白浜にヤシの木が植えられるようになったのでしょうか。その答えは、1933(昭和8)年頃から開始された南国景観化事業にあります。

白浜における南国のイメージは、京阪神の南に位置しているということも相まって、大正から昭和初期にかけて白浜の土地会社や、鉄道路線の新設に際して関西の鉄道関係機関によって強調されていきました。

その中で、1933(昭和8)年に和歌山師範教諭によって、榕樹(ガジュマル)や檳榔樹(ビンロウ:ヤシ科の植物)の植樹が行われました。
その後も、1938年に熱帯動植物園が設けられ、南国景観化の事業は進みます。


戦前から温泉地や海水浴場として知られていた白浜は、京阪神の都市の発展に伴い、観光地として開発されました。
その中で、京阪神の人々にとって非日常を感じることができる空間となるべく、南国らしい景観が形成されていきました。

戦後、白浜は歓楽街として関西の男性たちの欲望が投影される場所となる時期を経て、1960年前後には「南紀ブーム」が到来し、特に新婚旅行の目的地として人気になりました。

その後も、1962年に新白浜熱帯植物園が、1978年には現在のアドベンチャーワールドの前身である南紀白浜ワールドサファリが開園するなど、現在まで観光地としての地位を築きあげています。


白浜におけるヤシの木とは

さて、これまで述べてきたように、白浜におけるヤシの木は「非日常的な」「南国の」空間を演出するために、まるで舞台のセットの様に機能してきたと考えられます。

京阪神という都市に住む人々が、日々の喧騒から離れて束の間の非日常を味わえる地、白浜。その非日常の雰囲気をより醸し出すため、ヤシの木たちは陰ながらその役割を果たしているのではないでしょうか。

以下には参考資料を載せています。
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